公的年金からの源泉徴収税額:一律7.5%!?

November 29, 2008 – 5:30 pm

数日前、年金基金の支払いを担当している銀行から「重要・税金に関する大切なお知らせ(公的年金等の申告書)です。必ずご確認ください。」と朱色で注意書きした手紙が届いた。なかを見ると、「『公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』のご提出についてのご案内(厚生年金基金からの年金を受けておられる受給者様へのご案内です)」となっている。この手紙、扶養親族の手続きをしないと年金から自動的に源泉徴収されますよ、というお知らせだ。源泉徴収される税額に驚いた。手続きしないと一律年金支給額の7.5%というのだ。

初めての年金給付: 昨日、「年金ご送金のお知らせ」というはがきを受け取った。私にとって初めての年金だ。12月1日に20年12月期支払い分の年金が支払われると書いてある。はがきには、次回、次々回の年金支払日と支払予定額が記されている。私にも、いよいよ待ちに待った(公的)年金が給付されることになったわけだ。ほっとした。

年金からの所得税の天引き: ところが、次回、次々回の年金支払額の欄には、しっかり所得税額が記され、そんなに多くもない年金額からしっかり所得税として7.5%を差し引く予定になっている。注意書きには、「来年1月以降のご送金額は当年の扶養親族等申告書の提出状況をもとに算出しています。ご送金額が変わる場合は改めてご案内いたします。」となっている。扶養親族の申告手続きをしないと、7.5%の所得税を自動的に差し引くぞというのだ。

ここに書かれている扶養親族の申告手続きが、この記事の冒頭に書いた厚生年金基金から送られてきた「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の提出を、というお知らせに対応している。このお知らせのなかにも、申告書を提出しない場合、源泉徴収税額:一律7.5%相当との記述がある。

そもそも、税金を源泉徴収、天引きするというのには抵抗がある。以前に書いたブログ記事「確定申告と徴税システム」で源泉徴収という仕組みについてすこし触れたことがある。年金も源泉徴収なのかと、いい気分がしない。これは、国民を信用しない徴税システムだ。

年金にかかる税金はいくら? ところで年金にかかる税金(所得税)はどのように算出されるのか?早速、国税庁のサイトで調べてみた。国税庁のサイトにタックスアンサーなるコーナーがある。そこに年金を受け取ったときの所得税について記述した「公的年金等の課税関係」なるページがある。

これをみると所得税を算出するには、まず、「公的年金等の収入金額の合計額」から控除額を差し引き年金についての(雑)所得額を求め、これにその他の所得を加えることにより総所得額を算出する。この総所得額から基礎控除など各種の控除を考慮し、課税所得金額が算出される。課税所得金額が195万円以下の場合、この課税所得に5%の税率をかけると所得税が求められる。

ケーススタディ: 受け取る年金額を200万円とし、独身で扶養親族がいない場合について所得税がいくらになるか算出してみることにした。年金に対する控除額を考慮すると、65歳未満の場合、

2,000,000円 × 0.78 - 375,000 = 1,185,000 (円)

で、年金に対する課税所得(雑所得)は、118万5千円になる。収入が年金のみであるとすると、これから基礎控除額38万円を差し引いたものが課税所得80万5千円となる。これに、所得税率5%をかけ、支払うべき所得税は40,250円と算出される。この所得税、受け取る年金額の約2%である。これに対し、源泉徴収税額として、年金支給額の7.5%が天引きされるというわけだ。実に実際に支払うべき所得税の4倍近い税金が源泉徴収というかたちで、天引きされることになる。差額は確定申告すれば返還してくれるということになっている。しかしだ、確定申告しなければ、そのままとられっぱなしということになってしまうのではないか? そうだとすると、すごい仕組みだ。

扶養親族がいなくても、これだけ実体と乖離した税金が源泉徴収されることになる。一体、これは何なんだ、と思ってしまう。これじゃあ、扶養親族がどうこうということではなく、かなり乱暴に取れるだけとっておこうということではないか?扶養親族がいない場合の徴税額が示されているなら納得するが、これでは、とても納得できない。挙句のはてに、申告書送付のための切手代は自分でお支払いくださいとなっている。取るだけ取るぞという仕組みだと思ってしまう。

源泉徴収税額に見合う総所得とは? では、自動的に天引きされる源泉徴収税額と同等の所得税率になる年金生活者は一体どの程度の年金収入を得ていることになるのだろう。試算してみると、年金収入が700万円程度になると、やっと、源泉徴収額が年金収入総額の7.5%になる。これだけの年金収入を得なければ自動的に徴収される源泉徴収税額に達しない。一体、どのような基準で7.5%なる源泉徴収税率を定めているのだろうか?

平均的な年金収入はどの程度? すなおに考えると、平均的な年金収入あるいはモデル年金収入というのがあって、これを根拠に源泉徴収税額を算出するということになる。では、平均的な年金収入というのはどの程度なのだろう?Web上で検索してみたが、どうも、あまりきちんとしたデータはなさそうだ。そこで、社会保険庁の「年金額簡易試算」で計算してみた。大学卒業以来38年間会社勤務し、この12月で60歳を迎えたとすると、1年間で見込まれる年金額(報酬比例分のみ)は、116万円となる。この計算では、標準的な報酬月額を36万円(シミュレーションでしめされている参考値)としている。これを標準と考えると、自動的に徴収される源泉徴収税額は、実体とかけ離れた、とんでもない税額ということになってしまう。年金生活者は、年金以外にも多額の収入があることを前提にしているのだろうか?そんなことはないはずだ。考え込んでしまう。

以上、書いたこと、私が関係している厚生年金基金だけの話だろうか?通常の厚生年金にはこんな馬鹿な話はないことを望む。調べておかなければならない。私の場合、厚生年金と厚生年金基金両方から公的年金が支給される。注意しよう。年金生活、自分の身は自分で守るという決意で取り組まないととんでもないことになりそうだ。スタート段階で、貴重な経験をした。さあ、年金生活者の皆さん、ともに奮闘して長生きしましょうといったところか。