我が家の全館空調システム(東芝製NEXTAIR)を修理(2016年版)
July 6, 2016 – 5:13 pm我が家を新築した際に設置した全館空調システムを修理した。最初に設置したのが1998年だったので設置後18 年が経過している。8年前にも修理しており2度目の修理になる(「我が家の全館空調システムを修理した」)。
この空調システム、既に製造を中止している代物ということもあり、修理をしてもらうまで大変だった。修理にたどりつくまで、我が家を施工した旭化成、空調の製造元東芝などとやりとりをしたのだが、いまになって思うと、ハウスメーカ旭化成の対応は私にとって不満の残るものであった。
8年前のエントリーに対しても、いまだにそれなりのアクセスを頂いている。全館空調について私と同じ悩みを持つかたに私の経験が役にたつかもしれないということで、今回の修理についてメモしておくことにした。
東芝製NEXTAIRの概要と故障について:
全館空調システムにもメーカーによりいろいろな形式のものがある。今回の修理について記述する前に、我が家に設置している東芝製NEXTAIRのシステム概要について手元にある東芝作成の「‘97設計・据付ガイド 2.機器の組み合わせ」から転載:
空調室内ユニット①で温湿度調整された空気は、断熱フレキダクト⑦を通って、各部屋のユニット(天井吹出ファンユニット③)に送られ、部屋の中へ吹出されます。同量の部屋の空気は、ドアのアンダーカット部や壁面、天井面等に取り付けられたガラリ等を通って、共用等にある空調室内ユニット①へ戻されます。一方屋外からは新鮮空気が全熱交換気ユニット⑤によって導入され、屋内の空気と熱交換を行った後、空調室内ユニット①へ断熱フレキダクト⑦で送風され、屋内全域へ送風されます。室内のリターン空気は熱交換後、屋外へ排出されます。全館の温度管理をするコントロールパネル⑥はリビングルーム等に設置します。
我が家には、この図に示されるシステムを1階と2階のそれぞれに設置、すなわち2つの等価なシステムで家全体の冷暖房、換気を賄っている。なお、システムの制御に用いるセンターコントロールパネル⑥は、1,2階共通でパネルひとつとされている。パネルはひとつであるが、ふたつの空調システムは個々独立したものになっている。
さて今回の修理を必要とした不具合は、空調室内ユニット①そして全熱交換気ユニット⑤の2箇所。このうち空調室内ユニット①については、2008年にも今回と同様の不具合が生じ、修理をしている。
修理が必要になった不具合は二つのユニットいずれについても大きな騒音の発生だ。騒音の原因はユニットを構成するモータなど部品、部材などの「経年劣化」を原因だった。
いずれのユニットにおいても空気の流れをつくるファンモーターがあるが、長期間の使用によりモータの軸にずれが生じてしまい不具合の発生にいたった。前回の修理の際にも明らかになったことだが長年の使用によりファンモータへの汚れの付着、そしてその重みを原因としてかなりの騒音を発生させた。
全熱交換ユニットについては、ファンモータの問題に加えて、熱交換ユニットとそれを覆う部材が腐食してしまい、吸い込みと掃き出しの空気の間の「隔壁」が機能しなくなってしてしまうとか、部材間にゆるみが生じて振動音を発生させてしまっていた。このユニットについては振動音、騒音の発生に加えて、熱交換機能自身が劣化してしまっていた。
部品の交換で修理!:
途方にくれていたところ、書類を整理していたら8年前の修理の請求書が見つかった。その請求書には「東芝テクノネットワーク株式会社」との名称で電話番号も記載されていた。だめもとでここに電話をしてみると、この会社、現在は「東芝コンシューママーケティング株式会社」との名称でサービスをしていることがわかった。
この会社(我が家の近くの最寄りのサービスセンター)のサービスマンによると、空調室内ユニット①そして全熱交換気ユニット⑤ともに修理に必要な部品を取り寄せることも可能だという。取り付けを含む修理費用も空調室内ユニット(1セット)の修理が36,700円、全熱交換換気ユニット(1セット)については54,324円、総計91,000円程度で可能ということになった。
早速、修理を依頼し、長い間困っていた案件、一挙に解決することができた。
今回の工事では1,2階の2セットのうち、2階の1セットの修理のみを終えることができたが、修理費用がおもったほどではなかったこともあり、もう1セットの修理も依頼しているところだ。
因みに、東芝製の空調換関係の修理は、「東芝エアコン空調機ご相談センター」(Tel: 0120-1048-00)に相談すると最寄りのサービスセンターが対応してくれるシステムになっているようである。
