上川龍之介著「電力と政治 -日本の原子力政策全史-」を読んでみた

June 16, 2018 – 8:16 am

もうひと月以上前の日経(5月12日付朝刊)読書欄で本書の書評を見かけ、読んでみることにした。

上下2巻で本文だけでも約400ページの「大作」。やっと読み終えたところだ。

読んだ、ということだけでも記録しておかねばということで、この記事を書いておいた。

本書を読んだ動機と一読した印象
冒頭に触れた日経の書評で、本書が「戦後日本の原子力政策をその起源までさかのぼり、長い時間軸の中に原発事故と事故後の対応を位置づける。・・『日本の原子力政策 全史』という副題にふさわしい力作」と紹介されていた。原子力業界で働いた経験を持つものとして原子力の政治・歴史がどのように描かれているか、興味を持った。本書を読もうとした動機だ。

一読した印象は、日経の書評で書かれたような「『日本の原子力政策 全史』という副題にふさわしい力作」ほどのものではないというのが正直なところだ。私にとって、本書に書かれた内容のなかに新しい情報を得ることはできなかった。読み終えたところで、本書に、成書としての価値があるのかと疑問に思った。

失礼な言い方になるかもしれないが、著者の「研究(読書?)メモ」が十分な推敲なく書き連ねてあるだけでは、との印象すら持った。

ただ、我が国の電力政策と原子力の関わりを通してみるということができたという意味では、それなりに役にたつのかもしれない。そうはいうものの、著者自らが、発掘した事実とか借り物でない原子力に対する視点を見出すことができないというのはどうしたものか、と思ったというのが正直なところだ。


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