COP15の「留意する」ってどういう意味?

December 20, 2009 – 5:20 pm

世界中の注目を集めていたCOP15が終わった。昨日の7時のNHKニュースで、「合意に留意する」ということで落ち着いたのを知った。「合意に留意する」というのは、「合意した」というのか、それとも「合意できなかった」のか、どういうことなのか?なんとも分けのわからない結論になった。

「留意する」というのは、一体、何という英語の表現を日本語に直したものだろう、議長の話を聞いてみると、

Consensus of parties decides to take note of Copenhagen Accord of 18th of November 2009. ・・・

と言っている。「take note」というのを日本語に直すと、「留意する」ということになるようだ。目に付くニュースが全て「留意する」といっているところを見ると、「外務省」が公式に、 take note というのを『留意する』としたようだ。

では、ということで、我が家にある「辞書」を総動員して「take note」、「留意」という意味を調べてみた:

まず、take noteとは

英英辞典(Oxford Advanced Learner’s Dictionary):
 take note of sth:     pay attention to sth and be sure to remember it.

研究社 新英和大辞典(第5版):
take  ~ of …  に注意する …に気が付く

そして、「留意(する)」というのは

広辞苑第二版補訂版
留意: 或る物事に心を留めること、
    気をつけること、 注意

研究社 New Japanese-English Dictionary
留意する: regard, mind, care about, attend to
            give heed [consideration] to
           take heed [caccount, notice] of
           pay regard [attention] to
           take <<something>> into consideration
           be mindful [regardful] <<of>>

となっている。

私なりに理解すると、「合意に留意する」というのは、「合意(文書)を尊重することにしましょう」という程度の話しで、「合意文書を採択」したということには、程遠い話しのように思える。

今朝の新聞(日経)では、1面トップで、「COP15温暖化対策・政治合意を了承」となっている。リード文では、

第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)は19日の全体会合で、2013年以降の国際的な地球温暖化対策(ポスト京都議定書)の方向性を示す「コペンハーゲン合意」を大筋了承した。一部の途上国が反対したため、「合意に留意する」との文書を採択して決着した。・・・

ともかく、『大騒ぎをして会議を開いたので、なんとか合意文書を作った』、そのまま散会することなく、会議をやりましたというくらいの話しをみんなが確認、注意しておくことにしましょう。という程度の話しではないかと思う。

こういうのを「政治合意」というのか、と改めて国連という機関の意味のなさを再確認、意思決定、交渉をするというより、大きな『サロン』といった程度の意味しかないように思う。

この結論に対し、わが国の総理大臣、「よかった、よかった」と言っているらしい。日経の記事に次のような鳩山総理の話がでている:

「よかった、よかった」首相は19日、首相公邸に呼んだ平野博文官房長官に「コペンハーゲン合意」を評価する言葉を繰り返した。しかし、首相がしたことは「議事進行の要請」程度だ。(19日朝刊、第2面)

何が良かったのか、このあたり、全く分からない。来年度予算を決めなければならない忙しい時期に、コペンハーゲンまででかけたのだが、この程度の「結論」しか得られなかった。何が良かったのか、さっぱり分からない。

もっというと、こんな曖昧なかたちだと、わが国に対し、この「合意文書」を尊重すべきと、負担だけが押し付けられることになる。このあたりを、鳩山首相、真剣に考えているのか?かなり疑問だ。奥さんとお手手つないでデンマークまで出かけました、というのでは、困ってしまう。

CO2を削減するには何が必要か?: 答えはひとつしかない。世界の大部分のCO2を排出しているアメリカと中国がCO2の排出低減にまじめに取り組むことしかない。

我々、日本人が、エコだ、エコだ、と騒いでみても、話しにならない。そのあたりを明確にしないで、わけのわからない「政治合意」を了承、「留意」しても、何の役にもたつわけではない。百害あって一利なしだ。

国連なんて所詮こんなものだろうな、なんて思ってしまう。浮かれて会議に参加し、つまらない負担を押し付けられるのだけは勘弁して欲しい。


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