公的年金に対する源泉徴収税額について調べてみた(補足)

December 1, 2013 – 11:39 am

一定額以上の公的年金を受給すると、年金から税が源泉徴収される。源泉徴収の対象となる年金受給者は「扶養親族等申告書」を提出しなければならない。この申告書を提出しないと一律7.6575 % (復興特別所得税分を含む)が源泉徴収される。

65歳を越えると、源泉徴収の対象となるかどうかについての基準(年金受給額)が65歳未満のときと変わる。このあたり、国民年金・厚生年金と厚生年金基金のふたつの年金を受給する場合、すこし複雑で注意が必要。

以前書いた関連記事、「公的年金に対する源泉徴収税額について調べてみた」の補足情報としてこのあたりのことをメモしておいた。

源泉徴収の対象となる公的年金額をまとめると、下表になる。

 

 65歳未満   65歳以上 
 国民年金・厚生年金   108万円以上   158万円以上 
 厚生年金基金   108万円以上   80万円以上 

 
冒頭で以前、「公的年金に対する源泉徴収税額について調べてみた」を書いたことに触れたが、そこでは65歳以上の年金受給者についての記載が明確ではなかった。なかでも、65歳以上について、国民年金・厚生年金と厚生年金基金で基準となる受給額が異なることについては、全然言及してない。私自身、こんなことがあるとは知らなかった。

そこで、このあたりについての法的根拠がどうなっているかあらためて調べてみた。

以下、今回知ったことをメモしておいた。

国税庁のサイトを覗いてみた: 国税庁のサイトに「平成25年版 源泉徴収のあらまし」というのがあった。そのなかに「第4 公的年金等の源泉徴収事務」に、「扶養親族等申告書」の提出についての記載がある。これが最も正確な情報と考えた。

以下、私のように国民年金・厚生年金と厚生年金基金の2か所から年金が支給される場合について、関連部分を抜粋、転載しておいた:

 国内において公的年金等の支払いを受ける居住者は、原則として、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」(以下「扶養親族等申告書」といいます。)を提出しなければなりません(所法203の5①、所令319の9)。

(注)

  1. この申告書を提出しないと源泉徴収の段階で受けることのできる人的控除等が受けられないこととなり、源泉徴収の際には支給金額の7.6575パーセント相当額の税額(この申告書を提出した場合の税額よりも高額となっています。)が徴収されることになります(所法203の3三)。
  2. 公的年金等のその年中に支払いを受けるべき金額が65歳未満の人の場合には108万円、65歳以上の人の場合には158万円(65歳以上の人の次に掲げるいわゆる2階建て部分の年金については80万円)未満であれば、この申告書を提出する必要はありません(所法203の6、所令319の12、措令26の27①)。

ここで、「所法」、「所令」、「措令」の略称は、それぞれ「所得税法」、「所得税法施行令」、「租税特別措置法施行令」を指している。法律っていうのは、複雑きわまりない。

租税特別措置法施行令: 冒頭部分の表に示した「源泉徴収の対象となる公的年金額」は、租税特別措置法施行令26条の27に基づいている。関連部分を以下転載しておく:

 (公的年金等控除の最低控除等の特例)
 第二十六条の二十七 年齢が六十五歳以上である居住者が所得税法第二百三条の六に規定する公的年金等の支払いを受ける場合における所得税法施行令第三百十九条の十二の規定の適用については同条第二項中「百八万円」とあるのは「百五十八万円(同条に規定する公的年金等が第三百十九条の六第一号または第二号に掲げるものである場合にあっては、八十万円)」とする。
2.前項の居住者の年齢が六十五歳以上であるかどうかの判定は、その年十二月三十一日の年齢によるものとする。

前の記事で、所得税法施行令319条に108万円と記載されていることには触れていた。しかし、65歳以上の年金受給者に対する記述がこんなところに書いてあるのは初めて知った。やっと理解することができた。


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