気になったニュース: フランス大統領選マクロン候補勝利

May 8, 2017 – 7:04 pm

日本時間未明フランス大統領選でマクロン候補の勝利が確実になった。これを受け、毎朝聞いているTBSラジオ森本毅朗スタンバイでも、ヘッドラインで、このニュースを取り上げていた。次のようなもの:

フランス大統領選の決選投票は7日EUとの協調を訴える超党派のマクロン候補が当選を確実としました。去年行われたイギリス国民投票とアメリカ大統領選挙を受けて保護主義や自国第一を掲げる勢力が勢いづくなか、マクロン氏はEUとの協調や左右の党派対立を超える政策を提唱し支持を集めました。


マクロン勝利で日経平均が急伸
マクロンの勝利は予想されていたとはいえ、極左のル・ペンの勝利がもたらす混乱を警戒していた経済界そして投資家は彼の勝利を歓迎した。日経平均は450円高で19,895円、EUROは約1円高で123円40銭と急伸だ。ほぼ1か月前の第一回大統領選前のEUROが115円近傍だった(はず)。この間、急伸している。今回のフランス大統領選の結果は経済界、投資家にとって、ひとまず歓迎されるものであったことは容易に理解できる。

この結果が、ひとまず安心できる状況ととられたことは理解できるが、マクロンを支持する政治的潮流がこのまま続き、本流となるかどうかは分からない。むしろ、マクロンには大きな困難が待ち受けているように思う。彼がフランスの人々の考えを代表するものとはとても思えないからだ。

今回のマクロンの勝利、少し変な表現になるのかもしれないが、マクロンにとって「棚からボタモチ」といったものだ。大本命のフィヨンのスキャンダルによる第一回投票における敗退、そして政権党である社会党内の混乱などで、「多少まともな候補」マクロン対「札付きの極右」FNのル・ペンの決戦投票になってしまったからだ。フランスの良識はFNを受け入れるわけはない。

経済相時代のマクロンの労働者の権利をないがしろにする規制緩和策などはかなりの不評だったことを考えると、マクロンが支持されたということより、フランスの良心が極右・国粋主義への道を拒否したとみるのが正しい。「多少まし」という程度で選ばれた大統領としてのマクロンには、就任後、大きな困難が待ち受けていると考える。大統領選挙の後に控える議会選挙はマクロンにとって厳しい結果になるに違いない。

フランス国民はEUとの協調を支持?
今回の選挙でフランス国民がEUとの協調の道を選んだということではないように思う。第一回投票の得票率について、EUに対する各候補の態度を見ると、EUとの協調を唱えるマクロン候補とフィヨン候補の得票率がそれぞれ23.9%と21.4%で合わせて45.4%。EU離脱派のル・ペンとメランションへの得票率が21.4%、19.5%で40.9%だ。

親EUの45.4%と反EUの40.8%の間に大きな差はない。EUへの態度はフランスのなかで、ほぼ真っ二つに割れているのだ。

今回のマクロンとル・ペンの得票率は夫々63%と34%でマクロン圧勝ということだが、この差を親EUか反EUかと考えることはできない。むしろ、フランスの極右勢力の政治を許さないという声がこの大差をつけたというように見るのが正しい。フランスの良心が極右のFNにNOを突き付けたのだ。

EU統合によりフランスの農業そして工業は大きな影響を受けている。日本のTPP加盟の動きはJAにより大きな反発を受けたが、EU統合による影響に対するフランスの(小規模)農業従事者の反発はそれ以上だ。工業もしかりだ。東欧の安い労働力により大きな影響を受けている。こうした影響、フランスの農業従事者そして工場従事者にとって絶望的ともいえるものだ。

EU統合により、古き良き時代のフランスは、どんどん破壊されている。これに異を唱えたのはFNのル・ペンだけではない。急進左派と呼ばれるメランション候補も異を唱えた。だらしない社会党候補者にかわり、メランションは選挙前には予想をされなかったような支持を獲得したように思う。私は、個人的には、メランションに強いシンパシーを感じる。人民戦線の国フランスをメランションのなかにみる。メランション陣営は反EUだ。しかし反移民ではない。

まとまりのない話になってしまった.

これからもフランスの政治動向に注目してゆきたい。

 


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