「IPサイマルラジオ」はどうやってユーザーの地域を把握している?

March 21, 2010 – 1:26 pm

今月の初め「やっと我が国でもインターネット経由でラジオ放送が聴ける?」を書いた。試験放送開始の3月15日、IPサイマルラジオ協議会のサイトにアクセスしてみた。「サービス地域外のためラジオを聴くことができません」というメッセージ、やはり接続できなかった。「IPサイマルラジオ」がどうやってユーザーの地域を把握しているのか考えてみた。

IPアドレスからの地域特定: アクセスしたパソコンがサービス地域外にあるかどうかを識別するには、IPアドレスから地域を特定しなければならない。本当にこんなことができるのだろうか、と興味があったが、少なくとも、私がエリア外(茨城県)からアクセスしていることは「正確」に識別されている。

ISP経由でインターネットに接続している場合: 私のように、ISP経由でインターネットにアクセスしていると、ISPのアクセスポイントというかノードがどこに置かれているか把握できる。例えば、私の加入しているISP、OCNの場合では、逆引きしてホスト名を求めると「p2253-ipbf7508marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp」というように、アクセスポイントの位置(収容局)が特定できる。この例では、東京丸の内周辺からのアクセスと簡単に識別することができる。

このノード名(「ホスト名」)は、ISPにより異なり、OCNのように収容局の場所が、直接には、特定できないものもある。例えば、asahi-netの場合をみると、「j112086.dynamic.ppp.asahi-net.or.jp」という形式になっている。この場合、j112086がどの収容局に対応するものかを知らなければならない。どうやら、こうした情報、データベースとして整えられているようだ。

独自のIPアドレスを持つ事業所の場合: 大きな事業所になると、独自にIPアドレスを持っている。この場合、それぞれの事業所ごとに、どのようにIPアドレスを割り振っているのか、明らかにされていないのではないだろうか?私の理解では、それぞれの事業所のポリシーに依存するはずだ。どうなんだろう。

IPアドレスからのユーザー位置特定をビジネスにしている会社が存在しているようだ。この会社、「サイバーエリアリサーチ株式会社」のHPをみると、「SurfPoint(IP Geologcationデータベース)」と名づけた製品、サービスが提供されている。以下のような説明がある(以下、抜粋):

IPアドレスからユーザーの位置を「国・都道府県・市町村」単位で認識する技術
日本国内の全IPアドレスをカバーし、市区町村まで判定可能な次世代のデータベースです。アクセスユーザーの位置を特定することでインターネットのユーザビリティの向上、マーケティング、コンプライアンス、不正防止など様々な目的で利用されます。

なるほど、と思う。しかし、本当に、IPアドレスから市区町村まで「正確に」特定できるのだろうか?この会社が運営している無料のサイトに「IPひろば」というのがある。このサイトの説明によれば、ここでは、IPアドレスを入力すると、「IPアドレス割当国」「市外局番」「接続回線」「都道府県」を得ることができる。試してみた。

IPひろば」を試してみた: 私のパソコンに割り振られているIPアドレスを入力してみると、確かに、ユーザー位置として、私のいる地域、茨城県が特定される。その他、ISPに割り振られているIPアドレスを試してみると、ほぼ完璧にユーザーの地域を特定しているようだ。

それでは、ということで、大きな事業所の持つIPアドレスを試してみた。私が試した範囲では、「IPアドレス割当国」「ホスト名」までは把握できる。しかし、「都道府県」情報については、いづれも「該当なし」となる。この「IPひろば」で使っているデータベース、ISP経由でインターネットでアクセスするユーザーについては、かなり正確に関連情報を蓄積しているが、大きな事業所のIPアドレスに係わる情報については、まだまだ、というところなのだろう。

では、「IPサイマルラジオ」のユーザーの地域特定はどのようになっているのか?ひょっとしたら、独自のIPアドレスそして独自の回線を持つ大手事業所の大部分は、全国どこでも、「IPサイマルラジオ」のサービスを受けることができるのかもしれない。

どうなんだろう。


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