驚くほど高額な介護保険料はどうやって算出されてる?

November 22, 2013 – 1:00 pm

65歳に到達し、私も第1号被介護保険者ということになった。さっそく、「介護保険料額決定通知書」と今年度分の請求書(納付書?)が送付されてきた。ここで請求されている額、想像以上に高い。驚いた。

そこで、この介護保険料がどのように算出されるのか、そして今後の見通しはどうなるのか、少し調べてみた。

厚生労働省のパンフレット: 介護保険について調べるには、厚生労働省のHPからダウンロードできるPDFファイル、「公的介護保険制度の現状と今後の役割」が一番わかりやすい。現時点(2013年11月時点)でダウンロードできるのは厚生労働省老健局総務課作成の25年版だ。

このパンフレットのなかに「介護保険制度の仕組み」(p.8)というOHPがある。これをみると我が国の介護のシステム概略と、お金の流れがよく分かる。以下、転載しておく:

介護保険の仕組み
  

介護費用は税金から50%、被保険者から50%: 転載した図からわかることは、介護費用のうち「公的費用」として支払われる部分は、国、地方自治体が支払うのが50%、そして被保険者が保険料として支払う部分が50%となっていることだ。当然のことんがら国、地方自治体の支払いは税金があてられる。

そして、このうち、被保険者の保険料が受け持つ50%のうち、21%が65歳以上の第1号被保険者が、そして40歳以上65歳未満の第2号被保険者が29%を支払うことになっている。第1号被保険者と第2号被保険者の分担割合は、加入者(被保険者)全体の人数の割合で割り振られる。

現時点の介護保険料が決められたのは平成23年度であり、その時点での第1号、第2号の被保険者数が2,978万人と4,299万人であったことから、分担割合は被保険者の比から、それぞれ、21%、29%となっている。

介護保険料の見直しは3年毎に行われ、次回の見直しは26年度ということになっているが、ここ2,3年で、私のような団塊世代が大挙して第1号被保険者になったことを考えると、27年度からの65歳以上の第1号被保険者が支払う割合がかなり大きくなるのは間違いないだろう。

個々人の支払う介護保険料は?: 介護システム全体でこれに要する費用がどのように賄われているかについては、一応、理解できた。では、個々人、特に第1号被保険者が支払う介護保険料は、どのように決められてゆくのだろう。

まず確認しておかねばならないのは、介護システムの保険者(介護サービスを担当するもの)は個々の市町村ということである。各市町村においては、まず、「サービス基盤の整備の状況やサービス利用の見込みに応じて(上述の厚生省パンフp.9)」各々の保険者(市町村)が支払う「保険給付総額」を定め、この「保険給付総額」の21%を65歳以上の第1号被保険者が介護保険料として負担させる。

市町村ごとに介護のための「保険給付総額」が異なるわけであるから、当然のことながら、市町村毎に介護保険料は異なる。さらに、介護保険料、「低所得所に配慮し負担能力に応じて負担を求める」ために、「市町村民税の課税状況等に応じて段階別に設定」されており、市町村に居住する第1号被保険者の所得の分布で、支払う介護保険料は異なることになる。

所得段階による第一号被保険者の介護保険料: 上述したように、65歳以上の第1号被保険者は、その収入・所得の違いを反映するかたち定められた所得段階に応じて、保険料を支払うことになる。これが相当複雑な仕組みになっているのであるが、国が定めている標準的な所得段階では、これは6段階に設定されており、第4段階目にある被保険者が支払う保険料を基準額とし、その他の段階の保険料はこれに段階別に定められた比率を乗ずることによって算出される。

国により示されている標準的な所得段階、そして介護保険料算定のための段階別の比率は以下のよなものだ:

段階 対象 介護保険料
第1段階 生活保護者等
 
0.5 × 基準額
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税
かつ本人年金収入80万円以下等
0.5 × 基準額
第3段階 世帯全員が市町村民税非課税
かつ本人年金収入80万円超等
0.75 ×  基準額
第4段階 本人が市町村民税非課税
(世帯に課税者がいる)等
 基準額 
第5段階 市町村民税課税かつ
基準所得金額190万円未満等
1.25 × 基準額
第6段階 市町村民税課税かつ
基準所得金額190万円以上
1.5 × 基準額

このテーブル、国の標準として示されたものであるのだが、各市町村で所得段階の設定を異なったものにすることも可能なようだ。

第3,4段階については、それぞれ

第3段階の一部 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入120万円以下等
第4段階の一部 本人が市町村民税非課税(世帯に課税者がいる)で、本人年金収入80万円以下等

とすること、そして

第6段階については、市町村の判断で第7段階以上に多段階化が可能

となっている。

私の居住する自治体では、国の標準的な所得段階を採用しているようだが、異なる所得段階を採用しているものが多いようだ。

基準額は市町村で随分ひらきがある: 介護保険料算定について国が示す標準的な仕組みをみてきた。このなかで、各市町村の保険給付総額と第1号被保険者の所得分布などで基準額が異なることを見てきた。

では、市町村で基準額がどの程度異なるのか。厚生労働省が公表している資料に「第五期計画期間における介護保険の第1号保険料について(平成24年3月末時点で額が決定している保険者の集計値)」がある。

この資料を見ると、保険者(市町村)ごとの保険料基準値の平均(月額・加重平均)は、4,972円となっているが、最も高い基準額は新潟県関川村で6,680円、そして最も低い基準額は北海道奥尻町、津別町、そして鹿児島県三島村の2,800円となっている。実に、基準額を見る限り、2倍以上の違いになっていることが分かる。

考えさせられる。

どうも介護保険料について眺めてみると、このシステム、かなりの無理があるのではないか、との印象を持ってしまう。単なる印象ではあるが、いまからどんどん介護保険料が高くなっていく気配だ。

今後、介護保険システムについて詳しく眺めてみる必要がありそうだ。


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