今の不況を乗り切るのはやはり「日本の技術力」だな

February 9, 2009 – 5:43 pm

2月6日付けの日経(夕刊)の「拓く人」という記事のなかに小沢和展という「エナックス」という会社の社長さんが紹介されていた。この会社、リチウムイオン電池のベンチャー企業だという。この記事を読んで、やはり新しい産業を切り拓くのは「技術力」だなとの思いを強くした。

日経の記事の見出しは、「独自の技術力、舞台は世界 車用電池-大手と競うベンチャー」で、エナックスというリチウムイオン電池のベンチャー企業が世界的に評価されているとの話題が紹介されている。私自身の知識は、単に、今注目の電気自動車にとってリチウムイオン電池が重要な役割を持つらしいということぐらいしかない。電池の製造会社は凌ぎをけずって奮闘しているなかで、このエナックスという会社の技術レベルがどの程度のものなのかについては詳しくは知らない。この新聞記事だけだ。私にはこれ以上の判断材料はない。

社長さんの経歴に注目: 私がこの記事に注目したのは、この会社の社長、小沢和展さんの経歴だ。記事では、以下のように紹介されている:

前職のソニーでは、担当部長として世界で初めてリチウムイオン電池の量産化を任され、成功させた。辞めたのは1996年。業績悪化で部下に早期退職を促すことになったが「どうしてもできず、自分が退職した」。辞めた翌日につくったのが現在社長を務めるエナックスだった。

というところだ。技術者を大切にする人柄を感じたのだ。

私のソニーに対するイメージは巨大な技術者集団としてのソニーだ。しかし、いつの間にかというか、出井信之というひとが実権を握り始めたあたりから風向きが変わったように感じる。どうも企業経営に重きを置く、悪く言うと金儲けを中心に据えた巨大な「普通の会社」になってしまったように思うのだ。小沢和展エナックス社長がソニーを辞められたのが1996年、この前年1995年4月に出井信之が代表取締役社長に就任している(Winkipediaを参照)。

会社の経営判断としてリストラをしなければならない場面があるのは当然だ。しかし、リストラと同時に、リストラ対象とした技術者の持つ技術力を一緒に失うという事実は忘れてはならない。今、リチウムイオン電池は電気自動車の開発に向けてのキーテクノロジーのひとつとして注目されている。「世界で初めて量産化を成功させた」ソニーは、技術者を失ったその後、この分野でどうなったのだろう。このあたりが、今のソニーのふがいなさの原因では、というのは言い過ぎだろうか?

日本の中小メーカの技術力が現在の不況を乗り切る鍵なのではと思わせるいい話だ。エナックスという会社、私が調べた限りでは、まだ上場企業ではなさそうだ(確かではない)。今からの会社のようだ。こういう会社、まだまだ日本に数多くあるに違いない。技術力を看板にする会社こそ、どんどん成長して欲しい。

巨大なソニーも、同じところからスタートしたのではないか。人こそ技術力の源泉だ。


  1. One Response to “今の不況を乗り切るのはやはり「日本の技術力」だな”

  2. 電池について、少しは知っておかねばと、勉強中です。その過程で、このサイトを見つけ出しました。記入してあることは、正に私の今を表していますし、考えも同感です。エナックスは元ソニーで電池部門を立ち上げた「豊郷和之」氏から聞きました。友人に深く聞くのも洒落臭いので、そうかと聞き流していましたが、どうやらすごい会社の様ですね。日進月歩の分野過ぎてよく解りませんが、佐吉電池とか、宇宙太陽光発電とか、際限なくSFです!…とりあえずは、EV対応でどのくらいのスピードで重量軽減とコストダウン、安全性確保がなされるのかが興味のあるところです。また機会があればご教授願います! 小原宏  拝

    By ohara,hiroshi on Feb 22, 2011

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