東芝のサービス部門、前回のブログでも書いたのであるが、組織が猫の目のように変わり一筋縄には対応してもらえないようである。なんとか、今回は、1セットだけは、修理に持ち込むことができた。
ともあれ、一件落着だ。
部品の入手可能性:
修理を担当してくれたサービスマンの説明では、NEXTAIRの部品については、発注から調達までの時間はかかることはあるかもしれないが、温度、風量などを制御する電子制御部品以外であったら、製造打ち切りから時間がたっていても調達可能で修理できるという。
空調技術は日進月歩で、NEXTAIRを使用し続けることはコストパフォーマンスから見てあまり有利ではないかもしれない。しかし、これまで使用してきた経験からいうと、快適な空調で、修理可能であればいつまでも使い続けたいと思っているところだ。
不可解なハウスメーカ旭化成リフォームの対応:
今回修理した空調システムNEXTAIRはすでに製造を中止して久しい。家電製品については、一般に、製造中止から7,8年経過するとメーカーは修理用の部品を保存しないということになっているようだ。
これまで、数か月にわたって、製造元の東芝と関連会社、我が家を施工した旭化成などにNEXTAIRの修理について相談してみたのだがなんとも要領を得ないものであった。東芝のエアコン関連を扱かっているはずの東芝キャリア株式会社に問い合わせると「施工したハウスメーカ経由で問い合わせるように」との返答。ハウスメーカに問い合わせると、製造中止から時間が経過しているので修理用部材が調達できないため修理不能などという返答であった。
さらにハウスメーカ旭化成には、我が家を建てた時期にはNEXTAIRが準オプションになっていたはずと思うから私と同様の問題を抱えている顧客のみなさんどのように対応されているか、なんらかの情報が得られないかと問い合わせても、製造中止から時間が経過しているので修理は無理という説明に終始してしまっていた。
ハウスメーカ、旭化成のリフォームサービス、儲けにならないものについては真摯に対応しないということなのではと疑ってしまった。
なんとか修理を行うことができた今になってみると、旭化成のリフォームセクションは一体何をやっていたのか?東芝のサービスセンター(東芝エアコン空調換気ご相談センター)に対して1ユーザーが問い合わせをして可能だったことが、「製造中止から時間がたっているため修理不能」なんて返答をよこしていたというのは一体どういうことなのか、疑問に感じてしまった。
できることなら、旭化成からの経緯について説明を受けたいと思うが、「クレーマー顧客」ということして一蹴されてしまうのだろう。
修理への長い道のり:
愚痴をそのくらいにして、この間、検討・経験したことを以下に記しておくことにする。
修理が不能ということで別の全館空調システムを導入するとか、部屋ごとに複数台のエアコンを設置するなどいろいろ検討してみた。どの方法も、なかなか難しいことがわかり途方に暮れてしまったというのが正直なところだ。
既存のダクトなどを生かす形でダイキン社製の「全館空調システム」の導入を考え見積もりを依頼してみた。総工費(税込み)270万円との回答。空調だけでなく家全体のリフォームを同時に行わないととても対応できるような工事でないと思い断念。
部屋ごとに複数台のエアコンを新規に設置したらどうだろうということで検討してみた。これには新たにエアコン用の専用の電源とコンセントが確保することが必要になる。我が家(ヘーベルハウス)の構造的な問題もあり、この種の工事はハウスメーカ旭化成の協力会社にお願いすることがいいのではということで見積もりを依頼してみた。
結果、一階の分電盤から2階の各部屋にエアコン用の電源ラインを敷設・配線し、コンセントを設置する工事に要する費用は12万円と見積もられた。この見積もり、2階の一部屋のみへの電源設置工事なので、全室への電源設置を依頼すると20万円以上の費用となってしまう。そうはいうものの、エアコンなしで厳しい夏は超えられないということで4室に拡大した電源工事の詳細な見積もりをお願いし、据え付けをするエアコンの機種選定を進めた。
ところが、である。依頼した旭化成関連会社からは、なんの返答もなく月日が経過。どうやら、「うるさい」客は敬遠されたようである。リフォーム会社の枠組みのなかで行う修理には対応するが、その枠組みを超えての相談には、「たらいまわし」で凌ぐというのがこの大手ハウスメーカ旭化成のリフォームセクションのやり口か?不信感だけが増幅してしまった。
最後には、ハウスメーカ旭化成のリフォームセクションを通じての工事は断念。旭化成リフォームにはこれまで依頼していた見積もり・工事への依頼は、こちらから断りを入れた。
今回の教訓は次のようなもの。
