Archive for the ‘科学・技術・原子力問題’ Category
Wednesday, November 9th, 2022
日経朝刊(11/09付け)に「原発60年超運転へ2案 -停止期間は除外/上限撤廃 -経産省、稼働数の確保重視」と題する記事がでていた。
記事のリード文を以下転載:
経済産業省は8日、原子力発電所の60年超の運転に向けた制度改正について2つの案を審議会で示した。原発の運転期間は現状、原子炉等規制法で原則40年、最長60年と定めている。東日本大震災後の安全審査で長く停止していた期間などを運転期間から除外する案と、期間の上限そのものを撤廃する案を提示した。与党とも調整し、年末までに結論を出す。
1週間前に「原子炉の寿命が青天井になる?」に原子力安全規制委員会の動きについて書いた。規制委員会の議論では、経産省エネ庁により運転期間延長が提案され、法的にこれが認められた場合に備えて、規制方式を考えておかねばという話であった。
規制委員会で期間延長について対処できる体制が整ったので、エネ庁により寿命延長を具体化させることになりましたということのようだ。役所の手際のよさには感心してしまう。
いずれにしろ、規制の枠をどんどんとっぱらってゆくということには違いない。
原子力業界の傲慢さには辟易してしまうというのは言い過ぎか?
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Thursday, November 3rd, 2022
日経朝刊(11/03付け)に「原発審査、60年超稼働念頭 -30年目から10年ごと、規制委が年内に法改正骨子 安全性をより厳格に ―」とタイトルされた記事がでていた。
記事のリード文を以下に転載:
原子力規制委員会は2日の定例委員会で、長期に運転させる原子力発電所の審査の見直し案を大筋で了承した。現行は延長認可を運転開始後40年を迎えた時点で1回だけ実施。今後は30年目から10年間隔で経年劣化や安全性を繰り返し厳しく確認する方針だ。
現行の原子炉等規制法では運転期間の延長の認可について、「運転開始後40年を迎えた時点で1回に限り、延長することができると規定しており、延長する機関は、20年を超えない期間」とされている。このもとでは、運転期間は最高60年という制限が明確にされている。
40年から60年への運転期間延長を可能とするよう原子炉等規制法の改定においても議論のあったところであるが、資源エネルギー庁においては運転期間の見直しの検討が進められているという。原子力規制委員会では、運転期間を法令で定めるのは原子力規制委員会の所掌範囲外であるが、運転期間の延長が法的に認められた場合に備えて、規制方式について検討しておこうとしたようである。
今回の規制委員会の見直し案では、運転期間延長を最大20年とする延長認可にかえ、高経年化技術評価を「10年を超えない期間ごとに」に技術評価を行うということにしよとすることのようだ。
規制委の山中伸介委員長によると、「現行制度よりはるかに厳しい規制になる」と述べたようである。しかし、部外者の私にとっては、今回の規制委の動き、原子炉の寿命を青天井にする資源エネルギー庁の検討を後押しするとしか思えない、ような気がしてしまう。
規制委員会委員長の変更によって、規制の姿勢が変化してしまったとするのは、言い過ぎ?
