新型コロナウィルスが世界規模で蔓延してきた
March 1, 2020 – 4:47 pm2月のはじめに「『有事は買い』 ピンチはチャンスということなのかな?」という記事を書いた。それからちょうど一か月が経った。この間、想像していた以上の勢いで世界中にウィルス感染が広がった。
昨日、我が国でも、明日(3月2日)から全国の小中学校、高校などが臨時休校するよう要請される事態に至った。こうした動きに、9年前の東日本大地震、そして福島第一原子力発電所の事故のときの雰囲気に近いものを感じている。世界中が見えない恐怖のなか的確な対応をとることができず右往左往しているという感じだ。
こうした事態に、自分自身がどのように感じているのかを思いつくまま書留めておくことにした。事態が収束したとき、自分自身がこうした事態になったときにどのように考えたのかを振り返るのもわるくないと思う。
2009年の新型インフルエンザの時の記事を読み直してみた:
2009年の新型インフル流行時に書いたものをみると、今回の事態を考えるうえで参考になるものもある。
そのなかの記事のひとつに、「新型インフルエンザの拡大をどのように考えればいいのだろう」というのがある。この記事の冒頭、2009年の時、今回の騒ぎと同じように、薬局の店頭からマスクが消えた話を書いている。いつも同じようなことが起きることに感心してしまう。
この記事のなかで、国立感染症研究所でおこなわれた感染拡大のシミュレーション計算について書いている。このシミュレーション計算を紹介した解説記事のなかでシミュレーションの役割について述べられているところを引用している。大切なことが書かれているようなので、以下、再録しておく:
このシミュレーションでは、50~60日後までの経過を追っています。実は、どのような対策を採ったとしても、最終的な患者数にはほとんど変化は見られません。誰もが免疫を持たず、完全な封じ込めが出来ない以上、ほとんどの人が罹患することになる。したがって、問題は、感染の拡大に対し、医療機関や薬品が「間に合うかどうか」なのです。
としている。
この紹介記事を読み、感染拡大をシミュレーする意味は、「インフルエンザ発生後の感染予防対策は医療機関や薬品を準備するための『時間稼ぎ』として、どの程度効果があるかを見極めるということなのだと理解している。
感染症予防の基本は、こういうことなのかと改めて確認したところだ。
世界経済への波及について:
今回のウィルス感染の世界的な広がりは、世界経済に大きな影響を及ぼしている。
ウィルス感染の広がりが中国にとどまらず欧米にもひろがりを見せ始め、そしてその影響が長期に及びそうとの観測から、「世界の金融市場は動揺が止まらず、日経平均は週間で2243円下落し、米ダウ工業株30種平均の28日の下落幅は一時千ドルを超えた。日米欧の時価総額は前週末と比べて約1割減った。」(日経2/29付朝刊)と報じられている。
今後、どのように世界経済が推移するのか、私のような素人にはとても予想できないが、大きく動揺していることは汲み取れる。この一か月間の日本円の対米ドルの動きにも、今回のウィルス感染の影響について大きく動揺しているさまをみることができる。
右図は最近の対ドル会陰相場の推移を示している(日経電子版(2/29)「新型コロナ、米景気への波及焦点 円高に振れやすく」より転載)。
ここで注目したいのは、1ドル110円程度で推移していた円レートが21日に、突然。112円に下落したこと、、そしてその後1週間で急速に戻し、このブログ記事を書いている段階で107円58銭となっていることだ。
興味深いことは、円が112円に下落した時点の日経には、「肺炎・景気に懸念 円安招く 112円台、10カ月ぶり水準 リスク回避の円買い変調」という記事に次のように解説されていること(以下転載):
日本での新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大や景気の先行きへの懸念を背景にした円売りが重なった。「リスク回避の円買い」という従来の構図が変わる可能性がある。
とし、
新型コロナウイルスの集団感染が発生しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への日本政府の対応に対する疑念を背景に、海外勢を中心に日本経済の先行きを悲観的にみる空気が強まり、これまでより円買い材料が少なくなっていることだ。当面は円安に振れやすい相場環境が続きそうだ。
と結論づけている。
先週末の円高への振れを一時的なものとみるのか、それとも従来どおりの「危機時の円高」ということで更に円高に振れるのか、専門家も右往左往ということのようだ。
ともあれ、今回の新型コロナウィルスにより、誰もが動揺しているということは間違いない。