気になったニュース: 日鉄のUSスティール買収計画の挫折
January 4, 2025 – 5:35 pm新年早々、日本製鉄によるUSスティールの買収計画とん挫のニュースが報じられている。
秋の大統領選挙でも争点のひとつになっていた買収計画、結局バイデン大統領が阻止するとの声明を出したことで完全に終結を終えることになった。トランプの強引なアメリカ第一路線を批判しているように思えたバイデンが買収阻止という結論を出したのには意外な感じを受けたというのが正直なとこだ。
しかし、この話、日経電子版(1/4 6:14)の「日鉄買収計画が刺激した『米国の郷愁』 経済合理性通じず」を読むとなるほどと思わされた。
この記事のリード文を以下に転載:
日本製鉄によるUSスチールの買収計画が頓挫した。米大統領選で働く「政治的合理性」に翻弄された結果だ。選挙戦のさなかに勝敗を分ける激戦州で米国を象徴する製造業が外国企業に買収される抵抗感は経済の合理性と別次元にあった。
私は、日鉄の買収がUSスティールにとっていい話であるかどうかについては、よく分からない。全くの素人だ。ただ、USスティールのCEOは、「USスチールは日鉄による買収は米鉄鋼業の競争力を高め、中国の脅威に対抗するもの」としている。経済合理性という観点では、当事者にとっては、USスティールの当事者にとっては、疑うことができないほどに有利な話ということのようだ。
しかし、上に引用した日経記事のなかの記述では、買収しようとするのが米国以外の国であったのが問題だったとされている。
数年前に、シャープが台湾の鴻海精密に買収されたとき、われわれ日本国民はどう考えたか、思い出すと、この感情は何もアメリカ特有のものではなく、我々の間でも我が国で一時代を気づいたシャープほどの会社が台湾企業の傘下に組み込まれるというのに抵抗感はなかったか。
さらに、今、セブンイレブンがカナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けている話を聞くと、今や日本のインフラの一部となっている「自慢の」コンビニがカナダに買収されるというのを聞くと、セブンイレブンがんばれなんて気分になってしまう。
多分、セブンイレブンだって、カナダに買収されたほうが経済合理性からみたらいいのかもしれない。我が国のコンビニは他にもローソンとかファミマとかセブンイレブンがなくてもインフラとしての機能を維持できるのではと思ってしまう。多分、セブンイレブンなんて買収されてしまうのが我が国のためになるに違いない。
しかし、我が国で成長したシャープとかセブンイレブンが外資の傘下になるというのには何か釈然としない気分はある。買収するのが日本以外だからだ。米国第一主義の気分は我々にもある。当然だ。
さらに、これに加えて、アメリカにとっての日本というのも障壁になったのではないか、なんて思ってしまう。
冒頭の日経記事の最後に、80年代の日米摩擦でソニーの盛田さんの話が紹介されている。以下のようなものだ:
米国の地域社会に英国人などが投資をして入ってきても異邦人の侵入と受け取られない。だが、日本人が行くと何か分からない異邦人が入ってきたと思う。それは恐怖心と不安感を与えるからだ
やはり、米国にとっては、我々日本国民は「異邦人」なのだ。越えられない壁がある。