IoTの目指すとことろ、そして日本型システムの進むべき道
July 10, 2015 – 7:19 am日経(7月9日付朝刊)で、坂村健東京大学教授による IoT (Internet on Things)の解説を読んだ。
興味深かったのは、IoTの目指すところが「トヨタ自動車が『カンバン・システム』で実現したことと大差ない」というところ。私のIoTに対する感想と一致している。
坂村教授はこれから一歩進んで、日本の(トヨタのカンバンなどの)システムは自社製品に閉じたシステムであるが、欧米で議論されているIoTはオープンなシステムに対するものであると言う。なるほど、と思う。
新聞記事の気になった部分を抜粋、メモしておいた。
IoT(Internet of Things)とは何かについて、新聞記事の冒頭で、次のように紹介される:
(IoTというのは、)今のインターネットが、主にウェブやメールなど人間のコミュニケーションを助けるものであるのと違い、コンピュータが組み込まれたモノ同士がネットワーク連携して社会や生活を支援する、という考え方だ。情報通信技術(ICT)の応用分野で最も注目されている未来像である。
なるほど、と思う。モノにコンピュータを組み込み、そのモノの状態を相互に連携させるということのようだ。これには、コンピュータ以前に、モノの状態を感知・計測するセンサー技術も必要だ。それに「状態」を加工・表現するところ、そして連携(会話)の部分にコンピュータが登場するってことと理解した。
欧米の製造業における動き:
IoT にかかわる欧米の動きのなかで、代表的なものとして、「ドイツが中心になって進める『インダストリー4.0』と米国中心の『インダストリアル・インターネット・コンソーシアム』があるという。
「インダストリー4.0」の報告書では、
蒸気、電気、オートメーション(自動化)に次ぐ第4の産業革命はIoT化で、製品製造から組み立て販売まですべての現場が連結され透明化される。その結果、意思決定が最適化され、高効率かつ柔軟な多品種少量生産が可能になる。
とされているようだ。
そして、米国のインダストリアル・インターネット・コンソーシアムの目指すものは、
産業機器に多くのセンサーを組み込み、ネットワーク化してデータを集め、故障診断からさらには予防修理までつなげるというコンセプト
のようだ。
日本型システムが展開すべき方向、オープン性:
ここで筆者、坂村教授は、前者は「トヨタ自動車が『カンバン・システム』で実現したことと大差ない」とし、後者のコンセプトは、「コマツの重機の世界ネットワークや、IHIの発電ガスタービンの予防保全で既に実現されているもの」とする。
ここで、トヨタ、コマツなどの日本型システムと独・米で議論されているIoTの違いは、日本型システムが自社あるいは系列という閉じたものであるのに対し、独・米のIoTは、広くオープンな系であるところとされる。
日本型システムをいかに開放的(オープン)なシステムに発展させるか、が今後の展開として注目すべきことのようだ。