格安sim の使用について考えてみた

February 6, 2016 – 4:47 pm

家計に占める通信費の割合が驚くほど高い。なかでもスマホの利用料金は、安倍首相でなくても、なんとかならないかと思う。そんななか、格安sim、MVNOを利用することで通信費が安くなるという話をよく聞く。素人なりに、このMVNOなるものの利用法について調べてみた。

MVNOとは何か?: 
MVNOというのは「Mobile Virtual Network Operator」の略で、日本語では「仮想移動体通信事業者」という。MVNOは電気通信事業白書に以下のように定義されている:

仮想移動体通信事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)は、周波数の割り当てを受けず、既存の移動系第一種通信事業者(MNO)の提供する電気通信サービスを利用して、エンドユーザーに対して移動通信サービスを提供する電気通信事業者である。

MNOのうち携帯電話事業者には、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクなどがある。我が国の携帯電話事業は、ここに挙げた3つの事業者の寡占状態にあるといっていい。これらの事業者は、総務省から電波周波数の割り当てを受けている。

MVNOは「MNOの電気通信サービスを利用する」ということだが、このことを、MNOの提供する通信サービスを仕入れて、エンドユーザーに小売りしていると言いかえることができるだろう。MVNOが提供・販売する通信サービスは、通信サービスの仕入れ先であるMNOに依存する。

我が国のMVNOの大部分は、NTTドコモの提供する通信サービスを仕入れ、販売している。こうしたMVNOのサービス内容は、当然のことながら、利用可能な周波数帯域、通信方式などはNTTドコモのそれに準拠する。また、エンドユーザーに「販売」するサービスに音声通信を含めるか、あるいはデータ通信のみにするのか、さらにはデータ通信のみとしてもその通信方式などを限定するかどうか、などについては、NTTドコモとそれぞれのMVNOの提携・契約のあり方によっと異なることになる。

因みに、auから通信サービスを「仕入れる」MVNOは、現時点では、mineoとUQmobileの2社のみである。ソフトバンクについては、特にMVNOという範疇に含まれる事業者は存在しないようであるが、これに対応するサービスは、Y!mobileが担っているようだ。

simカードとsimロック: 
スマホ(最近ではいわゆるガラケイの一部も)の機種変更は、それまで使用していた端末から取り出したsimカードを新規に購入した端末に挿し込むことで完了する。このsimカードには、携帯データやスマートフォン、タブレットなどで、個人ごとの回線契約情報などが保持されている。

この手続きを見る限り、我々の携帯電話会社と取り交わした契約の内容は全てsimカードのなかにデータとして書き込まれており、スマホ端末には依存しないように見える。

しかし、携帯電話会社を乗り換える、例えばauからNTTドコモに乗り換えるときには、新たに契約する携帯電話会社から提供されるsimカードを受け取り、これをそれまで使っていた端末に挿し込めば良いのか、というと、実はそうではない。

個々の端末には、それを販売したキャリア(通信事業者)が、そのキャリア以外のsimは受け付けないsimロックと呼ばれる「細工」を施しているからだ。

MVNOで中古のスマホ端末を利用
このsimロックと呼ばれる「細工」が、MVNOを通じた通信サービスでは、どのように影響するのだろうか。結論からいうと、MVNOから受け取るsimカードを用いるとき、simロックを「掛けた」MNOが通信サービスの仕入れ先であればsimロックの影響を受けることはない。例えば、NTTドコモから通信サービスを仕入れているMVNOがエンドユーザーに送付する格安のsimカードは、NTTドコモで購入した中古端末に適合する。

実は、これは、我が国では、MVNOがMNOから提供を受けるのは通信回線だけではなくsimカードそのものも貸与されることによる。端末側からみて、MNO、NTTドコモが配布したsimカードなのか、MVNO、例えばIIJが配布したsimカードなのかの見分けはつかない。

昨年4月に機種変更した際に手元に残ったiPhone5(au)でMVNOを試してみようとau系のmineoと契約した。その際、私の受け取ったsimカードには「au Nano IC Cardの所有権は、KDDI株式会社または沖縄セルラー電話株式会社に帰属します」と記述されている。mineoから受け取ったsimカードは、auからmineoに貸与されていることが分かる。

MVNOで中古スマホ活用する際に注意しておかねばならないこと 
MVNOを活用する際には、MNOからMVNOが提供される通信サービスの中身について把握しておかねばならない。契約は、データ通信のみか、音声通話も含められているのか、そしてそれらの通信方式はどのようなものかについて、明確に把握しておくことが必要だ。

例えば、私がiPhone5を活用するためにmineoと契約した例では、データ通信と音声通話両方ができるのであるが、データ通信についてはLTEによる通信のみで、3G回線によるデータ通信は含まていない。そして、音声通話には3G回線が使われている。

mineoから配布されたsimカードを挿したiPhone5では、音声通話は何の問題もなく行うことができた。私の中古のiPhone5は、携帯電話としての機能は十分にはたすことができた。しかし、データ通信を利用することはできなかった。

データ通信が利用できなかったのは、私の居住する地域では、auでiPhone5がLTEで利用できる唯一の周波数帯域(LTEバンド1)が利用可能でなかったことによる。機種変更前には、これを補うかたちでデータ通信についても3Gで可能としていたが、残念ながら auはmineoに対して3G回線でのデータ通信は提供していなかった。

その他、端末におけるユーザー認証など細かな設定、動作がOSのバージョンなどで微妙に影響することがあることが知られている。MVNOを活用する際には、十分に、その特性について把握しておくことも必要だと思う。結構、MVNOの利用は、私のような素人には敷居が高い感じがする。

simロックフリー端末
最後に、「simロックフリー端末」について言及しておきたい。simロックフリー端末を利用すると、その端末がサポートする通信方式、周波数帯域などが通信事業者の提供するものに適合さえすれば、simカードを刺しかえることにより、どのキャリア、通信事業者にも変更することができる。ユーザーにとっては、かなり有利だ。

ただ、すでに述べたことではあるが、使用するスマホ端末がサポートする通信方式、周波数帯域などについて十分な知識を持つことが必須の条件ということは忘れてはならない。

最後に
以上、MVNOを活用するときに知っておかねばならないことについてメモしておいた。

これ以外にも、実際の通信速度、音声通話の品質などについて、個別のMVNOについて考慮することが大切だと思う。

全体を通じて、携帯電話の世界、かなり複雑だと思う。電波行政の利権なども影響し、一筋縄にはいかない業界のように感じる。


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