Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category



武田徹著「原発報道とメディア」を読んでみた

Monday, October 10th, 2011

近所の公営図書館で「大震災と福島第一原発事故」関連図書のコーナーで見つけたのが本書、「原発報道とメディア」だ。ひととおり読んでみた。表題から期待したのは、今回の原発事故に対するメディアの対応について、さまざまな事例を紹介するとともに、その問題点を指摘しているのかもしれない、といったものであった。実際には、むしろ、著者のジャーナリズム観、ありかたを議論したものになっている。

 読後感をひとことでまとめると、3月11日を経験し、「事実」を「報道」するジャーナリストとしての立ち位置をどこに求めるのかを率直に模索する姿を、著者の議論のなかに見たように感じた、といったところだろう。 (続きを読む)



福島第一事故と「(原子力の)専門家」(平川克美氏の議論)

Wednesday, August 17th, 2011

 8月16日付け東京新聞(総合版)の文化欄に、平川克美氏による「お金で買った安全神話」なる解説記事がでていた。

 この記事において、平川氏は、「本来ステークスホルダー(利害関係者)であってはならない専門家が、(原子力分野においては、)いつの間にかステークホルダーになっている」とし、福島第一事故においてメディアに登場した「専門家の意見が分断されていた理由のひとつがここに起因していた」という議論を展開している。そして、その背景に、安全神話を作るための使われた大量のお金により生じた「利権」がある、という。

 この平川氏の議論、かなり乱暴で、一面的ではないかとの印象を持った。多少うがった言い方をすれば、福島第一事故の発生した今、原子炉の安全神話さえ批判しておけば、議論が多少乱暴で、緻密さを欠いていても、すんなり世間に受け入れられる、という印象すら持った。

 こうした傾向、福島第一事故後のひとつの世相を反映しているのであろう。その典型として平川氏の議論があるのでは、と考えたのである。メモしておくことにした。 (続きを読む)



福島第一事故についての原子力学会シンポジウムにでかけてきた

Sunday, August 7th, 2011

 私の住む茨城県東海村で、原子力学会主催「福島第一原子力発電所事故と原子力安全に関するシンポジウム」が開催された。原子力の専門家のあいだで、今回の原発事故がどのように議論されているかを知りたくて、参加してきた。
 ひとことで感想を述べさせていただくと、原子力の未来をどうするか深刻に考えねばならない大事故を経験したにしては、なんともノンキで脳天気な議論が行われていることに驚きすら感じた。 (続きを読む)



福島第一事故による放射線被曝をどう考えればいいか(その7)

Friday, August 5th, 2011

 原子力事故による放射線被曝を考えるうえで、事故発生直後の被曝のフェーズと、これに続く慢性的な放射能汚染による放射線被曝を受けるフェーズとを分けて考えることが必要だ。ここでは、後者の慢性的な放射線汚染による被曝について、事故発生直後に、私が、考えたことをメモしておいた。 (続きを読む)



我が家の放射能除染作業

Wednesday, August 3rd, 2011

 ささやかながら我が家でも放射能の除染作業をやった。
 除染作業というとおおげさになってしまうが、「梅干し」の天日干しをする2階のベランダの大掃除をやったのだ。
 梅干しづくりをはじめて5年になるが、例年と異なるのはなんといっても「福島第一原発の事故」の影響だ。
 この事故による「梅干し」の放射能汚染を避けるためにおこなったのが、ベランダの大掃除「除染作業」なのだ。 (続きを読む)