小泉純一郎著 「原発ゼロ、やればできる」を読んでみた

February 24, 2019 – 5:42 pm

本書、近所の公立図書館で見かけた。第一刷発行日が2018年12月25日となっている。出版されて間もないものだ。興味深く読むことができた。

著者・小泉純一郎は、いわずと知れた元内閣総理大臣である。最近は、「原発ゼロ自然エネルギー推進連盟」を発足させ、顧問を務めている。脱原発を掲げ、精力的に講演活動を行っているようだ。このブログでも、水戸での講演会のチラシを紹介したことがある。

本書における著者の主張、極めてクリア。序章「あの『災害』を忘れてはいけない」の冒頭につぎのようにまとめられている。

原発ゼロ。
いま動いている原子力発電所は止めて、いずれはすべて廃炉にする。
もちろん、これからあたらしい原発はつくらない。
そしていずれは、国内の電力すべてを自然エネルギーでまかなう。
日本には必ずそれができるし、そうしなければならない。(p.008)

実にクリアな主張だ。

本書の構成は以下:

  • 序章  あの災害をわすれてはならない
  • 第一章 原発の「安全」「低コスト」「クリーン」は全部ウソだった
  • 第二章 原発ゼロでも自然エネルギーでやっていける
  • 第三章 震災というピンチを「原発ぜろ」でチャンスに変えよう
  •  注 

本書、全188ページであるが、本文は講演内容を書き起こしたもののような印象であり、これに117ページが、そして最後の「注」に残りの70ページが割かれている。この「注」、通常の書物では、「参考文献」に対応するのであるが、講演を行ううえで集められた「資料集」といったものになっている。

序章に、「私はあれ(福島第一事故の発生(筆者))以来、内外の原発に関する本を数えきれないほどたくさん読んで勉強しました。(p.009)」という一節がある。「注」のなかにまとめられた「資料」は著者の勉強のなかみのように思う。よく調べられている資料だ。

本文中で印象の残ったところをひとつだけ紹介する。事故後、作られた原子力規制委員会の田中俊一委員長の発言を批判したくだりだ。

・・・新しい基準に「合格」した川内原発の再稼働を認めたとき、原子力規制委員会の田中俊一委員長(当時)は、記者会見で質問に答えてこんな発言をしました。
「安全審査ではなくて、基準の適合性を審査したということです。ですから、これも再三お答えしていますけれども、基準の適合性は見ていますけれども、安全だといいうことは私は申し上げませんということをいつも、国会でも何でも、何回も答えてきたところです」
 再稼働のために設定された基準には適合したが、安全とはいえないーー。これでは、なんのための適合性審査なのかわかりません。合格しても安全といえない審査には、何の意味もないでしょう。(pp.044-045)

世界で「最も厳しい基準」なるものを策定したはずではなかったのか。策定の中心にいたのは、規制委員会そのものではなかったのか?その基準に適合しても安全とはいえないというのでは、著者の「審査には、何の意味もない」というのに納得してしまう。
  


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