高速道路無料化はいい政策なんじゃない!
September 8, 2009 – 11:09 am民主党が衆議院選挙で大勝し、マニフェストと称する選挙公約がどうなって行くのか興味津々だ。特に、私が注目しているのが高速道路の無料化の行方だ。この無料化案について、いろいろな意見が述べられている。私はこの無料化案に賛成だ。
何故、高速道路無料化に賛成するのか?: 理由は簡単だ。わが国の貴重なインフラ・高速道路網が、無料化で、やっと活用されることになるからだ。
首都圏・大都市周辺の高速道路を除くと、全国に張り巡らされている高速道路網は、ほとんど使われていない状態にある。私の住む地域にある常磐高速道路、盆暮れの時期は、混雑することはあるが、普段はガラガラだ。多額の国費を投入して作っておきながら有効に活用されない状態になっている。活用されないのは、高速道路が有料のためだ。
高速道路の利用者は1/10にすぎないという議論: 高速道路料金無料化に反対する意見のひとつに、「高速道路利用者は、国民の10分の1に過ぎない、無料化にすると利用しない国民に等しく負担を強いることになる」という意見がある。道路公団民営化委員会で「活躍」した猪瀬直樹あたりが主張していることのようだ。
この議論、変な話だ。利用者が少ないのは、ひとつは現在の高速道路料金が高すぎるということが大きな理由だからだ。高速を利用すると、ガソリン料金に加えて、これより同等、むしろこれを超える料金を支払わなければならない。「生活道路」としては、とても使うことができない。無料化すれば、高速道路が「生活道路」としての役割を果たすことになる。利用者は飛躍的に伸びるはずだ。
たとえ、直接、高速道路を使わないまでも、高速道路網は物資の輸送に欠かすことのできない役割を担っており、この恩恵を国民全てが等しく享受しているはずだ。道路網を整備する意味は、むしろ、ここにこそあるのではないか。現在、高速料金は、物流コストの大きな割合となっているはずだ。無料化により、物流コストをかなり下げることができるはずだ。この経済効果はかなりのものになるのではないか。
無料化するとCO2が増える?: 高速道路を無料化すると、「CO2排出量が増え、温暖化対策に逆行する」という議論を社民党の福島瑞穂がやっていた。だから無料化反対だという。
どうも、「無料化により自動車の利用が増加し、これによりCO2の排出量が増える」というのが議論の前提にあるようだ。これは、高速道路無料化云々ということではなく、自動車の利用を少なくすべしという議論ではないのか。だとすると、筋違いの話だ。
高速道路を利用したことがあれば、「高速道路は一般道に比べて、燃費効率が良い」ということを実感しているに違いない。単位距離あたりのCO2排出量は、高速道路を利用する場合がずっと少ない。高速道路無料化によりCO2排出量は低くなるというのが真実だ。
自動車の利用が増えるということ自体は、わが国の経済活動を活発にするという観点からいって、むしろ積極的な意味があるのではないか?最近の自動車業界、国内の販売量が低迷していると聞く、これを刺激するという効果も期待できる。
では、「自動車の利用が増えることによりCO2排出量が増える」という問題は、どのように考えれば良いのか。燃費効率の良い自動車、とりわけ電気自動車の開発・普及を図るという方向で、この問題を解決するのが筋ではないか。間違っても、自動車の利用を抑制することにより、CO2排出量を減少させるという議論をしてはならない。
高速道路無料化で道路財源がなくなるという議論: あの宮崎県知事「そのまんま東」が、「無料化は道路財源がなくなるので良くない」という議論をしていた。9月5日付けの日経朝刊に、「高速道路の無料化を評価する知事は3人だけ――。・・・・料金収入は道路整備費に充てられており、財源の減少で道路整備が遅れることに懸念が強い。」との記事がでている。「そのまんま東」だけでなく、大部分の県知事が無料化に反対のようだ。
この議論、変な話だ。私には、「(有料であるがゆえに)誰も使わない高速道路を作るため、高速道路は無料化してはならない。」という主張に聞こえる。一体、何のために道路を整備しようとしているのか?これでは、道路建設自体が目的になってしまうのではないか?どうも、無意味な公共事業を行うための高速道路料金を我々は支払っているというようにしか思えない。
こうした議論が、まさに、今回の自民党の大敗の原因ではなかったのではないか。
高速道路は無料というのが当然: 日本の高速道路が有料というのは、国際的にみても、特異な状態だ。私の知る限り、ヨーロッパ各国で、日本のようなかたちで高速道路を有料としているところはない。(残念ながら、私は、最近のヨーロッパ事情にはうとい。すくなくとも、20年前にヨーロッパに住んでいたときの経験だけの実感ではあるが・・・)
全線無料とはいかないまでも、一律に有料にしているという国は殆どないのではないか。
ここらで、道路など国のインフラをどのように整えるべきかを考える時期にきているというのが大切なのではと思うわけだ。高速道路無料化の議論は、良い機会を与えてくれた。
このエントリー、高速道路無料化の世論を盛り上げるための一助になればと思う。
是非、私の意見にコメントを寄せていただければと思う。
ご意見・ご批判歓迎だ。
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