Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category



鈴木達治郎著「核兵器と原発 日本が抱える『核』のジレンマ」を読んでみた

Friday, May 4th, 2018

本書の著者、鈴木達治郎は、福島第一原発事故発生時に原子力委員会の委員長代理の職にあった。日本の原子力政策推進の司令塔ともいえる立場だ。

事故から7年経過した今、こうした責任ある立場にあった著者が、事故後の福島そして日本の原子力産業の動向をどのような思いで見ているのかを知ることができればと思っていた。このことが、私が本書を手にした動機のひとつだ。

本書を一読した印象を述べると、本書から、原子力をめぐる動向に対する筆者の苛立ちともいえる思いは伝わってくる。しかし、残念ながら、原子力産業に対する筆者の立ち位置がそう明確ではないと感じてしまう。福島事故後の日本の原子力業界の迷走が、そのまま著者自身の困惑を表しているような印象だ。 (続きを読む)



大西康之著「東芝 原子力敗戦」を読んでみた

Tuesday, April 24th, 2018

本書は近所の公立図書館で借りた「東芝問題」を扱った本の2冊目。

まず、読後感。やはりプロのジャーナリストの書いたもの、説得力がある。同じ東芝問題を扱っているのであるが、前エントリーの「なぜ東芝は・・・」とは異なるトーンとの印象だ。

「本書は、主に『文藝春秋』、『週刊文春』、『文春オンライン』で書いた東芝関連の記事をベースに、大幅に加筆修正したもの(p.280)」と本書の「おわり」に記されている。本書の発行がほぼ1年前の2017年6月30日だから、現在進行形の東芝転落劇をリアルタイムなルポとして読める。

以下、一読して印象深く思った部分を中心にメモしておいた。 (続きを読む)



相田英男著「東芝はなぜ原発で失敗したのか」を読んでみた

Thursday, April 19th, 2018

近所の公立図書館で「東芝問題」を扱った本を2冊借りてきた。本書は、そのうちの1冊だ。

読後感を述べるとするなら、物語としてはなかなか面白いな、といったところだ。ただ、本書の構成とか、その主張するところには、多少、違和感をおぼえた。

本書を読み終えたところで、本書の印象を簡単にメモしておくことにした。 (続きを読む)



小泉元総理が水戸で講演会! ー反(脱)原発をめざす?-

Saturday, March 3rd, 2018


 今朝の新聞に、「小泉純一郎元総理講演会 わたしたちの未来を語る」(右図)というチラシが折り込まれていた。

 驚いたことに、このチラシ、反原発を主張する東海村村議の会報のなかに折り込まれていた。

 これから推察するに、今回の小泉元総理講演会は反(脱?)原発を中心に据えたものということかもしれない。講演会のタイトルは「わたしたちの未来を語る」となっているだけだが、その未来とは、「原発のない未来」ということか。

 この講演会は、【主催】小泉純一郎講演会茨城実行委員会となっている。主催団体がどのような性格のものかは分からないし、講演会がどのようなものかはちらしのなかからは推し量ることはできない。ただ、講演者のタイトルが「元内閣総理大臣 原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟顧問」となっていることから、その活動の中心が「原発ゼロ」を目指す運動にあるのかもと推察させるだけだ。

 今、茨城県では、日本原電の東海第二原子力発電所の再稼働の是非を巡って関心がたかくなっている。この原子力発電所、我が国で最も人口密度の高い地域にあるとともに、首都東京に約100Kmと最も近い位置にある。

 私自身、東海第二原子力発電所からわずか2.5Kmに居住していることもあり、その再稼働には反対の立場だ。是非とも、建設後40年の老朽化した原子力発電所は廃炉になることを願っている。

 今回の小泉元総理の講演会、反(脱)原発の主張が鮮明なものになるよう希望している。



空間線量率0.23μSv/h と 実効線量率1mSv/y

Saturday, February 17th, 2018

先月17日のNHKニュースで福島の帰還困難区域における外部被ばく線量に関わり、「空間線量による評価でなく実際の被ばく線量で評価をすべき」という原子力規制員会の更田委員長の発言が取り上げられていた。

規制委員長の発言は、除染の目標として使われている空間線量率0.23μSv/hが、これに対応すべき実効線量率1mSv/yに比べ著しく低いので見直しが必要というもの。

このニュースの中身について、詳細を知りたいと思い、原子力規制委員会とその後の記者会見の公表データを確認するとともに、関連する情報を調べメモしておいた。 (続きを読む)