証言 原子力規制委員会は何をめざしたか
April 19, 2026 – 2:39 pm3月末の日経の読書欄に本書「証言 原子力規制委員会は何をめざしたか」の書評がでていた。
近所の公立図書館の蔵書のなかにこれがあるのをみつけて予約、読んでみた。
本書は3部構成となっており、3部では「原子力規制委員会確立の軌跡」として初代ならびに二代目の規制委員長、田中俊一、更田豊志、中村佳代子委員、池田克彦規制庁初代長官と初期の幹部職員(安田正也、櫻田道夫)に対するインタビューの内容の詳細が証言としてまとめられている。
この証言を通じて、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の「壊滅的」な事故で失墜した原子力への信頼を取り戻すために規制体系を再構築しようとした努力を見ることができる。委員長などの証言はマスコミなどを通じて受けていた印象とはかなり異なるもので、日本の原子力の歴史にとって、未来を展望するうえで欠くことのできないものとの印象を受けた。
特に、田中俊一委員長の証言については、原子力の基礎分野の研究者の深い識見を証言のなかにみることができた。以下、私にとって印象的な部分について証言内容をメモしておいた。
東電を頂点とした電力業界への不信を強く主張
(事故前に)中部電力、浜岡原発では、非常用発電源とかいろいろな設備を全部水密にしていた。・・「東電も危ないのではないか」と言われていたのに、東電はそれを無視。「中電は余計なことをするな」と東電から圧力をかけられた」と浜岡発電所長の伊藤さんが述懐していた。
東電みたいなところの社員は、技術屋といっても大学を出ている優等生というだけでああって、本当の意味の技術は知らないですよ。みんな下請けがやっています。・・
原子力災害対策指針の策定で重要なことは1Fの経験(無茶な避難をすると結局は犠牲を多く出す)を反映すること
(内閣府の避難計画では、)どうしても避難が第一みたいになっているけれど、違うということを言わなきゃいけない。 ・・
「とにかく避難はしないでください。慌てて避難すると決してプラスにはなりません」
「避難できるかできないか」と大騒ぎしているのはマスコミです。不勉強だからですよ。だって、1Fの事故であれほど騒いで二〇〇〇人以上も震災関連しの犠牲者を出しているのに、UNSCAREは、これまでの放射線の健康影響はゼロですし、「将来もない」と言っている。「遺伝的影響もありません」、「がんになるリスクもありません」という結論です。
私は、現在、東海第二原子力発電所から2.5キロのところに住んでいる。
現在の原子力災害対策指針では、PAZ(予防的防護措置を準備する区域)ということになっており、この区域では「EALに応じて、即時避難を実施する党、通常の運転及び停止中の放射性物質の放出量とは異なる水準で放射性物質が放出される前の段階から予防的に防護する」となっている。平たく言うと、事故が起きそうになったらあれこれ言わずに避難しろとなっている。
冗談じゃない。へたに避難を強要されるようになったらたまらない、というのが正直なところ。田中委員長の証言は、私の考えるところと一致する。こうした避難を強要されないように、こうした事態が発生したら「居留守」をつかってじっとしていようというのが最善の対応策では、と思っている。いらぬおせっかいはいりません、といったところだ。
できないことを「できない」といわない
技術というのは、できないことをあたかもできるかのように考えてやるのは、間違いの原因に
福島第一原発の汚染水問題について「トリチウム水は希釈廃棄しかありません」といっていたが、これを議論するタスクフォースのなかで、雨後の筍のように「技術でトリチウムを除去する」という話が出たが結局おおきな無駄
核燃サイクルと高速増殖炉は技術的展望もなくすすめられ破綻。
そのほか、廃棄物処理について、キャスクにいれて、当面、サイト内で保管するといった現実的、科学的実現可能な対応をとることが重要 などなど 示唆に富んだ指摘が