飯田哲也×鎌仲ひとみ共著「今こそ、エネルギーシフト」を読んでみた

January 8, 2012 – 3:15 pm

「今こそ、エネルギーシフト」と題する岩波ブックレットを読んでみた。このブックレット、『世界』2011年5月号掲載の対談「自然エネルギーの社会へ再帰しように大幅加筆をした」ものという。

飯田哲也の書籍については、「『原発社会からの離脱』を読んでみた」ことがある。本書「今こそ、エネルギーシフト」も、これと同じように、我が国のエネルギー源を原子力から再生可能なものに転換することを主張している。

このなかに、「『安全な稼働』はどこまで可能か」とサブタイトルした部分がある。これに書かれていること、大切な論点と感じた。
メモしておいた。 (続きを読む)



土井里紗著 「放射能に負けない体の作り方」を読んでみた

January 7, 2012 – 5:30 pm

福島第一事故のあと、放射線被曝による健康影響についての一般向けに書かれた書籍が数多く出版されている。そうした書籍のなかに、現在の放射線被曝に関わる法的基準の基礎となっているICRP(国際放射線防護委員会)の勧告を問題視するものも多い。こうした書籍が、子供の健康を心配する母親などを中心に読まれ、かなりの影響力を持っているようである。

こうした書籍のひとつで近所の公立図書館で見つけた土井里紗著「放射能に負けない体の作り方」を読んでみた。

本書の感想をひとことで述べると、この本、今回の原発事故に便乗した単なる「健康食品」本といったところだ。こうした本の出版に、原発事故と放射能の環境汚染による不安な心理に付け込んだ不真面目な商業主義的な意図(少なくとも出版社にそうした意図はあっただろう)を感じてしまう。 (続きを読む)



2012年を迎えて-昨年の重大ニュースをふりかえりながら-

January 3, 2012 – 12:01 pm


新年明けましておめでとうございます。

2012年が明けました。といっても、すでに1月も3日になってしまった。それはそれとして、昨年の重大ニュースをふりかえりながら、新しい年を考えてみた。

(1)東日本大震災と福島第一原発事故
 私が生きている間に経験するとは思っていなかった歴史的大事件だ。ほぼ10ヶ月経過した今、ゆっくり考えてみると、よくこの程度でおさまってくれたものだ、ラッキーだったというのが正直な感想。
 なにがラッキーだったのか。事故発生時の風向きは、強い西風。3月12日の早朝に放出された放射能の大部分は海のほうに流れ、住民への被曝は「少なく」済んだのではないか。風向きによっては・・・、と考えるとぞっとする。
 ラッキーであったとはいうものの、東日本全域が、いままで経験したことがないほどの放射能まみれという状態、まだまだ原子炉の状態も心配。これからが正念場。 (続きを読む)



「粉ミルクからセシウム検出」の報道で考えたこと

December 9, 2011 – 11:23 pm

12月6日に、明治の粉ミルクから放射性セシウムが検出されたと報道された。

このニュース、汚染のレベルの大小というより、むしろ、わたしが想像していなかった汚染経路が存在することに気づかされたこと、そして汚染を最初に見つけたのが市民団体であったことの2点で、私にとっては、かなり衝撃的なものであった。

ニュースの内容とこれに関連して私の考えたことをメモしておいた。 (続きを読む)



福島第一事故による放射線被曝をどう考えればよいか(その9)

December 6, 2011 – 2:26 pm

高木仁三郎著作集の第2巻に右のような図が載せられている。この図は、チェルノブィリ事故後に西ドイツの雑誌に「西ドイツの子供の新生児死亡数」として掲載されたものだという。随分前に刊行された資料に示されたものではあるが、福島の事故を経験した今ながめると、かなり不気味なデータではないかと思ってしまう。

さて、この図から我々は何を読み取るべきなのか?ここに示されているデータをどのように解釈すればいいのか? (続きを読む)