気になったニュース: 生魚を食べるとアニサキス食中毒のリスク

May 14, 2017 – 3:09 pm

昨晩(2017年5月13日)のTBS「新・情報7days」で、魚に寄生しているアニサキスという寄生虫が話題になっていた。刺身、お寿司などでこの寄生虫のいる生魚を食べて「食中毒」にかかると激烈な痛みで大変なことになるらしい。

このTV番組だけでなく、最近、アニサキスによる食中毒が激増しているというニュースをよく見かける。「アニキサス」で、日経電子版の過去記事を検索してみると、数日前の記事に、「アニサキス食中毒が急増 生魚に寄生、激しい腹痛」というのがひっかかった。このニュースのリード文は以下(転載):

魚介類を生のまま食べ、寄生虫「アニサキス」による食中毒になったとの被害報告が増えていることが厚生労働省への取材で分かった。2007年の6件から、16年は20倍超の124件に増加。激しい腹痛などの症状が出るといい、厚労省は過熱や冷凍を求め、生で食べる前には目視で確認するなどの対策を呼び掛けている。

どんな魚がやばい?
上掲のニュース記事によると、アニサキス中毒の危険がある魚に、カツオ、サケ、イカ、サンマなどの名前が挙げられている。これらの魚、我が家で自分で調理して食べているものだ。注意しなくてはならない。

この寄生虫、魚の生きているときには内臓のなかに生息しているのだが、魚が死ぬと内臓から筋肉に移動するものだという。内臓を食べなくても、魚が古くなるに従い筋肉に移動するのが多くなるから刺身とかお寿司で食中毒のリスクが増加するらしい。

国立感染症研究所が公表している報告書のなかにIASR(病原微生物検出情報)という定期刊行物がある。この最新号(IASR Vol38, No.4(No.446), April2017)に食品媒介蠕虫症が特集されている。この特集では、寿司・刺身など魚介類の生食などによる寄生虫への感染について詳しく紹介されている。

この特集記事のなかの「東京都におけるアニサキス症とその対策」で次のように述べられている(以下、転載):

・・・原因と疑われる食品はサバが最も多く、「しめさば」を原因食品とするアニキス症は有症事例の約30%を占める。・・・近年、サンマの生食によるアニキス症の増加もあり、9月および10月の有症事例の発生頻度が他の時期と比較して多い傾向がある。

・・アニサキスは魚の内臓表面に寄生している場合が多いが、サバ、サケ、サンマなどの魚では、虫体が筋肉中に移行しやすく、そのような魚種を原因食品としたアニサキス症が多く報告されている。

サバ、サケ、サンマを喫食することによるアニサキス食中毒が多いようだ。サバとかサンマで食中毒という話を良く聞くが、報告書の内容と一致している。

アニサキス食中毒をさけるにはどうする?
私、実は、しめさばが大好物である。目がない。回転ずしに行くと、4、5皿を立て続けに食べることもある。幸運にも、まだ、食中毒になったことはない。

上で引用している報告書「東京都におけるアニサキス症とその対策」に書かれてるように、酢でしめるくらいではアニサキスは生き延びるという。どうも酢とかわさびで食中毒を避けることができるような話を聞くが、アニサキス食中毒に限っては、その効果はないようだ。

では、アニサキスで食中毒にならないためには、どうすればよいか。この報告書には次のように記述されている。(以下、転載):

魚の内臓から筋肉へのアニサキスの移行を抑えるため, 冷蔵保存や内臓と内臓周りの筋肉(ハラス)を早期に切除することにより, アニサキス食中毒はある程度防止可能であるが, 最も有効な予防方法は加熱処理または24時間以上の冷凍処理を行うことである。養殖魚におけるアニサキスの寄生は極めて少ないことから, 養殖魚の使用も望ましい。

予防法を箇条書きすると:

  1. 新鮮なうちにさっさと内臓をとるとともにハラスを切除する
  2. 加熱処理または24時間以上の冷凍処理
  3. 養殖魚の使用

この予防法のうち、サケについては養殖魚が出回っていることを考えると重要な情報だ。また、最近、「お嬢さば」というブランドでアニキスのいない環境でのサバの養殖が試験的に行われているとの話も聞いたことがある。フグ毒のない養殖フグというのもあるようだ。

鮮魚も、安全性を高めるのに、天然から養殖に変化してゆくというのかもしれない。
   


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