キャッシュレス社会

December 7, 2017 – 12:20 am

5日付けの日経電子版に「デンマーク、有料トイレ90円もカードで キャッシュレス化進む」という記事がでていた。デンマークなど北欧諸国などを先頭に世界中で、普段の生活で現金を必要としない「キャッシュレス化」が進んでいるとの話だ。

この記事に限らず、最近、日経(電子版)上で、「キャッシュレス化」についての記事を目にすることが多い。我々の生活に身近なところで、大きな変化が起きているように感じる。

以下、キャッシュレス社会について、私の経験を含めて、感想を少し述べておいた。

私の買い物は殆どカード決済
ここ数年、私の買い物の大部分はデビットカード(VISAデビット)で支払いを済ませている。限られた用途以外では現金を使うことは殆どない。最近では、財布すら持ち歩くこともなくなった。

年金生活者ということで、生活の範囲が限られているということもあるが、私の周りでは、それなりにキャッシュレスでも生活が成り立つように思える。

日常生活のなかで、カードが使えないのは、魚市場の売り場、全国展開をしていないレストラン、病院とか薬局での支払い、そしてSUICAなどのプリペイドカードの購入時くらいなのではないか。役所などでの印紙の購入といった場面ではさすがに現金を必要とするが、これは特殊な例だ。

日常生活での支払いは、殆どカードで済ますことができる。数百円の少額の決済でも、最近は、問題なくカードを利用できるようになってきた。

しかし、私の実感とは異なり、我が国のキャッシュレス化は、かなり、遅れているというのが実情のようだ。

世界標準からはずれてしまった日本
2か月前のポルトガル旅行で感じたことのひとつに、この2年間でヨーロッパでは、カードによる決済が中心となり、キャッシュレスの割合が増えたということがあった。欧米のキャッシュレス化の速度は速く、我が国は、その流れから取り残されているのではないかと感じた。

11月20日付の日経電子版記事「バーガー1個もカード払いで」に次のような記述がある:

世界的にみて日本のキャッシュレス化の動きは周回遅れだ。金融庁や経済産業省の調査によると、日本のキャッシュレス決済比率は現在19%程度で、50%を超える韓国や中国の半分にも満たない。政府の危機感は強く、6月にまとめた「未来投資戦略2017」では、27年までにキャッシュレス決済比率を40%まで伸ばす目標を掲げる。

欧米だけでなく、韓国、中国と比べてもキャッシュレスへの移行は大きく遅れているようだ。我が国の政府も危機感だけは持っているようだが、10年先の27年に設定した目標が、キャッシュレス決済比率40%というのだから情けない。これでは、どんどん差が開くだけだ。

大きく変化した中国
10年くらい前からフランスなど欧米への中国人旅行者が急増したが、そのころ、彼ら中国人旅行者の「現金中心」主義がセキュリティ上問題があるのではと心配されたのを記憶している。そんな話も、今は昔、中国のキャッシュレス化は大変な速度で進んでいるようだ。

先月25日付の日経電子版記事「3つの戦線で欧米に挑む『中国モデル』」のなかに次のような一節がある:

中国は欧米の大半の先進国より速く、「キャッシュレス社会」に向けた進展を遂げてきた。中国の消費者が露店の食べ物のようなこまごまとした商品を買う際に、携帯電話を使って代金を払うのは日常的なことだ。最も一般的なモバイル決済システムである「支付宝(アリペイ)」と「微信支付(ウィーチャットペイ)」は中国のイノベーションの象徴になった。政府も民間部門も、ロボット工学やドローン(小型無人機)、環境技術、人工知能(AI)などのさまざまな分野で、向こう10年間にさらに多くのブレークスルーがあると確信している。

中国では、カード決済どころかモバイル決済のシステムでキャッシュレス化が進んでいるという。最新の情報処理技術の社会生活への取り込みが急速に進んでおり、キャッシュレス化はそれを反映しているように思える。

最近、我が国でも、FintecとかIoTといった掛け声を聞く機会は増えたが、キャッシュレス化の遅れは我が国の情報処理技術の実生活への取り込みの遅れを表しているように感じてしまう。

かなり危機的なのではないかと思う次第。
  


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