Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category
Sunday, October 3rd, 2021
自民党の総裁選挙がおわり、岸田文雄が総裁に選出された。明日にも、国会承認を受け、我が国の総理大臣に就任することになる。
総裁になることを期待していた河野太郎は、残念ながら、完敗し、広報本部長という事実上「冷や飯食い」の役職に追いやられてしまった。
総裁選の議論のなかで特に印象に残ったのは、各候補の「核燃サイクル」にたいするポジションだ。河野候補の「核燃サイクルは手じまいすべし」という主張に対して、3人の候補は、以下のように、「核燃サイクル」の維持を主張している(FNNプライムオンラインより転載):
岸田候補:
再稼働しながら核燃サイクルを止めるということは、原発を動かすことは難しくなってしまう。2030年、CO2マイナス46%という目標は難しくなるし、電力コスト自体もはね上がる」
高市候補:
続けなければ、ただのゴミになってしまう。これは安定的なエネルギー供給体制からも逸脱していく。しっかりと、これは核燃料サイクルを進めるべきだ
野田候補:
絶対安定供給というのが電力の使命。それを達成するためには、再生エネルギーという太陽や水や不安定なところによって立つことはできない。ということで、わたしは核燃料サイクルを止めません
これら3候補、本気で「核燃サイクル」の実現可能性を考えているのだろうか? 現実を直視しないで口先だけの主張としか思えない。
高速増殖炉原型炉「もんじゅ」建設の計画は頓挫し、青森六ヶ所村の「再処理工場」も事故続きで、いまだ、運転の見通しも得られていない。どう考えても、「核燃料サイクル維持」を主張することに現実味はない。
そろそろ高レベル使用済み燃料を切り刻み、高レベルの放射性溶液を生み出す核燃再処理に見切りをつける時期にきている。
再処理なしの手段はなくはない。「乾式貯蔵」だ。この方法については、「東海村・村長の『脱原発』論」を読んでみた」を参照してほしい。
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Sunday, September 12th, 2021
一月前の日経電子版(7/29付)に「30年度電源構成に死角 点検・エネ基本計画原案 -再生エネ36~36%、太陽光パネル設置場所に限界」という記事がでていた。
我が国のエネルギー政策の基本的な情報のひとつとしてアップしておいた。
この日経記事のリード文とそこに示されていた電源構成図(19年度実績、30年度現行、新目標)を以下転載しておいた。
経済産業省が中長期のエネルギー政策を示す新しいエネルギー基本計画の原案を公表した。2030年度の電気を何で供給するのかの構成案が柱で、再生可能エネルギーを大きく増やすのが特徴だ。21年4月に決めた30年度の温暖化ガス排出量を13年度比46%減らす新目標から逆算したもので、個別の対策を積み上げきれず、緻密さに欠ける。電源ごとに細かく分析すると、実現に向けたハードルの高さが浮かび上がってくる。
目標とはいうものの、10年後には、ここに示されている電源構成を実現していなければならないなんて、正直、信じられない。
現行目標ですら、その実現可能性には疑問を感じるのに、新目標で、再生可能エネルギーの比率を拡大するというのは絵に描いた餅と言わざるを得ないのではないか。
見通し暗いな。
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Thursday, April 8th, 2021
福島第一の原発処理水問題、本ブログでも何回か扱ってきた。
私なりの結論は、「トリチウム以外の放射性物質を『含まない』処理水の海洋放出を早期に行う」というものだ。いたずらに、問題を先送りし事態を複雑にすべきではない。
今朝のTBSラジオ森本毅郎スタンバイでは、政府が原発処理水の処理方法決定の方針を決めたことについて次のように報じている(以下、書き取り):
東京電力福島第一原発のたまり続けている放射性物質を含んだ処理水について、政府は近く、廃炉汚染水対策の関係閣僚会議を開き、海洋放出を決定する方針を固めました。菅総理は処分について、近日中に判断すると説明。一方、全国漁業協同組合連合会は改めて反対の姿勢を示しています。
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日経産業新聞の特集記事「原発技術 2030年の崖」のまとめが日経電子版(2021/3/7付け)に掲載されていた。
このまとめのなかに、右掲した「日本の原発地図」があった。この図、資源エネルギー庁の資料をもとに、今年の1月18日時点での状況を日経産業新聞がまとめたもの。我が国の現時点での原発の状況を把握するのに便利なものと思った。アップしておいた。
記事のリード文は以下(転載):
東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故からまもなく10年を迎えます。国民の原発に対する信頼が崩れた結果、原発の再稼働は進まず、原発新増設やリプレース(建て替え)の議論も滞っています。政府が2050年までに温暖化ガス排出実質ゼロを実現するとした目標では、原発をこれからどう位置づけ直すかが焦点のひとつです。
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Wednesday, January 6th, 2021
最近の日経、気候変動がらみで盛んに原発復帰キャンペーンをやっているような気がする。
「第4の革命 カーボンゼロ」とタイトルした特集、今日は、「小型炉に浮かぶ『現実解』」という解説記事。なにか夢ありそうな表現になっているが、福島第一を経験し、一応、原子力業界でお世話になっていた私としては、多少の違和感もあり、しっくりこない。
この解説記事のリード文は以下:
新政権発足後、即座にパリ協定に復帰すると宣言した米国のバイデン次期大統領。2兆ドル(206兆円)を投じる気候変動対策には原子力発電所の活用も盛り込む。力点を置くのが、安全性が高いとされる小型原子炉の開発だ。
昔から、「小型原子炉」の話題はあるけど、これで、どこまで安全性が高められるのか、十分理解できない。私の勉強不足か。
曰く、
配管が複雑に絡み合うこれまでの原発の雰囲気はない。数万キロワット級の原子炉を5~6本まとめてプールに沈め、発電する。水につかっているから事故で電源を喪失しても炉心を冷やしやすい。核のごみの発生も今までより少なく抑えられる。
なんて話だが、核のゴミの発生は、基本的には、出力累積量に比例するはず、「少なく抑えられる」なんてのは本当かな?なんて思ってしまう。
それに、プールに沈めてなんて話、研究炉のような(十分に)低出力な原子炉だったら成立するかもしれないけど、出力少ないっていっても、発電炉。それなりの出力はあるはずだ。本当に安全性が維持されるのかどうか、私には、良く分からない。
関連情報を仕入れて、勉強しなきゃって思っているところ。
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