Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category
Tuesday, February 14th, 2023
日経朝刊(2/13付)に原発を60年超えで運転可能とすることを原子力規制委員会が了承した話がでていた。この話、規制委員会委員のひとりの反対を押し切るかたちで、多数決で決めた。東電の大事故の反省から生まれた原子力規制委員会は骨抜きになってしまったとの印象を受ける。
日経記事のリード文を以下、転載:
原子力規制委員会は13日夜に臨時の委員会を開き、運転開始から60年を超える原子力発電所の安全規制に関する新たな制度案と原子炉等規制法改正の条文案を多数決で了承した。山中伸介委員長と他の委員の計4人が賛成し、石渡明委員が1人反対を続けた。規制委が重要案件を多数決で了承したのは極めて異例だ。
本件については、その成り行きを注目していたところだが、残念ながら、規制委員会の責任を放棄するかたちで決着してしまったように思う。残念な話だ。
記事のなかで、原子力安全の専門家である杉山智之委員の発言が紹介されている。この発言、以下のようなもの:
締め切りを守らないといけないとせかされて議論してきた。規制委は独立した機関であり、われわれのなかでじっくり議論すべきだった
このような発言をするなら、議論を深めるために立場を留保することも可能だと思う。この発言、昨年末に誕生した山中伸介委員長体制の規制委員会の体質を示したものと理解。
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Thursday, February 9th, 2023
今朝の日経朝刊(2/9付)に興味深い記事がでていた。この記事、「原発60年超運転、承認を持ち越し -規制委、委員1人が反対 改めて議論へ-」とタイトルされるもの。
以下、記事のリード文を転載:
原子力規制委員会は8日の定例委員会で、原子力発電所の60年超の運転を可能にする安全規制の制度案の決定を見送った。地震や津波の審査を担当する石渡明委員が「安全側への改変とは言えない。この案に反対する」と意見を述べたためで、来週の委員会で改めて議論する。
議論された「制度案」では、
運転開始後30年目から10年ごとに古い原発の安全性を審査し認可する制度で、現行の原則40年、最長60年の規定は原子炉等規制法から削除することになる。
この規制委員会の動きについて、本ブログの二つの記事「原子炉の寿命が青天井になる?」そして「原子炉の寿命延長 いよいよ具体的な動きが」で批判的な意見を述べたことがある。
規制委員会の石渡明委員の反対は当然といえば当然と思った次第。原子力安全の専門家が賛成するのは多少違和感を感じてしまう。
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Friday, February 3rd, 2023
日経朝刊(2/3付け)に放射性廃棄物の最終処分についての小さな記事がでていた。
記事のタイトルは「核のごみ最終処分「政府の責任」-8年ぶりの方針改定案-」。
リード文を以下に転載:
政府は2日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分実現に向けた基本方針の改定案を与党に示した。改定は8年ぶりで「政府一丸となって、かつ、政府の責任で最終処分に向けて取り組む」との文言を加えた。新たに複数地域で文献調査の実施をめざすとした。
この記事、高レベル放射性廃棄物の最終処分の見通しないが、「政府一丸」「政府の責任」で取り組みますというもの。
なんのことはない、みんなに嫌われている処分場を提供してもらうよう自治体にお願いをします程度の話。
放射性廃棄物の処理方法は「乾式処理」に切り替え、原発敷地に長期保存するしかないのでは、というのが私の見解。
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Wednesday, November 9th, 2022
日経朝刊(11/09付け)に「原発60年超運転へ2案 -停止期間は除外/上限撤廃 -経産省、稼働数の確保重視」と題する記事がでていた。
記事のリード文を以下転載:
経済産業省は8日、原子力発電所の60年超の運転に向けた制度改正について2つの案を審議会で示した。原発の運転期間は現状、原子炉等規制法で原則40年、最長60年と定めている。東日本大震災後の安全審査で長く停止していた期間などを運転期間から除外する案と、期間の上限そのものを撤廃する案を提示した。与党とも調整し、年末までに結論を出す。
1週間前に「原子炉の寿命が青天井になる?」に原子力安全規制委員会の動きについて書いた。規制委員会の議論では、経産省エネ庁により運転期間延長が提案され、法的にこれが認められた場合に備えて、規制方式を考えておかねばという話であった。
規制委員会で期間延長について対処できる体制が整ったので、エネ庁により寿命延長を具体化させることになりましたということのようだ。役所の手際のよさには感心してしまう。
いずれにしろ、規制の枠をどんどんとっぱらってゆくということには違いない。
原子力業界の傲慢さには辟易してしまうというのは言い過ぎか?
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Thursday, November 3rd, 2022
日経朝刊(11/03付け)に「原発審査、60年超稼働念頭 -30年目から10年ごと、規制委が年内に法改正骨子 安全性をより厳格に ―」とタイトルされた記事がでていた。
記事のリード文を以下に転載:
原子力規制委員会は2日の定例委員会で、長期に運転させる原子力発電所の審査の見直し案を大筋で了承した。現行は延長認可を運転開始後40年を迎えた時点で1回だけ実施。今後は30年目から10年間隔で経年劣化や安全性を繰り返し厳しく確認する方針だ。
現行の原子炉等規制法では運転期間の延長の認可について、「運転開始後40年を迎えた時点で1回に限り、延長することができると規定しており、延長する機関は、20年を超えない期間」とされている。このもとでは、運転期間は最高60年という制限が明確にされている。
40年から60年への運転期間延長を可能とするよう原子炉等規制法の改定においても議論のあったところであるが、資源エネルギー庁においては運転期間の見直しの検討が進められているという。原子力規制委員会では、運転期間を法令で定めるのは原子力規制委員会の所掌範囲外であるが、運転期間の延長が法的に認められた場合に備えて、規制方式について検討しておこうとしたようである。
今回の規制委員会の見直し案では、運転期間延長を最大20年とする延長認可にかえ、高経年化技術評価を「10年を超えない期間ごとに」に技術評価を行うということにしよとすることのようだ。
規制委の山中伸介委員長によると、「現行制度よりはるかに厳しい規制になる」と述べたようである。しかし、部外者の私にとっては、今回の規制委の動き、原子炉の寿命を青天井にする資源エネルギー庁の検討を後押しするとしか思えない、ような気がしてしまう。
規制委員会委員長の変更によって、規制の姿勢が変化してしまったとするのは、言い過ぎ?
関連資料:
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