Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category
Monday, September 5th, 2022
日経(2022 9/05付け朝刊)に「核燃サイクル、道筋見えず -原燃の再処理工場、26回目の完成延期」という記事がでていた。
この日経記事のリード文を、以下に転載:
青森県六ケ所村で核燃料の再処理工場を手がける日本原燃は2022年度上期としていた施設の完成を延期する。週内にも県や村などに伝える。延期は26回目となる。総事業費14兆円のサイクル事業は当初計画から25年たった今も実現せず、先行きを見通せない。
この記事を読んだ第一印象。あれ、まだこんなことやっているのか?というところ。
核燃サイクルの実現なんていうのは、幻想に過ぎないのに、メドのたたないことを続けているのには驚く。
この日経記事は、
「岸田文雄政権は『原子力の最大限の活用』を訴える。現在の原子力政策はサイクル事業を前提とするが、道のりは険しい。原発の活用を進めるにはサイクル事業のあり方や、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分といった課題にも向き合う必要がある。
とまとめられている。なんとも、能天気な話ではないか。
なんのことはない。福島第一の事故後、核燃サイクルの見直しがずいぶん議論されたが、結局、青森県の脅しでとん挫した経緯がある。極めて政治的な話で、技術的な話ではない。
現在のエネルギー危機を解決する切り札として原子力の活用を上げ、これには、核燃サイクルなんてのが前提なんて言ったら、「原子力の最大限の活用」なんてできるわけはない。
以前から、このブログサイトで書いているように、再処理なんてやらないで使用済み燃料は「乾式貯蔵」という方法を選ぶのが一番だ。
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Tuesday, August 30th, 2022
今後を見通すことが困難なウクライナ情勢だが、ウクライナが南部州で大規模な攻勢にでているようだ。ひょっとしたら戦況が変化する兆しではないかと期待。
日経電子版(8/30 6:22更新)にウクライナ、南部州で反撃 ロシア「IAEA調査に協力」」という記事がでていた。記事のリード文は以下に転載:
ウクライナ軍は29日、ロシアが占領するウクライナ南部ヘルソン州の奪還に向けて大規模な攻勢を開始した。同国南部に位置するザポロジエ原子力発電所をめぐっては、ロシア側が国際原子力機関(IAEA)の調査に協力する姿勢を示した。
ウクライナメディアによると、同国軍はヘルソン州でロシア軍の最初の防衛線を突破した。ロシア軍は防衛拠点から撤退したり、後退を始めたりしているという。ヘルソン州はロシアが侵攻初期に占領を進めたが、その後、ウクライナが反攻を強めている。
連日のウクライナ報道のなかで、へルソン州をウクライナにが奪還するかどうかが戦況の分かれ目というように思う。上述の記事、その観点からみて、かなり大きなニュースだ。
ロシアがウクライナに侵攻して半年たったところであるが、これまでに、ロシア兵士の8万が死傷したと報じられている。侵攻開始時点で15万の兵力がつぎ込まれたというので、ロシアはその半数を失ったということになる。当初のロシアの目論見は完全に崩れたということだろう。
ウクライナ南東部に位置するザポロジエ原発の状況が気になる。この原発、ヨーロッパ最大、世界で三番目の規模の原子力発電所。ロシア型の加圧水型原子炉6基からなる。現在、ロシア軍の支配下にあるようだが、数日前(8/25)には2基の原子炉への外部電源が停止し緊急システムが作動した。かなり危険な状態にあると理解している。
南部で劣勢になっているロシアがこの原発を「人質」にとって脅しをかけているような気がする。IAEAの調査団の受け入れも、原子炉人質状態を正当化するための、一種のプロパガンダではないかと想像。
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Wednesday, August 24th, 2022
日経電子版(8/24 5:42更新)に「岸田首相、原発運転期間の延長検討へ 追加再稼働も推進」と題する記事があった。
記事のリード文は以下(転載):
田文雄首相は24日に首相官邸で開くGX実行会議で、原子力発電所の運転期間延長の検討を指示する調整に入った。原発は最長60年の運転を終えれば、廃炉にすることが法令で定められている。安全審査にかかった時間を運転期間から除外して計算するなど実質的に延ばす方策を探る。
これには驚いた。
原発の寿命は40年というところだったのを、無理やり(1回限りの延長という条件で)60年に延ばしたばかりのはずだ。我が家から2.5キロの位置している東海第2原子力発電所は、起動時から40年超えるが、この延長によって再稼働をすることになった。
そもそも原発の寿命40年というのには特段の「科学的」根拠はなく、原発導入時に米国の火力発電所の寿命を参考に、決めたというように記憶している。「科学的」根拠もたいしてない40年を60年にしただけだから、大した話ではないだろという程度の話だった。一応、延長は20年を上限に1回限りという制限はつけられていた。
上述の記事では、「無理やり」延長して60年にしたところを、更に延長しようという話のようだ。根拠はひとつ、(安全審査で)運転しない期間を寿命のなかにとりこまなければ延ばせるだろうということのようだ。これでは、原子炉の寿命、青天井で延長してしまおうということになってしまう。乱暴な話だ。
上述の日経記事のなかで、GX実行会議という聞きなれない会議名がでていた。この会議の開催案内に次のように会議の趣旨が説明されていた。
産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の変革、すなわち、GX(グリーントランスフォーメーション)を実行するべく、必要な施策を検討するため、GX実行会議(以下「会議」という。)を開催する。
なるほど、グリーンといえば泣く子も黙る、ということか!!
