神里達博著 「ブロックチェーンという世界革命」を読んでみた

December 22, 2019 – 12:06 pm

ブロックチェーンという技術、話題になって久しい。「インターネット以来の発明」などと紹介されたりしている。

「計算機オタク」を自認する私としては、この技術の実像を知ろうと、いろいろ関連情報をさがしてみるが、どうも釈然としない。正直なところ、何がすごいのかよく分からないのだ。

日経の11月21日付朝刊の解説記事「ブロックチェーンとは」で次のように解説されている。以下、転載:

ネット上の複数のコンピューターで取引の記録を共有し、互いに監視しあうデータ管理技術、過去のデータの書き換えは事実上不可能で、改ざんリスクが低い。「インターネット以来の発明」とされる一方、大量データ管理が難しいなど技術面で課題が残る。

日経の他の記事では、「分散型台帳」などと呼ばれたりもしている。正直、これを読んで、技術のなんたるかをイメージすることは、私には、できなかった。

この技術についてもっと詳しく知りたいと思っていたところにでくわしたのが本書だ。

「ブロックチェーンという世界革命」という刺激的なタイトル、ブロックチェーンのすごさを教えてくれるのではと、早速、読んでみた。

本書を一読した印象:コンピュータという情報処理技術の歴史的発展のなかで、このブロックチェーンがどのように位置付けられるのか、私なりに理解することができたような気がした。科学史の専門家の解説でこそ知ることができたのだろう。

なるほどとは、思うのではあるが、情報処理技術一般の凄みと、ブロックチェーン技術だけが持つすごさがどうも区別できない。情報処理技術の進歩のなかでこれが特別な位置を占めるものかどうかよくわからない。「革命」というにたる技術かどうか、もう少し学ばなければならないな、というところだ。

以下、本書を読むなかで、なるほどと特に思ったところを書き留めておいた。

まず、ブロックチェーンが最初に注目されたのは仮想通貨、ビットコインからだ。このビットコインというバーチャルな貨幣を支える技術がブロックチェーン技術だ。本書では、ブロックチェーン技術の仕組みについて以下のように纏めている。

ブロックチェーンの仕組みの3つの特徴
「ブロック」とは、一定期間の取引記録をまとめて記載したデータの「塊(block)」のことだ。このブロックが、いくつもチェーンのようにつながっていく、新しい取引があると、ブロックが増えるので、さらに最後尾につなげていく、つまり、一番最初の取引開始から現在までのすべての取引が、すべて数珠つながいになって記録されている電子ファイル、それがブロックチェーンだ。
ブロックチェーンの仕組みで大切なことは以下の3つだ。

  • 貨幣というより、台帳である
  • その唯一の台帳を、ネットワークの参加者全員が共有している
  • 改竄できないことが、技術的に保証されている (p.82)

そして、この仕組みのコアにマイニングによるPoWの発明があるとする。

マイニングによるPoWの発明、突き詰めれば、それこそがビットコインの新しさだ。仕組みそのものは、実はとてもシンプルだ。誰が誰にお金を渡したのか、すべての取引を時系列に沿ってずっと記録していっくこと。その記録である台帳が、唯一ユニークで正しいものであることを維持すること、それ以上のことはなにもやっていない。
さらにいえば、ひとつの台帳に記載することで「お金」の機能を実現すること、そして公開鍵暗号で情報を処理すること、ココまでは、サトシ・ナカモト以前に、すでに知られていた技術だ。
PoWという、参加者同士の競争によって、台帳が唯一の本物であうことを維持させるように仕向ける、それがビットコイン(ブロックチェーン)の仕組みのすべてだ。(p.111)

本書を通じて、なんとなく、ブロックチェーンの実体をイメージしたような気分がしてきた。

ブロックチェーンという技術が、既存の情報処理技術を基盤からの発展としてあること、そしてその凄みも多少はイメージできたような気もする。ただ、まだ私にとっては学ぶところは多いな、という感じ。
 


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