新たに家を建てる場合、空調、電気通信機器などの組み込みに際しては、できる限りメンテナンス可能か形とすべきだ。電気関連機器などのライフサイクルはほぼ10年程度のものが多い。設置から10年以上経過すると、こうした最新式の機器もおのずと陳腐化する。家の設計にあたっては、機器の入れ替えを可能にするような構造をあらかじめ持たせておくことが非常に重要だ。
このあたりをきちんとしておかないと10数年に一度は大規模なリフォームが必要になってしまう。我が家を施工した旭化成といった大手のハウスメーカといえども、このあたりのサポートはできない。
旭化成では、「ロングライフプログラム」を謳い、「基本性能を60年先まで維持する、独自のメンテナンス・点検システム」を誇っているが、基本は外壁とか構造体を中心にしたサービスであり、設置した諸設備についてのメンテナンスについてはおざなりな対応しかできないといったところだろう。おそらく、旭化成に限らず、他のハウスメーカについても同様だろうと考える。施主である我々、ハウスメーカの一歩前を見据えながら家づくりを考えなければならない。
旭化成ホームズ(株)へひとこと:
最後に、旭化成ホームズ(株)にひとこと、今回の空調修理工事を通じて、貴社の対応については本当に不快に感じてしまいました。数年前には、壁と屋根の塗装をお願いしたのですが、対応した若手営業マンの横柄な態度には辟易したのを記憶しております。今回の空調修理作業においても、事後サービスの重要さを説くハウスメーカ旭化成ホームズにとってはあってはならないことではないかと考える次第です。
私の申し上げていること、ひとりの施主の不満ということではありますが、貴社のサービスのありかたについて考えると、小さなことではないと思っております。
ヘーベルハウスは他のハウスメーカに比較し、決して安価な買い物ではないと認識しています。その価格のなかには、施主へのアドバイスなどが含まれていると理解しております。
そのあたりを斟酌され、ユーザーに対する支援サービスが向上されることお願いしたいと思います。
6 Responses to “我が家の全館空調システム(東芝製NEXTAIR)を修理(2016年版)”
情報をありがとうございました。当方は三井ホームで2000年に新築し、NEXT AIRを導入しました。今までちょっとしたトラブルで済んでいましたが、最近2〜3年で給湯器が壊れたり、床暖房が壊れたり、トイレが壊れたり、途端に設備の故障が続いています。それで、全館空調をどうしようか?と考え始めました。現在三井ホームで扱っている加湿もできる物に変えるとどうなるのかと見積もりを頼んでみたら、何と950万!。新築時の契約書を見直してみると、空調設備は(電気工事代を除くとありますが)約340万が値引きして260万になってました。今後、どうしたら良いのか本当に悩みます。
By Toru Komahashi on Jul 31, 2016
コメントありがとうございます。
本当に家のメンテナンスをどうするかには悩みが深いです。
施主だけでなく、ハウスメーカも対策をきちんと考える必要があるのではないか、と思ってます。
このあたりについてまとめて記事を書いてみたいと思っているところです。
By yama on Aug 1, 2016
こんにちは。「東芝 全館空調」の検索でこちらに辿り着きました。
我が家はネクストエアーを2006年の新築時に導入しました。
室内機のブロアモーターですが、2年目に振動+騒音の問題が発生しました。その時は保証でブロアモーターをセットで交換しました。
5年目には室内機のエバポレーターがドレンパンの水分により錆びて穴が開き、ガスが抜けてしまいました。これも保証で修理となりました。(エバポ交換)
定期的なメンテナンスとして自分で年二回ドレンパンのフロートセンサー、ドレンパン、ブロアモーター、ファンの清掃を行っています。
高価な物なので可能な限り長く使って行きたいと思っておりますが、部品が無くなってしまうとそれも無理になってしまうのでYamaさんの部品交換情報はありがたいです。
これからもネクストエアーに関する情報をシェアして頂けたらと思います。
By ボーノ on Feb 13, 2017
コメントありがとうございます。
室内機のメンテナンスを自前でやられているようで感心しました。
当方も試してみようと思いました。
おっしゃるように高価なもの長く使えればと思っております。
また、気が付いたことがあったら書かせていただければと思っています。
By yama on Feb 14, 2017
お疲れ様です。
東芝キヤリアがネクストエアの新モデルを出しました。
知っていたらすいません。
By ああ on Mar 5, 2023
コメントありがとうございます
我が家の空調は通常の各室空調に変更しました。
By yama on Mar 6, 2023