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今中哲二著 「低線量放射線被曝 チェルノブイリから福島へ」を読んでみた

Wednesday, May 8th, 2013

福島原発事故の発生以来、放射線被曝に伴う健康影響を題材とする書籍が多数出版された。これら書籍には、放射線による健康影響をことさらに大きく見せるものから、過少に見せるものまでさまざまであった。

それらのなかで、本書は、長年にわたり放射線の測定・評価に取り組んできた著者によるものであり、福島原発事故による環境汚染そしてそれに伴う低線量放射線被曝の実相を平易かつ科学的に解説している。一読の価値があると思う。

本書を読んで印象に残った部分を転載し、メモとして残しておいた。 (続きを読む)



児玉龍彦著「内部被曝の真実」を読んで見た

Wednesday, October 24th, 2012

児玉龍彦東京大学教授(アイソトープ総合センターセンター長)が、福島第一事故の3ヶ月後、国会の参考人として、事故により環境中に放出された放射性物質による健康影響についての意見説明を行った。この意見説明、参考人、児玉教授の「エモーショナルな」説明もあいまって、マスコミでも大きく取上げられた。

本書は、そのときの意見説明、質疑応答を収録するとともに、その背景にある児玉教授の主張をサポートする諸事実をまとめたものだ。

近所の公立図書館に展示されているのを見つけ、今更とは思ったのだが、時間をおいた今、冷静な目で、何が議論されたのか、読み直してみることにした。 (続きを読む)



福島第一事故による放射線被曝をどう考えればよいか(その10)

Thursday, February 2nd, 2012

昨日の東京新聞(2月1日朝刊)に「被ばく基準緩和 NHK番組 原発推進団体が抗議」なる記事がでていた。記事のリード文を以下転載:

 NHKが昨年末、国際的な低線量被ばくのリスク基準が政治的な判断で低く設定されたという内容の番組を放映したことに対し、原子力発電推進を訴える複数団体のメンバーらが「(番組内容には)誤りや論拠が不明な点、不都合な事実の隠蔽(いんぺい)がある」として、NHKに抗議文を送っていたことが分かった。

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土井里紗著 「放射能に負けない体の作り方」を読んでみた

Saturday, January 7th, 2012

福島第一事故のあと、放射線被曝による健康影響についての一般向けに書かれた書籍が数多く出版されている。そうした書籍のなかに、現在の放射線被曝に関わる法的基準の基礎となっているICRP(国際放射線防護委員会)の勧告を問題視するものも多い。こうした書籍が、子供の健康を心配する母親などを中心に読まれ、かなりの影響力を持っているようである。

こうした書籍のひとつで近所の公立図書館で見つけた土井里紗著「放射能に負けない体の作り方」を読んでみた。

本書の感想をひとことで述べると、この本、今回の原発事故に便乗した単なる「健康食品」本といったところだ。こうした本の出版に、原発事故と放射能の環境汚染による不安な心理に付け込んだ不真面目な商業主義的な意図(少なくとも出版社にそうした意図はあっただろう)を感じてしまう。 (続きを読む)



「粉ミルクからセシウム検出」の報道で考えたこと

Friday, December 9th, 2011

12月6日に、明治の粉ミルクから放射性セシウムが検出されたと報道された。

このニュース、汚染のレベルの大小というより、むしろ、わたしが想像していなかった汚染経路が存在することに気づかされたこと、そして汚染を最初に見つけたのが市民団体であったことの2点で、私にとっては、かなり衝撃的なものであった。

ニュースの内容とこれに関連して私の考えたことをメモしておいた。 (続きを読む)