「PERFECT DAYS」を観た
June 3, 2026 – 3:34 pmNHK BS1でヴィム・ヴェンダースの「PERFECT DAYS」を観た。久しぶりに、本当にいい映画というものを観たと思った。深く、美しい映画だった。
2023年のカンヌ国際映画祭で主要男優賞が与えられた作品で、発表当時は話題になったものだ。話題の映画ということは知っていたが、自ら進んで見てみようとはしてなかった。ヴィム・ヴェンダース監督の作品のうち、「パリ・テキサス」とか「東京画」を、随分前になるが観たことがある。この監督が、「東京物語」をはじめとする小津安二郎監督の作品を称賛しているということも知っていた。
「PERFECT DAYS」は、東京の公衆トイレの清掃員、平山(役所広司)の日常を淡々と描くものである。
私の感想を簡単に述べると、この主人公が、世の中と、そして過去と隔絶した世界で,真摯に清掃員の職務をこなす姿に、ある種の潔さというものを感じ、生きることの理想的な姿をも感じた。
私自身は、会社を辞め、20年が経つ。この20年間の生活は、それ以前の「通常の」世の中の営みから、ほぼ隔絶されたものだ。映画のなかの主人公の日常は、なにか、私の感じるそれに近いものを感じる。隔絶された世界ではあるが、他からは想像することができない充実した日常、「PERFECT」な日々のなかにいる。
平山を演じる役所広司の演技は、当然のことながら、素晴らしかった。
平山の姪ニコを演じる、中野有紗がよかった。平山の世界を無垢な気持ちで受け入れる少女の姿に清々しさを感じた。ニコの「海につれってくれる?」という問いに、「今度ね」と平山。それに対して、「今度って、いつ?」と問う、答えて、「今度は今度、いまはいま」。ニコは、復唱するように「今度は今度、いまはいま」という場面が実にいいい。
きっと中野理沙という女優さん。どんどん、いい女優さんに成長するに違いないと思った。
最後のほうの場面で、居酒屋の女主人に、私の好きな石川さゆりが登場し、「朝日の当たる家」を歌う場面がある。バックのギターは、あがた森魚が弾いてる。この映画全編にながれる曲が主人公の若かりしころのジャズであることも併せて、同じ時代を生きた年寄りの私としては、とてもここちよかった。
それにしても、主演の役所広司をはじめとする有名な俳優、女優を集めているのには感心した。
