日本航空再建問題 ―何ら決定した事実はありません―

January 15, 2010 – 4:52 pm

日本航空、来週早々19日にも会社更生法を申請との報道がされている。前のエントリ「日本航空もここまでだな」で書いたように、日本航空の株券は紙屑になってしまう可能性が高い。多くの株主はこのマスコミ情報から投売りをし、現在、日本航空株8円となっている。ところが、日本航空の「公式の」IRレポートでは、「何ら決定した事実はありません」となっている。一体、株主は一連の動きをどう理解すればいいのだろう?

JAL投資家情報というHPがある。日本航空の投資家に対する公式のHPの一部だ(ここからアクセスできる)。株主としては、このHPから得られる情報が日本航空から得られる公式情報だと理解している。

ここに、今日15日付けで、「資金調達に関するお知らせ」なる文書が発表されている。転載しよう:

 当社は、株式会社企業再生支援機構との間で再建手法について協議を続けておりますが、平成22年1月14日付で、株式会社日本政策投資銀行との間で新たに融資関連契約を締結し、平成21年11月24日付けで、締結しておりました融資関連契約の未実行分と合わせて、本日、総額1,450億円の資金調達を実施いたしましたのでお知らせいたします。
 なお、様々な形で当社再建の方向性に関する報道がなされておりますが、現時点では何ら決定した事実はございません。

この文書の最後、「様々な形で当社再建の方向性に関する報道がなされておりますが、現時点では何ら決定した事実はございません」という。では、来る19日にも会社更生法の申請を行い、100%減資(即ち、日本航空の株券は紙屑になる)との話しは、何ら決定したことではない、ということなのか?

12日にも同じようなことを書いた文書、「上場に関する一部報道について」がだされている。こうした文書、株主はどのように受け取ればいいのだろう。「私たちは、もはやコントロールする側にはないのです」ということなのか、それとも「株主の皆さんの側にたって、努力しているところです」というのか、一体どちらなのだろう。

「100%減資の方向で調整が進んでいる」との報道を受けて、今週の初めから日本航空の株価が暴落し、8円まで下っている事実を、株主はどのように理解すればいいのだろう。日本航空が我々株主に伝えるべき事は、「何ら決定した事実ではございません」ということではなく、「私どもは、企業再生支援機構に対し、再建にあたって、このような要望をし、その方向で努力しております」くらいのことが言えないのだろうか。

昨年10月29日にだされた、「株式会社企業再生支援機構に対する再生支援の事前相談の実施について」という文書では、

 本日、株式会社日本航空(以下「当社」といいます。)は、株式会社企業再生支援機構(以下「機構」といいます。)に対し、当社グループの再生支援を依頼し、再生支援に関する事前相談を開始しました。
 当社といたしましては、今後、機構が実施いたします調査について最大限の協力を行うとともに、機構の助言を得て、できる限り早期に、関係者の皆様方からご理解をいただける事業再生計画を策定し、当社事業の再建の実現に向けて、最大限の努力を行って参りますので、ご理解・ご協力のほど、お願い申し上げます。

としていた。

理解を得ようとする「関係者の皆様方」とは誰をさしていたのだろう。株主、特に私のような弱小株主は、これに含まれていないのだろうか?どんな努力をしているのか、まるで情報がないではないか。

前のエントリで書いたが、「株主責任」を取ろうにも、何の情報も与えられない株主が責任のとりようもないではないか。こうした事態、一般株主に対する「裏切り」ではないのか、と思ってしまう。株式会社日本航空は株主のものではなかったのか?

これでは、「国営・日本航空」が株式会社を装おっていたということになるのではないか。そうなると、鳩山の「株主の責任」なんて発言、しらじらしく聞こえてくる。

今、日本航空の経営者が株主に対して取るべきは、彼らが進めようと思う方向を、きちんと株主に説明することなのだ。国・政府に対し、「明日にでも飛行機を飛ばなくさせますよ」くらいのことは言えないのか?

西松社長、最後の仕事だ。しっかりしろ!

こうなったら、紙屑になるまで弱小株主のひとりとして、つきあってやろうじゃなかいか!

なんて過激な発言もしたくなってくる。ま、愚痴のひとつも言わせていただいたということだ。


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