Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category



気になったニュース: 核のごみ最終処分「政府の責任」???

Friday, February 3rd, 2023

日経朝刊(2/3付け)に放射性廃棄物の最終処分についての小さな記事がでていた。

記事のタイトルは「核のごみ最終処分「政府の責任」-8年ぶりの方針改定案-」。

リード文を以下に転載:

政府は2日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分実現に向けた基本方針の改定案を与党に示した。改定は8年ぶりで「政府一丸となって、かつ、政府の責任で最終処分に向けて取り組む」との文言を加えた。新たに複数地域で文献調査の実施をめざすとした。

この記事、高レベル放射性廃棄物の最終処分の見通しないが、「政府一丸」「政府の責任」で取り組みますというもの。

なんのことはない、みんなに嫌われている処分場を提供してもらうよう自治体にお願いをします程度の話。

放射性廃棄物の処理方法は「乾式処理」に切り替え、原発敷地に長期保存するしかないのでは、というのが私の見解。



原子炉の寿命延長 いよいよ具体的な動きが

Wednesday, November 9th, 2022

日経朝刊(11/09付け)に「原発60年超運転へ2案 -停止期間は除外/上限撤廃 -経産省、稼働数の確保重視」と題する記事がでていた。

記事のリード文を以下転載:

経済産業省は8日、原子力発電所の60年超の運転に向けた制度改正について2つの案を審議会で示した。原発の運転期間は現状、原子炉等規制法で原則40年、最長60年と定めている。東日本大震災後の安全審査で長く停止していた期間などを運転期間から除外する案と、期間の上限そのものを撤廃する案を提示した。与党とも調整し、年末までに結論を出す。

1週間前に「原子炉の寿命が青天井になる?」に原子力安全規制委員会の動きについて書いた。規制委員会の議論では、経産省エネ庁により運転期間延長が提案され、法的にこれが認められた場合に備えて、規制方式を考えておかねばという話であった。

規制委員会で期間延長について対処できる体制が整ったので、エネ庁により寿命延長を具体化させることになりましたということのようだ。役所の手際のよさには感心してしまう。

いずれにしろ、規制の枠をどんどんとっぱらってゆくということには違いない。

原子力業界の傲慢さには辟易してしまうというのは言い過ぎか?
  



原子炉の寿命が青天井になる?

Thursday, November 3rd, 2022

日経朝刊(11/03付け)に「原発審査、60年超稼働念頭 -30年目から10年ごと、規制委が年内に法改正骨子 安全性をより厳格に ―」とタイトルされた記事がでていた。

記事のリード文を以下に転載:

原子力規制委員会は2日の定例委員会で、長期に運転させる原子力発電所の審査の見直し案を大筋で了承した。現行は延長認可を運転開始後40年を迎えた時点で1回だけ実施。今後は30年目から10年間隔で経年劣化や安全性を繰り返し厳しく確認する方針だ。

現行の原子炉等規制法では運転期間の延長の認可について、「運転開始後40年を迎えた時点で1回に限り、延長することができると規定しており、延長する機関は、20年を超えない期間」とされている。このもとでは、運転期間は最高60年という制限が明確にされている。

40年から60年への運転期間延長を可能とするよう原子炉等規制法の改定においても議論のあったところであるが、資源エネルギー庁においては運転期間の見直しの検討が進められているという。原子力規制委員会では、運転期間を法令で定めるのは原子力規制委員会の所掌範囲外であるが、運転期間の延長が法的に認められた場合に備えて、規制方式について検討しておこうとしたようである。

今回の規制委員会の見直し案では、運転期間延長を最大20年とする延長認可にかえ、高経年化技術評価を「10年を超えない期間ごとに」に技術評価を行うということにしよとすることのようだ。

規制委の山中伸介委員長によると、「現行制度よりはるかに厳しい規制になる」と述べたようである。しかし、部外者の私にとっては、今回の規制委の動き、原子炉の寿命を青天井にする資源エネルギー庁の検討を後押しするとしか思えない、ような気がしてしまう。

規制委員会委員長の変更によって、規制の姿勢が変化してしまったとするのは、言い過ぎ?

