さあ禁煙をするぞ

June 28, 2008 – 11:50 am

IHT(International Herald Tribune)に、ギリシャでも公共の建物内での喫煙禁止が厳格化されるとの記事を見つけた(ここ)。この記事を読みながら、世界中、禁煙があたりまえになってきたという感を強く持った。そういう私、かなりのヘビースモーカーだ。世の中、住みにくくなったな、というより私自身も禁煙をしなければと強く思った次第だ。ということで、最近の禁煙の流れについて、少し考えてみることにした。

ギリシャの禁煙への動き: IHTの記事によれば、EU27カ国のなかで、最も喫煙率の高いのがギリシャだったようだ。成人の38%が喫煙者だという。我が国、日本が、95年の統計でほぼ40%というから、喫煙者の割合は同じくらいだ。これまで、ギリシャでは、子供の喫煙も禁止されていなかったという。これまでも、公共の建物内での喫煙は禁止されていたというが、ほとんど守られていなかったようだ。それが、いよいよ厳格化され、公共の建物内での喫煙に対して罰則が設けられることになるという。違反者に課せられる罰金は、300ユーロ、日本円で5万円にもなるという。又、当然のことながら、非成人の喫煙も禁止されることになる。

タバコ1箱1000円案: さて我が国の動き、年金財源の確保、消費税アップの議論のなかで、タバコ1箱1000円の話が飛び出した。中川・前自民党幹事長などを中心に政党の枠を超えて、タバコ税を引き上げる議員連盟も生まれた。この動きを受けて、6月18日の日経では、「たばこ一箱500円ならいかが」とのタイトルの社説まで登場した。この日経社説の結びは、

大幅に増税すれば喫煙者が減って税収はいずれ減るかもしれない。消費税増税までの「つなぎ」としてならともかく、年金の安定財源としてたばこ税に期待するのは無理がある。年金財源問題とは基本的に切り離して考えるべきだ。また他人に迷惑をかけず喫煙する人の権利も考える必要がある。マイルドセブン一箱、まず五百円でどうだろう。増収効果は二兆四千億円程度である。

なんとも歯切れの悪い主張である。「他人に迷惑をかけず喫煙する人の権利」というが、喫煙自体が他人に迷惑をかける行為なのではないか。たとえ、屋外でだれもいないところで吸っていても、自分の健康を損ねて健康保険の財政を悪化させているではないか。基本的には、「喫煙する人の権利」などと悠長なことを言っていたら事態は改善されない、と喫煙者の私は自戒をこめて考えるのである。

この際、消費税率アップまでのつなぎとして、大幅値上げをするのも一案ではないか、と思う。これで時間稼ぎをして、喫煙者が減るのに合わせて消費税率を上げるのだ。わけのわからない「埋蔵金」をたよりにするよりも現実的な方法ではないか。なにしろ日本の社会保険制度を立て直すのは急務だ。社会保証の財源をタバコ税に頼るのはいかがなものかと思っていたが、よくよく考えてみると、この案、結構いいのではないかと思うようになった。

日本学術会議の提言: 今年の3月4日付けで、日本学術会議は「脱タバコ社会の実現に向けて」と題する異例(?)の提言(学術会議の区分では「要望」)をしている。この要望に名を連ねている学者先生 唐木英明東大名誉教授を筆頭に実に百人を超えている。これが異例なことかどうかは私には分からない。しかし、この提言に、「たかがタバコなどと言わせないぞ」という凄みを感じるのは、喫煙者の私ひとりなのか?これだけの研究者のみなさん、全員が非喫煙者とは思えないが・・・。ともあれ、研究者というのは、喫煙人口が多い人種と思っていたのだが、相当な覚悟だな、というのが私の実感だ。

さて、この学術会議の提言、かなりすごい。印象に残ったところだけ箇条書きすると以下のようなものだ(正確なところは、是非、「要望」を読んで欲しい):

  • 国内外におけるこれまでの多数の疫学的および実験的研究によって、喫煙は・・・・さまざまな健康障害の原因になっていることが科学的根拠を持って示されており、喫煙がもたらす直接的健康障害に関しては、議論の余地はない
  •  受動喫煙がもたらす健康障害に関しては科学的根拠が希薄であるとの指摘がタバコ産業などから出されていたが、・・・・・(さまざまな)科学的根拠を持って受動喫煙も健康障害を引き起こすことが示されて論争に終止符が打たれた
  •  義務規定でしかない健康増進法第25 条を改正して、屋内全面禁煙を明示し、罰則を設けて実効性のあるものにするべき
  •  先進国で多数のタバコ自動販売機の街頭設置が公的に認められているのは日本以外にはドイツのみ。我が国のタバコ自動販売機の設置状況は国際的に極めて異常
  •  WHO「たばこ規制枠組条約」の中でタバコ価格の引き上げはタバコ規制にとって不可欠な施策とされている
  •  喫煙による経済的損失は、喫煙者の直接超過医療費が1 兆2,900 億円、間接喫煙者のそれが146 億円、喫煙による労働力の損失が5 兆8,000 億円、火災による損失が2,200 億円、合計7 兆3,246 億円と推計((財)医療経済研究機構2001年調査報告書)。この社会的損失、タバコ税による税収2兆3千億円をはるかに超える。

などなどである。

学術会議の提案、喫煙習慣は即時に中止すべきといったところだ。もうひとつ、この資料で知ったことに、日本たばこ産業の筆頭株主が、財務省ということだ。実に50%の株を抱えているという。これ、昔の専売公社が民営化された名残りだと思うが、この際、縮小廃止への道を、筆頭株主自らが真剣に考えていいのではと思った。

どのように禁煙すべきか: 「禁煙」と一言で言うが、結構、大変だ。私自身、これまで何度か禁煙したことがある。最長で10ヶ月、このときは、病を患って7ヶ月入院をし、自分の意志とは別に禁煙せざるを得なかった。その他には、5ヶ月禁煙という「最長」記録?がある。いつも、「この一本くらい」で挫折してしまう。5ヶ月続いた禁煙のときは、例の「二コレット」なる薬にたよって禁煙を開始することができた。この薬、かなり効果がある。

「二コレット」なる薬、私の記憶が正しいなら、スウェーデンの潜水艦の乗組員のために開発されたとのことだ。ニコチン切れは、思考能力の低下をきたす(と喫煙者は考える)、これを緩和するのが、口内粘膜からニコチンを補給するガム、「二コレット」だ。数年前までは、我が国では、認可されていなかったこの薬、今は近所の薬局でも購入することができる。しかし、それなりの価格。禁煙開始時は、補給するニコチンが多いので、タバコ代よりかなり高い、それなりの出費になる。

それなりの大きさの病院では、最近、「禁煙外来」と呼ばれるものができた。喫煙習慣が(正式に?)病気として扱われるようになったわけだ。治療のために、この二コレットとか、皮膚からニコチンを補給するニコチンパッチが処方されるはずだ。2年前から、禁煙治療は健康保険の対象になった。この「禁煙外来」を活用して、禁煙を開始するのが最善なのではと考える。そうすれば、薬局で買うより安くニコレットとかニコチンパッチも使うことができる筈だ。(少し甘いかな・・・)。

そうはいうものの、最後は、本人の禁煙をしようという意志の強さが鍵だ。今度こそがんばろう。


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  2. May 21, 2011: 「禁煙外来」で治療中 | Yama's Memorandum
  3. Nov 11, 2014: 3年前のニュース: 復興増税にたばこ税増税盛り込まず | Yama's Memorandum

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