Archive for the ‘読書・読後感’ Category



武田徹著「原発報道とメディア」を読んでみた

Monday, October 10th, 2011

近所の公営図書館で「大震災と福島第一原発事故」関連図書のコーナーで見つけたのが本書、「原発報道とメディア」だ。ひととおり読んでみた。表題から期待したのは、今回の原発事故に対するメディアの対応について、さまざまな事例を紹介するとともに、その問題点を指摘しているのかもしれない、といったものであった。実際には、むしろ、著者のジャーナリズム観、ありかたを議論したものになっている。

 読後感をひとことでまとめると、3月11日を経験し、「事実」を「報道」するジャーナリストとしての立ち位置をどこに求めるのかを率直に模索する姿を、著者の議論のなかに見たように感じた、といったところだろう。 (続きを読む)



福島第一事故調の委員長、畑村洋太郎教授の「失敗学」

Friday, June 10th, 2011

福島第一の事故調査委員会の初会合が7日に開かれた。日経の記事(6月7 日web刊)ではつぎのようになっている。以下、抜粋:

 東京電力福島第1原発事故で、事故原因や法規制のあり方などを検証する第三者機関「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)の初会合が7日、東京都内で開かれた。年内に中間報告をとりまとめた上で、来年夏までに最終報告をまとめる方針。
 ・・・
 畑村委員長は「原子力は危険なもの。安全とされてきたことは間違いと思っている」と述べ、可能であれば6月中にも福島第1原発への現地視察を行う意向を示した。また、「原因究明の動作ができなくなってしまう」として責任追及は目的としないと名言。「国民や世界の人々が持っている疑問に答え、100年後の評価に耐えられるものにしたい」と語った。

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益川敏英著「科学にときめく」を読んでみた

Tuesday, October 19th, 2010

近所の公立図書館で一昨年のノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんの本を見つけた。受賞後1年たって刊行されたもので、ノーベル賞受賞時の講演、その前後に行われた各種の講演、雑誌などへの寄稿文がまとめられたものである。なかなか興味深い内容だった。私が興味深いと感じた部分をメモしておいた。 (続きを読む)



司馬遼太郎著「翔ぶが如く」を読み終えた

Saturday, October 16th, 2010

司馬遼太郎著「翔ぶが如く」(文春文庫版 全10巻)を読み終えた。8月半ばから読み始め、実に、2ヶ月を要したことになる。実に興味深い本であった。現在の「日本」という国を考えるうえで、幕末から西南戦争の終結に至るまでの歴史的な流れを知らずして議論できないように思った。あまりにも私の知らないことが多くあることに気づいた次第だ。この書を読み終えたといことだけでもメモしておくことにした。 (続きを読む)



トーマス・クーン著「科学革命の構造」を読んでみた

Tuesday, September 28th, 2010

科学研究の分野で、パラダイムとかパラダイムシフトという言葉をよく耳にする。この意味するところ、ぼんやりと分かったような気分でいたが、よくよく考えてみると正確なところは分かっていない。いまさらとは思うが、このパラダイムなる概念を自分なりに明確にしておきたいと思った。このパラダイムなる用語の出所は、トーマス・クーンの「科学革命の構造」のようだ。読んでみることにした。

読んでみて、なるほど、こういうことが主張されていたのか、とあらためて思ったところだ。クーンの主張が、我が国の科学論などに対し、大きな影響を与えたのも理解できた。かなり強力だ。読むだけの価値はあったと思う。しかし、私の「科学観」といったもの(そういものがあるかどうかは何ともいえないが・・)からすると、本書の主張、私にとっては、なかなか受け入れることができないな、というのが偽らざるところだ。 (続きを読む)