Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category



山本義隆著 「福島の原発事故をめぐって」を読んでみた

Sunday, November 6th, 2011

本書は、福島第一原発事故を私なりに考えてゆくうえで、読んでみたいと思っていた本のひとつだ。
著者、山本義隆は、私の世代から見れば、元東大全共闘委員長ということで知られている。現在は、科学史の研究をしているということのようだ。その著作を、近所の公営図書館で、めくってみたことがある。
本書の感想をひとことでいうなら、山本義隆の科学技術のもたらす未来への悲観主義的な立場にある種の驚きをおぼえる。
本書の論調、私にとっては全面的に受け入れられるという性格のものではないが、「反原子力」「脱原子力」を標榜する立場のひとつの典型として、この書を読むことに意味があると思う。主要な論点と思った部分をメモしておいた。 (続きを読む)



宮台信司×飯田哲也 共著 「原発社会からの離脱」を読んでみた

Wednesday, October 26th, 2011

3.11を経験した今、「原子力」とどのように関りを持って行けばいいのか? 自然エネルギーは、原子力に代わるエネルギー源と考えていいのか? 思いを巡らしているところだ。

ヒントになれば、ということで「自然エネルギー利用」のチャンピオン飯田哲也の書いたものを読んでみることにした。 (続きを読む)



八木絵香著「対話の場をデザインする」を読んでみた

Wednesday, October 26th, 2011

本書は、著者らが原子力立地地域において原子力の専門家と地域住民の間の効果的な「対話」を実現しようと、2002年から2009年まで7年間にわたって行った実験的な試み「対話フォーラム」の実践記録である。

この「対話フォーラム」は、国の原子力開発計画が遅々として進まない原因のひとつを原子力の専門家と立地地域住民との間に効果的な「対話」がもたれてないこととの認識から立ち上げられたプロジェクトである。

この実践記録が発刊されて1年半後の今年3月11日に福島第一原発事故が発生した。
フクシマ後の今、本書の「対話フォーラム」などにおける原子力分野における「リスク・コミュニケーション」活動とはなんであったのか考がえてみたい、と本書を読んでみた。 (続きを読む)



松井英介著「見えない恐怖 放射線内部被曝」を読んでみた

Sunday, October 16th, 2011

福島第一の事故により大量の放射性物質が環境中に放出された。以降、放射線による被曝とその健康影響について議論が盛んになった。なかでも、放射性物質に汚染された空気、水、食品などを摂取することによる被曝、「内部被曝」について多く議論されているようだ。

私自身の放射線との付き合いは、結構、長い。そうした経験に照らしてみると、3.11事故以降目にする「内部被曝」についての議論は、私にとって、疑問に思うことが多々ある。ここらで、私なりに、整理しておく必要を感じている。 (続きを読む)



原発の安全性と日本の文化的特質(「大津波と原発」を読んでみて)

Friday, October 14th, 2011

3.11の大震災そして原発事故のあとを受けて、原発の安全性について様々な議論が行われている。私自身、原子力関連の組織で働いていたものとして、原発の今後についてどう考えるべきか思いをめぐらしているところである。
最近、「大津波と原発」を読んだ。ここでは、日本の文化的特質と対比しながら原発の安全性について議論されている。議論の結論は脱原発ということになるのだが、この結論に至る議論が非常に興味深いものと感じた。メモしておいた。 (続きを読む)