Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category



今年も「原子力立地給付金」を受け取った

Thursday, October 28th, 2021

一昨日(10/26)、私の銀行口座に「原子力立地給付金」が振り込まれていることに気づいた。

この給付金、毎年10月になると「必ず」振り込まれてくる。

私の自宅が原電の東海発電所から2.5キロの位置にあることから交付されている。変な表現だが、原子力発電所という危険な施設の近くにすんでいるので、「危険手当」が交付されていると考えればいいのかもしれない。

この東海発電所、10年前の大地震以来停止状態が続いており、現在再稼働のための手続きが進められている。稼働していない原子力発電所に対する「危険手当」を受け取るというのは変な話ではあるが、再稼働したときには宜しくっていうことだと理解すればいいのかもしれない。

私自身、この原子力発電所の再稼働には反対の立場。反対しながら、「危険手当」を受け取るというのは節操がない話とは思う。

CO2を出さない発電として原子力が再度注目されてきているが、東日本大地震の惨状を経験したものとしては、簡単には再稼働を受け入れる気にはならないといったところが正直なところ。
 



「核燃料サイクル」維持は幻想、早期に手じまいすべきだ!

Sunday, October 3rd, 2021

自民党の総裁選挙がおわり、岸田文雄が総裁に選出された。明日にも、国会承認を受け、我が国の総理大臣に就任することになる。

総裁になることを期待していた河野太郎は、残念ながら、完敗し、広報本部長という事実上「冷や飯食い」の役職に追いやられてしまった。

総裁選の議論のなかで特に印象に残ったのは、各候補の「核燃サイクル」にたいするポジションだ。河野候補の「核燃サイクルは手じまいすべし」という主張に対して、3人の候補は、以下のように、「核燃サイクル」の維持を主張している(FNNプライムオンラインより転載):

岸田候補:

再稼働しながら核燃サイクルを止めるということは、原発を動かすことは難しくなってしまう。2030年、CO2マイナス46%という目標は難しくなるし、電力コスト自体もはね上がる」

高市候補:

続けなければ、ただのゴミになってしまう。これは安定的なエネルギー供給体制からも逸脱していく。しっかりと、これは核燃料サイクルを進めるべきだ

野田候補:

絶対安定供給というのが電力の使命。それを達成するためには、再生エネルギーという太陽や水や不安定なところによって立つことはできない。ということで、わたしは核燃料サイクルを止めません

これら3候補、本気で「核燃サイクル」の実現可能性を考えているのだろうか? 現実を直視しないで口先だけの主張としか思えない。

高速増殖炉原型炉「もんじゅ」建設の計画は頓挫し、青森六ヶ所村の「再処理工場」も事故続きで、いまだ、運転の見通しも得られていない。どう考えても、「核燃料サイクル維持」を主張することに現実味はない。

そろそろ高レベル使用済み燃料を切り刻み、高レベルの放射性溶液を生み出す核燃再処理に見切りをつける時期にきている。

再処理なしの手段はなくはない。「乾式貯蔵」だ。この方法については、「東海村・村長の『脱原発』論」を読んでみた」を参照してほしい。
 



30年度電源構成 -エネルギー基本計画原案-

Sunday, September 12th, 2021

一月前の日経電子版(7/29付)に「30年度電源構成に死角 点検・エネ基本計画原案 -再生エネ36~36%、太陽光パネル設置場所に限界」という記事がでていた。

我が国のエネルギー政策の基本的な情報のひとつとしてアップしておいた。

この日経記事のリード文とそこに示されていた電源構成図(19年度実績、30年度現行、新目標)を以下転載しておいた。

     
経済産業省が中長期のエネルギー政策を示す新しいエネルギー基本計画の原案を公表した。2030年度の電気を何で供給するのかの構成案が柱で、再生可能エネルギーを大きく増やすのが特徴だ。21年4月に決めた30年度の温暖化ガス排出量を13年度比46%減らす新目標から逆算したもので、個別の対策を積み上げきれず、緻密さに欠ける。電源ごとに細かく分析すると、実現に向けたハードルの高さが浮かび上がってくる。 
   
     

目標とはいうものの、10年後には、ここに示されている電源構成を実現していなければならないなんて、正直、信じられない。

現行目標ですら、その実現可能性には疑問を感じるのに、新目標で、再生可能エネルギーの比率を拡大するというのは絵に描いた餅と言わざるを得ないのではないか。

見通し暗いな。



気になったニュース: 政府、やっと原発処理水の処分方法決定?

Thursday, April 8th, 2021

福島第一の原発処理水問題、本ブログでも何回か扱ってきた。

私なりの結論は、「トリチウム以外の放射性物質を『含まない』処理水の海洋放出を早期に行う」というものだ。いたずらに、問題を先送りし事態を複雑にすべきではない。

今朝のTBSラジオ森本毅郎スタンバイでは、政府が原発処理水の処理方法決定の方針を決めたことについて次のように報じている(以下、書き取り):

東京電力福島第一原発のたまり続けている放射性物質を含んだ処理水について、政府は近く、廃炉汚染水対策の関係閣僚会議を開き、海洋放出を決定する方針を固めました。菅総理は処分について、近日中に判断すると説明。一方、全国漁業協同組合連合会は改めて反対の姿勢を示しています。

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日本の原発地図

Monday, March 8th, 2021

日経産業新聞の特集記事「原発技術 2030年の崖」のまとめが日経電子版(2021/3/7付け)に掲載されていた。

このまとめのなかに、右掲した「日本の原発地図」があった。この図、資源エネルギー庁の資料をもとに、今年の1月18日時点での状況を日経産業新聞がまとめたもの。我が国の現時点での原発の状況を把握するのに便利なものと思った。アップしておいた。

記事のリード文は以下(転載):

東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故からまもなく10年を迎えます。国民の原発に対する信頼が崩れた結果、原発の再稼働は進まず、原発新増設やリプレース(建て替え)の議論も滞っています。政府が2050年までに温暖化ガス排出実質ゼロを実現するとした目標では、原発をこれからどう位置づけ直すかが焦点のひとつです。

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