ゲリラ豪雨の原因は地球温暖化?それとも自然変動?

January 19, 2009 – 12:01 pm

e382b2e383aae383a9e8b1aae99ba8新聞記事を整理していたら昨年12月25日付の日経(夕刊)に、最近、大雨・ゲリラ豪雨の頻度が高くなっているとの記事がでていた。確かに、ゲリラ豪雨に関するニュースをよく目にする。実感としてもそうだ。こうした現象、地球温暖化問題とのかかわりで議論されることが多い。議論することには異存ないのだが、こうした現象が起きると、すぐ地球温暖化と直接結びつけ「CO2削減」のキャンペーンに活用されることには、多少、抵抗がある。果たしてそうなのか?こうした気象現象に対して、我々はどのように望むべきなのだろうか?

最近の大雨、ゲリラ豪雨の頻度の変化について、この日経記事は、

地球気象観測システム「アメダス」がとらえた全国約千三百カ所の降水量のデータ約三十年分を気象庁が分析したところ、一日の降水量が四〇〇ミリ以上となった大雨の発生が増加していた。一九七六―八七年は平均四・五回だったが、八八-九七年は同五・五回、九八―二〇〇七年は同十一・三回と大幅に増えていた。
ゲリラ豪雨に相当する「一時間当たりの降水量が五〇ミリ以上」の雨に限っても、発生回数は多くなっていた。七六―八七年は一年間に平均で百六十二回発生したが、八八―九七年は同百七十七回。九八―〇七年は二百三十八回に跳ね上がった。

と書いている。このデータ、我々の実感と一致するものだ。スーパーコンピュータを用いた予測でも二一〇〇年ごろまで増え続けるという。

地球温暖化との関係は?: しかし、こうした傾向を地球温暖化と結び付けることに対し、次のように解説している;

ただ、大雨増加の理由を地球温暖化の影響と決め付けて今後も増え続けると考えるのは早計だ。気象の変化は自然変動があり、異常気象かどうかを見極めるのは難しい。大雨の発生回数は年によってばらつきもある。大雨増加が長期的な傾向なのかどうかを判断するためには「データの蓄積が必要」(気象庁)という。

この解説、新聞記事という制約もあり「自然変動」、「異常気象」そして「年によるばらつき」という『用語』があまり明確な形で定義されていないように感じる。しかし、大雨の頻度が高くなることを拙速に地球温暖化現象と結びつけるべきではないとのメッセージであると理解した。

どのように対処すべき?: 大雨、ゲリラ豪雨といった気象現象にともなう自然災害に対し、我々が万全の備えをすることは当然だ。科学的に、こうした「異常」な現象を冷静に分析することこそ万全の備えをするうえで重要なことではないかと思う。この現象が、周期的な「自然変動」なのか、単なる「年によるばらつき」なのか、あるいは「地球温暖化」による異常気象なのか、原因をどうみるかにより対処法も異なるに違いない。

以前、このブログのなかで、「アル・ゴア著・枝廣淳子訳『不都合な真実』を読んでみて」なるエントリーを書いた。このなかで、「不都合な真実」が、頻発する異常気象とIPCCが警告を発している地球温暖化とを論証なしに結びつけることに疑問を呈したことがある。「恣意的」なみかたでは、政治的なキャンペーンには有効かもしれないが、自然災害に対する真に有効な対策をとることはできないのではと思うのだ。




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