関連資料:
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Monday, September 5th, 2022
日経(2022 9/05付け朝刊)に「核燃サイクル、道筋見えず -原燃の再処理工場、26回目の完成延期」という記事がでていた。
この日経記事のリード文を、以下に転載:
青森県六ケ所村で核燃料の再処理工場を手がける日本原燃は2022年度上期としていた施設の完成を延期する。週内にも県や村などに伝える。延期は26回目となる。総事業費14兆円のサイクル事業は当初計画から25年たった今も実現せず、先行きを見通せない。
この記事を読んだ第一印象。あれ、まだこんなことやっているのか?というところ。
核燃サイクルの実現なんていうのは、幻想に過ぎないのに、メドのたたないことを続けているのには驚く。
この日経記事は、
「岸田文雄政権は『原子力の最大限の活用』を訴える。現在の原子力政策はサイクル事業を前提とするが、道のりは険しい。原発の活用を進めるにはサイクル事業のあり方や、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分といった課題にも向き合う必要がある。
とまとめられている。なんとも、能天気な話ではないか。
なんのことはない。福島第一の事故後、核燃サイクルの見直しがずいぶん議論されたが、結局、青森県の脅しでとん挫した経緯がある。極めて政治的な話で、技術的な話ではない。
現在のエネルギー危機を解決する切り札として原子力の活用を上げ、これには、核燃サイクルなんてのが前提なんて言ったら、「原子力の最大限の活用」なんてできるわけはない。
以前から、このブログサイトで書いているように、再処理なんてやらないで使用済み燃料は「乾式貯蔵」という方法を選ぶのが一番だ。
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Tuesday, August 30th, 2022
今後を見通すことが困難なウクライナ情勢だが、ウクライナが南部州で大規模な攻勢にでているようだ。ひょっとしたら戦況が変化する兆しではないかと期待。
日経電子版(8/30 6:22更新)にウクライナ、南部州で反撃 ロシア「IAEA調査に協力」」という記事がでていた。記事のリード文は以下に転載:
ウクライナ軍は29日、ロシアが占領するウクライナ南部ヘルソン州の奪還に向けて大規模な攻勢を開始した。同国南部に位置するザポロジエ原子力発電所をめぐっては、ロシア側が国際原子力機関(IAEA)の調査に協力する姿勢を示した。
ウクライナメディアによると、同国軍はヘルソン州でロシア軍の最初の防衛線を突破した。ロシア軍は防衛拠点から撤退したり、後退を始めたりしているという。ヘルソン州はロシアが侵攻初期に占領を進めたが、その後、ウクライナが反攻を強めている。
連日のウクライナ報道のなかで、へルソン州をウクライナにが奪還するかどうかが戦況の分かれ目というように思う。上述の記事、その観点からみて、かなり大きなニュースだ。
ロシアがウクライナに侵攻して半年たったところであるが、これまでに、ロシア兵士の8万が死傷したと報じられている。侵攻開始時点で15万の兵力がつぎ込まれたというので、ロシアはその半数を失ったということになる。当初のロシアの目論見は完全に崩れたということだろう。
ウクライナ南東部に位置するザポロジエ原発の状況が気になる。この原発、ヨーロッパ最大、世界で三番目の規模の原子力発電所。ロシア型の加圧水型原子炉6基からなる。現在、ロシア軍の支配下にあるようだが、数日前(8/25)には2基の原子炉への外部電源が停止し緊急システムが作動した。かなり危険な状態にあると理解している。
南部で劣勢になっているロシアがこの原発を「人質」にとって脅しをかけているような気がする。IAEAの調査団の受け入れも、原子炉人質状態を正当化するための、一種のプロパガンダではないかと想像。
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Wednesday, August 24th, 2022
日経電子版(8/24 5:42更新)に「岸田首相、原発運転期間の延長検討へ 追加再稼働も推進」と題する記事があった。
記事のリード文は以下(転載):
田文雄首相は24日に首相官邸で開くGX実行会議で、原子力発電所の運転期間延長の検討を指示する調整に入った。原発は最長60年の運転を終えれば、廃炉にすることが法令で定められている。安全審査にかかった時間を運転期間から除外して計算するなど実質的に延ばす方策を探る。
これには驚いた。
原発の寿命は40年というところだったのを、無理やり(1回限りの延長という条件で)60年に延ばしたばかりのはずだ。我が家から2.5キロの位置している東海第2原子力発電所は、起動時から40年超えるが、この延長によって再稼働をすることになった。
そもそも原発の寿命40年というのには特段の「科学的」根拠はなく、原発導入時に米国の火力発電所の寿命を参考に、決めたというように記憶している。「科学的」根拠もたいしてない40年を60年にしただけだから、大した話ではないだろという程度の話だった。一応、延長は20年を上限に1回限りという制限はつけられていた。
上述の記事では、「無理やり」延長して60年にしたところを、更に延長しようという話のようだ。根拠はひとつ、(安全審査で)運転しない期間を寿命のなかにとりこまなければ延ばせるだろうということのようだ。これでは、原子炉の寿命、青天井で延長してしまおうということになってしまう。乱暴な話だ。
上述の日経記事のなかで、GX実行会議という聞きなれない会議名がでていた。この会議の開催案内に次のように会議の趣旨が説明されていた。
産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の変革、すなわち、GX(グリーントランスフォーメーション)を実行するべく、必要な施策を検討するため、GX実行会議(以下「会議」という。)を開催する。
なるほど、グリーンといえば泣く子も黙る、ということか!!
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