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J-PARC 事故の説明会に参加してきた

Sunday, June 16th, 2013

5月23日に発生したJ-PARC事故について施設周辺住民(茨城県東海村居住者)への説明会が開催された。住民の一人として、事故の詳細を知ることができればということで参加させていただいた。

今回の事故は、原発事故と異なり、陽子加速器装置で発生したものである。この種の装置で、微量とはいえ環境中に放射性物質を「放出」するにいたったというのは、私にとっては、驚きだった。おそらく、世界でも類例のない事故ではないかと想像している。

説明会で受け取った資料、そして説明、その後の質疑について、私の感想も交えてメモしておいた。

(なお、ここで記載した内容については、執筆者、私の理解であり、誤まったところもあるかもしれない。ご容赦願いたい)。 (続きを読む)



斉藤 誠著「原発危機の経済学―社会科学者として考えたこと―」を読んでみた

Tuesday, June 11th, 2013

本書の出版は、福島第一事故の発生からおおよそ半年後の2011年10月ということで、あの大事故に触発されて書かれた一連の書籍の一つに分類することができる。数多く出版されている関連本のなかで、本書は、現役の経済学者が正面きって事故の原因、さらには我が国の原子力政策を議論したものとして極めてユニークなものだ。我が国の今後の原子力のありかたを考えるうえで、一読の価値はあると思う。

私自身、7年前まで原子力関連の研究所でお世話になっていた。そういうこともあり、門前の小僧程度には、原子力、そして放射線被曝のイロハを身につけているものと自負している。そうした目から見て、著者は短時間に原子力の基本的な構造・構成について理解を深め、そのうえで今後の原子力事業のとるべき道について深い洞察をしている。

本書で、興味深く感じたところをメモしておいた。 (続きを読む)



放射線障害のメカニズムからの説明(児玉龍彦の解説を読んで)

Friday, June 7th, 2013

「低線量被曝のモラル」を読んだ。そのなかに、島園進(東大教授:宗教学)そして一ノ瀬正樹(東大教授:哲学)が聞き手になって児玉龍彦(東大アイソトープ総合センター長)から放射線被曝、除染などの話を聞く鼎談(「討論2 何をなすべきか?」)が収められている。
ここで、児玉龍彦が放射線によるがんの発生メカニズムについて非常に興味深い話をしている。チェルノブイリにおける甲状腺がんの子どもたちの染色体が特異的なかたちで障害をうけているということ、さらにはこの特定の領域(バリンドローム変異がおこる領域)でおこったがんは放射線障害の可能性が高いというのだ。
もし、この話が正しいということになると、放射線障害に起因するがんは他のがんと区別できる、言い換えると非特異的ではなくなってしまい低線量被曝の健康影響の評価のありかたがいっぺんに変わってしまうことになる。これは大変な話だ。
メモしておくことにした。 (続きを読む)



「原発災害とアカデミズム 福島大・東大からの問いかけと行動」を読んでみた

Wednesday, May 29th, 2013

福島第一事故の発生から2年が経過した。原発事故の発生以来、さまざまな視点・立場からこの原発事故が語られている。本書は、原発事故に対し、学者・研究者が、いかに向き合ってきたか。そして、アカデミズムが本来果たすべき責務を果たすことができたかどうか。福島大、東大の研究者たちが、それを、検証しようとしたひとつの記録(論文集といってよいか?)といってよい。

本書全体を通じて、原発事故による放射能汚染そしてそれによる放射線被曝という状況は、どのように考え対処すべきなのか、非常にラディカルな視点を提供する。原発災害に対する「科学」の立ち位置を鋭く検証する。深く考えさせられた。印象深かったところをメモしておいた。 (続きを読む)



伊藤守著「テレビは原発事故をどう伝えたのか」を読んでみた

Tuesday, May 21st, 2013

2年前の東日本大地震そしてそれに続く福島第一原発事故にみられるような広域の「災害」に遭遇したとき、われわれは何から必要な情報を取得するのか。大部分の情報は、テレビ報道を通じて取得され、それに依拠しながら、意思決定することになる。

本書は、福島第一原発事故のメディアの役割を検証するため、「テレビ報道に限定して、しかも事故発生から初期の七日間に限定して、ドキュメントとして記録し、検証を加え(p.255)」たものだ。今回の災害・事故に際して、テレビ報道がわれわれの期待に応えるものであったかどうか、そして課題はどのようなものであったのか。本書を読みながら考えてみた。 (続きを読む)