Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category
Sunday, August 18th, 2024
日経(8/18付け朝刊)に「原燃の再処理工場、26年度に完成延期」と題する小さな記事ががでていた。
記事のリード文を以下に転載:
日本原燃が使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の完成時期の目標を9月末から延期し、2026年度内とする方向で検討していることが17日、わかった。原子力規制委員会の審査に時間がかかっているためで、1993年の着工以来、延期されれば27回目となる。
この原燃の再処理工場、1993年に着工し97年に完成予定だったものだ。30年以上も前に着工したものが、いまだに完成の日の目を見ることなく、今に至っても完成時期を延期するというのは、計画自体が破綻していることに他ならない。ダラダラといつまでも先送りにするというのにはあきれるばかりだ。
我が国の核燃サイクル計画を「完全に」見直す必要がある。
使用済み燃料を溶解しプルトニウムを取り出そうというのはよしたほうがいい。むしろ、使用済み核燃料を切り刻み、高レベルの放射性溶液を生み出すような核燃料再処理に見切りをつけ、真剣に「乾式貯蔵」方式に転換すべきだ。
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日経電子版(5/25 5:00配信)に「家庭も新電力離れ、23年は初の流出超 料金競争に息切れ」という記事がでていた。
この記事、もてはやされていた電力自由化が失敗だったということなのかと思った。
記事のリード文を以下、転載:
家庭向け電力小売りで新電力の苦境が鮮明だ。2023年には電力自由化以降で初めて大手電力に対し顧客が流出超になった。ロシアによるウクライナ侵略などを受けた燃料高で従来の価格競争力を維持できなくなった。現在は単価の変動を抑える固定料金や電気利用の予想データを提供する企業が注目され、競争の軸足が変わりつつある。
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Thursday, March 7th, 2024
右に掲げたようなものがtweetされているのを見た。これを見た私の第一印象は、著名な「進歩的文化人」を揶揄するものだろうというものだった。正直なところ、少しばかり、確かに「息苦しい」感じを受ける名前が並んでいるのには感心した。
ところが、表紙に並んでいるのは「息苦しさの正体」と名指しされた著名人のリストといったものではなく、「自由の危機」とタイトルされた極めて真面目な書籍であり、「-息苦しさの正体」というのはこの本のサブタイトルであり、表紙の著名人のリストはこの書籍の著者のリストであるということを理解した。
何故、私が、「この本の表示ヒドくない」というのに反応してしまったのか?考えてみると、私自身の感覚が、(本書の著者の皆様からみて)ネトウヨと呼ばれるような発想を持つ人間だったのかもしれないと考えた。
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Wednesday, August 30th, 2023
日経電子版(8/30 17:31配信)に「中国、訪日旅行取りやめの動き 観光にも「不買」余波」という記事を読んだ。
この記事のリード文を以下に転載しておく:
東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出開始に伴う中国の反発が、中国人の訪日旅行にも影響し始めた。中国メディアは旅行のキャンセルを相次ぎ報じた。中国は9月末に国慶節(建国記念日)などに伴う大型連休を控える。団体旅行が解禁され、日本で高まった観光需要拡大への期待がしぼみかねない。
当然の流れと思ってしまう。
せっかく日本観光に来てくれた中国の方々には気の毒と思うのだが、福島第一の汚染水の放出により日本産海産物の輸入を全面停止するという中国政府の方針のもとでは中国人の日本訪問は無理だ。政府の方針に反するような態度をとることが無理な中国のかたがたが、この時期に、日本を訪問する気もなくなるのは「理解」できる。
中国政府が日本を含む国々への団体旅行を解禁したことから、コロナ前のインバウンド需要を期待したのはわかるが、中国人の団体旅行による混乱が起きないことは、むしろ、良いことと思ってしまう。
中国人観光客が大挙押し寄せてくると何が起きるかはコロナ前に経験している。個人的な意見で申し訳ないが、日本国内での中国人観光客の傍若無人な振る舞いがなくなったこことをほっとしているというのが正直なところだ。
日本の漁業関係者のご苦労は大変なことと思う。国民挙げて、支援をすることこそ今大切なことなのではとおもうところだ。