関連資料

  



我が国の核燃サイクル計画 ほとんど死に体だな

Monday, September 5th, 2022

日経(2022 9/05付け朝刊)に「核燃サイクル、道筋見えず -原燃の再処理工場、26回目の完成延期」という記事がでていた。

この日経記事のリード文を、以下に転載:

青森県六ケ所村で核燃料の再処理工場を手がける日本原燃は2022年度上期としていた施設の完成を延期する。週内にも県や村などに伝える。延期は26回目となる。総事業費14兆円のサイクル事業は当初計画から25年たった今も実現せず、先行きを見通せない。

この記事を読んだ第一印象。あれ、まだこんなことやっているのか?というところ。

核燃サイクルの実現なんていうのは、幻想に過ぎないのに、メドのたたないことを続けているのには驚く。

この日経記事は、

「岸田文雄政権は『原子力の最大限の活用』を訴える。現在の原子力政策はサイクル事業を前提とするが、道のりは険しい。原発の活用を進めるにはサイクル事業のあり方や、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分といった課題にも向き合う必要がある。

とまとめられている。なんとも、能天気な話ではないか。

なんのことはない。福島第一の事故後、核燃サイクルの見直しがずいぶん議論されたが、結局、青森県の脅しでとん挫した経緯がある。極めて政治的な話で、技術的な話ではない。

現在のエネルギー危機を解決する切り札として原子力の活用を上げ、これには、核燃サイクルなんてのが前提なんて言ったら、「原子力の最大限の活用」なんてできるわけはない。

以前から、このブログサイトで書いているように、再処理なんてやらないで使用済み燃料は「乾式貯蔵」という方法を選ぶのが一番だ。



ウクライナ、南部州で大規模な攻勢 ー戦況に変化の兆し?ー

Tuesday, August 30th, 2022

今後を見通すことが困難なウクライナ情勢だが、ウクライナが南部州で大規模な攻勢にでているようだ。ひょっとしたら戦況が変化する兆しではないかと期待。

日経電子版(8/30 6:22更新)にウクライナ、南部州で反撃 ロシア「IAEA調査に協力」」という記事がでていた。記事のリード文は以下に転載:

ウクライナ軍は29日、ロシアが占領するウクライナ南部ヘルソン州の奪還に向けて大規模な攻勢を開始した。同国南部に位置するザポロジエ原子力発電所をめぐっては、ロシア側が国際原子力機関(IAEA)の調査に協力する姿勢を示した。

ウクライナメディアによると、同国軍はヘルソン州でロシア軍の最初の防衛線を突破した。ロシア軍は防衛拠点から撤退したり、後退を始めたりしているという。ヘルソン州はロシアが侵攻初期に占領を進めたが、その後、ウクライナが反攻を強めている。

連日のウクライナ報道のなかで、へルソン州をウクライナにが奪還するかどうかが戦況の分かれ目というように思う。上述の記事、その観点からみて、かなり大きなニュースだ。

ロシアがウクライナに侵攻して半年たったところであるが、これまでに、ロシア兵士の8万が死傷したと報じられている。侵攻開始時点で15万の兵力がつぎ込まれたというので、ロシアはその半数を失ったということになる。当初のロシアの目論見は完全に崩れたということだろう。

ウクライナ南東部に位置するザポロジエ原発の状況が気になる。この原発、ヨーロッパ最大、世界で三番目の規模の原子力発電所。ロシア型の加圧水型原子炉6基からなる。現在、ロシア軍の支配下にあるようだが、数日前(8/25)には2基の原子炉への外部電源が停止し緊急システムが作動した。かなり危険な状態にあると理解している。

南部で劣勢になっているロシアがこの原発を「人質」にとって脅しをかけているような気がする。IAEAの調査団の受け入れも、原子炉人質状態を正当化するための、一種のプロパガンダではないかと想像。