昨年のインフルエンザ騒ぎはどうなったのだろう?

October 29, 2010 – 5:54 pm

我が娘、来春に大学入試を控えた受験生である。入試前にインフルエンザにでもなったら大変だ。ということで予防接種をどうしようかと考えている。そこで思い出したのが、昨年の新型インフルエンザ騒ぎ。我がブログにもインフルエンザ関連のエントリーが数件ある。これを読み直してみると、去年は、毎日、インフルエンザの「恐怖」におびえていたのを思い出した。

今になって考えると、あの騒ぎ一体なんだったんだろう? なんらかの教訓をわれわれは得ることができたのかな?なんて考えてしまう。ふりかえってみた。

全くはずれた「予測シミュレーション」: 去年のインフルエンザ騒ぎがはじまったころ大日康史(国立感染症研究所感染症情報センター主任研究員)の感染拡大の予測シミュレーションについての論文を読んだ。シミュレーションに基づく予測、かなり刺激的だった。

「最初の感染者の入国から2週間目には東京で322,000人の新たな感染者が発生すると予測」されていた。幸いにも、実際の罹患者数はシミュレーションによる予測とは大きく隔たっていた。このあたりは、「インフルエンザ感染拡大予測シミュレーションの意義って何?」に書いた。

シミュレーションの予測がはずれるというのは当然ありうる。計算モデルが不適切なこともあるであろう、また予測に必要なデータの不足ということもあるだろう。しかし、重要なことは、予測がはずれたときに、その理由を明確にし、シミュレーションの予測精度を高めることが重要なのでは、と思う。そうでなかったら、単なる数字の遊びになってしまう。

昨年の騒ぎから一年たった。その後、この大日康史モデルはどうなっているのか?「大日康史」をキーワードにしてグーグルで検索してみた。残念ながら、該当するデータは見当たらない。一般には見つけることができない「学術論文」として出版されているのかもしれない。

あれだけ世の中に注目された「研究」、是非、その後の進展を知りたいものだ。

WHOのパンデミック宣言: 昨年、このインフルエンザ騒動にかかわり、WHOは「パンデミック宣言」をした。ついに来たか、とそれなりに緊張した。なにしろ、その道の専門家集団が、世界各国から集められるデータをもとに判断を下したのだから、緊張しないわけにはいかない。

Scientific Americanの10月号に興味深い記事がでていた。この記事、「科学(者)への信頼」にかかわる読者アンケートといったものだ。ここに、「パンデミック宣言について科学者を信頼するかどうか」というのがあった。下図は、その結果の一部(欧州と米国で読者の反応が著しく異なっていることから注目されているものだ)。

この記事を読むと、英国のタブロイド紙にWHOの検討メンバーと製薬会社との癒着が暴露され、その結果、このインフルエンザ・パンデミックにかかわりヨーロッパとアメリカの読者の間に信頼、非信頼の差が大きく分かれてしまった、という。

こんな話がでてくると、いくらWHOの宣言といえども信用できなくなる。困ったものだ。

インフル騒ぎ一応の区切りをつけたところで、専門家の立場からきちんとレビューされ、一般に公表されるのが極めて大切なのでは、と思う。

「科学者の責任」とは、このあたりをきちんとするかどうかにかかっているのでは、と思うのだ。

さて、わが娘の予防注射はどうするか・・・。


  1. One Response to “昨年のインフルエンザ騒ぎはどうなったのだろう?”

  2. 「新型インフルエンザの流行予測モデルは有効であったか」/大日康史 なる記事がメディカルレビュー社「インフルエンザ」Vol.12 No.1 2011年1月号に出ているようだ。

    By yama on Oct 30, 2010

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