Archive for October, 2021



気になったニュース: 風力発電は風次第 -スペインのエネルギー危機-

Sunday, October 17th, 2021

今朝の日経(10/17付朝刊)に「風吹かぬスペインの教訓 発電量2割減、ガス危機に拍車 -融通・蓄電 日本にも難題- 」とタイトルされた記事がでていた。

以下、この日経記事のリード文を転載:

「脱炭素先進国」のスペインがエネルギー危機に見舞われている。同国の風力発電の発電量が前年同月に比べ2割減るなど欧州の風が弱まったことが天然ガス価格高騰の発端の一つにもなった。再生可能エネルギーの不安定さの克服に長く取り組んできたスペインの苦悩は、同様の電源構成をめざす日本にとっても教訓となりそうだ。

この記事のなかで、欧州における風の減少とその影響について次のように報じている:

欧州では夏以降、風が減少する事態が広範囲で発生した。異常気象が背景とみられる。スペインでは風力が電源構成の約2割を占めるが、9月の風力発電は前年同月比20%減った

再生エネルギーとりわけ風力発電を主要電源のひとつとするスペインにとって、風力発電量が20%も減るというのは大変な事態だ。

5年ほど前(2016年7月)、私は、スペイン・アンダルシアをドライブ旅行した。このとき、アルメニアからグラナダを走る高地の自動車道(A-92)を通過したのだが、この自動車道に沿って数多くの風力発電用風車が設置されているのに驚いた。風力発電に力を入れているスペインの姿に感心した。

このスペインの風力発電が皮肉にも異常気象による「風不足」のために電力不足に陥っているという。再生エネルギーというのは、主力電力源としてみることに限界があるのか、とがっかりしてしまったところだ。

やはりゼロカーボンには安定電源、「原子力発電」が必要なのか?福島の惨事を経験したものとしては、そうは言いたくないのだが・・・。



気になったニュース: NTTドコモの大規模通信障害

Saturday, October 16th, 2021

一昨日(14日)起きたNTTドコモの大規模通信障害、デジタル社会の弱点を露呈した。

日経電子版(16日5:30更新)「ドコモ200万人使えず 通信障害、異例の長期化」では、次のように報じている(以下、リード文を転載):

14日起きたNTTドコモの大規模通信障害は、全面回復するのに15日深夜にまで及ぶ異例の事態となった。影響は少なくとも全国約200万ユーザーに及び、現金を持たない人が電子決済を使えないなど不便を強いられた。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器の普及でデータ量が増大するなか、通信トラブルの影響が深刻化しやすいことが浮き彫りになった。

この日経記事のなかで特に気になったのは、「現金を持たない人が電子決済を使えないなど不便を強いられた」というところ。全ての決済がスマホ経由の電子決済になるとこうした事態が発生するのは当然だ。

こういう事態を回避するには、日常的に、複数の異なる決済手段を持つことなどが重要だ。

私の場合、スマホケースにdebitカード(ATMで現金引き出し可能なもの)を合わせ持つことにしている。

デジタル化が進み複雑化するなか、デジタルシステムに過度に依存せず、自らが障害に対応できる手段を持つことが重要になると思った次第。
 



「核燃料サイクル」維持は幻想、早期に手じまいすべきだ!

Sunday, October 3rd, 2021

自民党の総裁選挙がおわり、岸田文雄が総裁に選出された。明日にも、国会承認を受け、我が国の総理大臣に就任することになる。

総裁になることを期待していた河野太郎は、残念ながら、完敗し、広報本部長という事実上「冷や飯食い」の役職に追いやられてしまった。

総裁選の議論のなかで特に印象に残ったのは、各候補の「核燃サイクル」にたいするポジションだ。河野候補の「核燃サイクルは手じまいすべし」という主張に対して、3人の候補は、以下のように、「核燃サイクル」の維持を主張している(FNNプライムオンラインより転載):

岸田候補:

再稼働しながら核燃サイクルを止めるということは、原発を動かすことは難しくなってしまう。2030年、CO2マイナス46%という目標は難しくなるし、電力コスト自体もはね上がる」

高市候補:

続けなければ、ただのゴミになってしまう。これは安定的なエネルギー供給体制からも逸脱していく。しっかりと、これは核燃料サイクルを進めるべきだ

野田候補:

絶対安定供給というのが電力の使命。それを達成するためには、再生エネルギーという太陽や水や不安定なところによって立つことはできない。ということで、わたしは核燃料サイクルを止めません

これら3候補、本気で「核燃サイクル」の実現可能性を考えているのだろうか? 現実を直視しないで口先だけの主張としか思えない。

高速増殖炉原型炉「もんじゅ」建設の計画は頓挫し、青森六ヶ所村の「再処理工場」も事故続きで、いまだ、運転の見通しも得られていない。どう考えても、「核燃料サイクル維持」を主張することに現実味はない。

そろそろ高レベル使用済み燃料を切り刻み、高レベルの放射性溶液を生み出す核燃再処理に見切りをつける時期にきている。

再処理なしの手段はなくはない。「乾式貯蔵」だ。この方法については、「東海村・村長の『脱原発』論」を読んでみた」を参照してほしい。