台湾からのマンゴウに難癖をつけたり、オーストラリアに対するワイン輸入の手続き複雑化などの嫌がらせをする中国に対し憤りを感じる。
健康被害を及ぼすと考え、いやだと思うひとに我が国の海産物を口にしていただく必要なんてない。
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Sunday, August 27th, 2023
24日から福島第一原子力発電所に貯留されていた原発処理水の海洋放出が開始された。
この措置について、さまざまな議論がされている。多少、原子力の仕事に携わったことがあるものとして、私なりの感想を述べるのもいいのではないかとこの記事を書いた。
私の立ち位置は、今回の処理水放出はやむをえない措置であり、十分なモニタリングを行い、制御したかたち、海洋放出を行うべきものと考えるものだ。10年にもわたってタンクに貯められ、現在も増え続ける汚染水の処理をやらないわけにはいかない。タンクを置く敷地が少なくなり、「廃炉」処理を行うことに支障をきたすということもあるが、それ以上に、タンクのなかに大量の処理水を置くことは制御しない形で、事故的に、海に流れこむ危険性もあるではないかと考える。
貯留タンク中には、「核汚染水」をALPS(多核種除去設備)を用いて処理された処理水が貯留されている。2019年に公表されている「他核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会取りまとめ(案)」には、貯留されている処理水の現状について次のように述べている:
現在貯留しているALPS処理水の約8割には、現時点でトリチウム以外の放射性物質が環境中へ放出する際の基準(告示濃度限度比総和1以下)を超えて含まれている
とし、
ALPS処理水に含まれるトリチウム以外の放射性物質については、・・希釈を行う前に二次処理を行い、トリチウム以外の放射性物質について告示濃度限度比総和1をみたすことを今後の対応方針として決定
している。
ここで述べられているのは、トリチウム以外の放射性核種についてはALPSで処理可能なものであり、これを活用して「告示濃度限度比総和1を満たすまで処理をするとしている。トリチウムはALPSの処理の対象とならないということだ。
こうした処理を前提に、放出対象とする「処理水」がトリチウムを含むものと説明されている。
今回の海洋放出を問題とする議論をながめてみると、いろいろあるが、気になった反対論の二つについてみてみることにした:
ひとつは、「TBS報道特集」での鈴木達次郎長崎大学教授のコメントだ。鈴木教授は福島第一事故発生時まで、原子力委員会委員をつとめ、日本の原子力産業のある意味「旗頭」としての役割を果たしてきたひとだ。以下のようにコメントしている:
他の国がですね危険だ危険だというほうの説明には私は賛成しないのですが、中には放射性物質が入っていますので純粋のトリチウム水とは違うものとして扱わなきゃいけないと思っています。
だから、そういう意味ではですね、ほかの国の原発や他の国の施設からトリチウム水が大量に流れているからこれも大丈夫だという説明は私は間違っていると思います。
二次処理をすれば確かにきれいになっていくと思うので半年なり1年なりもうけて実際にALPSがきちんと動きます。でてきた処理水は明らかに基準値以下になるということを書類ではなく実際にやってみて、そのデータを公開していただくというプロセスがあって初めてじゃあ本格的に放出を始めましょうとなるのがえーあの筋だと思いますね
はい、ご説ごもっとも、としかいいようがない。上述した「小委員会とりまとめ(案)」にきちんと記述してあるではないか、何をいまさらという感想だ。
こんなひとが、日本の原子力政策の中心にいたとは驚きだ。ある意味、がっかりだ。
次に、政治家の発言だ。日本共産党の志位和夫委員長のtwitter上への発信だ。以下のようなもの:
全漁連会長コメント。
「本日、ALPS処理水の海洋放出が開始された。我々がALPS処理水の海洋放出に反対であることは いささかも変わりはない」
「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」という約束を破った首相の責任はあまりにも重い。
汚染水(アルプス処理水)の海洋放出に反対する。
なんのことはない。漁連の説得もきちんとしないで、「汚染水(アルプス処理水)」を海洋放出するのはけしからん。ということを言っているにすぎない。
すこしは、海洋放出が安全であるかないかということを議論したらどうかと思ってしまう。私たちは漁民のみなさんの側にたっていますと宣伝しているだけになっているとしか思えない。
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