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Tuesday, August 23rd, 2022
今朝の日経(8/23付け朝刊)に小型モジュール炉導入の世界的な動きについて、解説記事がでていた。
「〈テックビジュアル 解体新書〉小型原発、エネ安保で脚光米ニュースケールなど市場開拓、脱炭素へ欧米導入の動き」とタイトルされたもの。この記事のなかに、SMRの導入動向が世界地図上に示されていたのでメモしておいた。
(日経8/23付け朝刊より転載)
解説記事のリード文を以下に転載:
安全性や建設費の安さを特徴とする小型モジュール炉(SMR)の導入に世界が動き出した。大規模発電所を主体とした電力供給のあり方を変える可能性を秘め、米新興ニュースケール・パワーなどが新市場開拓に挑む。米欧と対立する中国やロシアはいち早く実用化を進める。気候変動やウクライナ危機で複雑さを増すエネルギー問題を解く有力技術として開発競争が熱を帯びてきた。
10年前の福島第一原発事故を経験した我が国においては、原子炉のコンセプトが異なり、いくら安全な原子炉といわれても、この技術に簡単には飛びつくことはできない。
しかし、ロシアのウクライナ進攻以降にLPGガスの高騰、脱炭素の流れのなかで、原発を導入することで最近のエネルギー危機に対応しようとするのは、自然の流れともいえる。背に腹は代えられないといったところかもしれない。
この解説記事によれば、「SMRは次世代の小型原子炉で、電源に頼らずに原子炉を冷やす構造などを採用し、安全性を高める。工場で大半の設備をつくり、短い工期で建設費を抑える。ニュースケールのこれまでの試算によると、米国内にSMRの発電所を設ける費用は1キロワットあたり3000ドル以下と、5000ドル以上の大型炉に比べほぼ半額の水準になるという。」(同上日経記事)
安全性だけでなく、スケールメリットを旨とする従来型の原子炉に変えて、SMRを詳細に検討するのはよいのかもしれない。
少し、きちんと考えてもいいのかな、と思った次第。
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Friday, August 12th, 2022
「西欧から米国、中国にわたる北半球の広い地域が猛烈な熱波に襲われ、異常気象に対する警告は一般論ではなく、まさに現実の話」(Financial Times 7/26付社説)とCO2対策など異常気象への対処が強調されている。このところ毎日のようにヨーロッパ諸国の山火事、干ばつのニュースがヘッドラインを飾っており、異常気象に対する対処が急がれるといったところだ。
ところが、だ。
今日の日経朝刊には一味異なる話がでていた。「欧州、電力消費に規制・対策 スペイン冷房27度以上に、フランスは石炭発電復活」というニュースだ。このニュースのリード文を以下に転載:
欧州各国がロシアによる天然ガス供給減少への対応を急いでいる。節電のためエアコンの温度制限を設け、屋外照明なども規制する。フランスが石炭火力発電所の再稼働を決めるなど、気候変動対策よりも電力確保を優先する動きも顕著だ。インフレにあえぐ有権者がさらに不便を強いられ、各国政権への不満が高まる恐れもある。
歴史的な熱波騒ぎのなか、気候変動対策というより石炭火力、原子力発電を復活させたり、節電の動きを強化するなど、目先のエネルギー対策に重点を移すような動きがあるようだ。
なんだかんだいうけど、ロシアが天然ガスのヨーロッパ向けラインが閉じるなか、気候変動対策など先送りするのは当然、背に腹は「代えられない」というところか。
あれだけ評判の悪かった石炭火力発電についてみると、フランスでは3月に停止した東部サンタボルドの石炭火力発電所を今年の冬に再稼働、ドイツ、オーストリア、オランダも石炭火力発電の再活用を決めたという。
石炭火力の復活ということになると、当然のことながら原子力発電の復活という動きも大きくなるだろう。
さて、わが国はどうしたらいいのか、多分、石炭火力の強化、原子力発電の復活などを考えたほがよさそうだ。
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