Archive for the ‘読書・読後感’ Category



飯田哲也×鎌仲ひとみ共著「今こそ、エネルギーシフト」を読んでみた

Sunday, January 8th, 2012

「今こそ、エネルギーシフト」と題する岩波ブックレットを読んでみた。このブックレット、『世界』2011年5月号掲載の対談「自然エネルギーの社会へ再帰しように大幅加筆をした」ものという。

飯田哲也の書籍については、「『原発社会からの離脱』を読んでみた」ことがある。本書「今こそ、エネルギーシフト」も、これと同じように、我が国のエネルギー源を原子力から再生可能なものに転換することを主張している。

このなかに、「『安全な稼働』はどこまで可能か」とサブタイトルした部分がある。これに書かれていること、大切な論点と感じた。
メモしておいた。 (続きを読む)



土井里紗著 「放射能に負けない体の作り方」を読んでみた

Saturday, January 7th, 2012

福島第一事故のあと、放射線被曝による健康影響についての一般向けに書かれた書籍が数多く出版されている。そうした書籍のなかに、現在の放射線被曝に関わる法的基準の基礎となっているICRP(国際放射線防護委員会)の勧告を問題視するものも多い。こうした書籍が、子供の健康を心配する母親などを中心に読まれ、かなりの影響力を持っているようである。

こうした書籍のひとつで近所の公立図書館で見つけた土井里紗著「放射能に負けない体の作り方」を読んでみた。

本書の感想をひとことで述べると、この本、今回の原発事故に便乗した単なる「健康食品」本といったところだ。こうした本の出版に、原発事故と放射能の環境汚染による不安な心理に付け込んだ不真面目な商業主義的な意図(少なくとも出版社にそうした意図はあっただろう)を感じてしまう。 (続きを読む)



佐高 信著 「原発文化人 50人斬り」を読んでみた

Thursday, November 24th, 2011

原発事故がらみの本をさがしているなかで見かけたのが本書だ。
読後感をひとことでいわせてもらうと、なんとも後味が悪い本であった、といったところだ。
福島第一の事故が発生した今、原子力推進側に立っていたと著者が判定した「文化人」たちを槍玉に挙げ、糾弾している。
こうした糾弾をすることが、フクシマ後にどのように作用するのか、私には定かではない。むしろ、ネガティブな効果しか与えないのでは、と感じてしまった。 (続きを読む)



武谷三男編 「原子力発電」を読んでみた

Thursday, November 24th, 2011

 放射線への被曝を安全か危険かを判断するうえで、法的な基準値あるいは「許容線量」が重要な役割をおっている。この基準値、「許容線量」がどのように考えられ、設定されたかということについては、なかなか難しい問題が含まれている。特に、健康影響がすぐには現われない低線量域の被曝についてどのように考えるべきかは簡単ではない。

 最近、近所の公立図書館で武谷三男編の「原子力発電」を見つけ、借りてきた。このなかに、許容線量の歴史的な変化についての資料があった。なるほどと思わせるものだった。メモしておいた。 (続きを読む)



山本義隆著 「福島の原発事故をめぐって」を読んでみた

Sunday, November 6th, 2011

本書は、福島第一原発事故を私なりに考えてゆくうえで、読んでみたいと思っていた本のひとつだ。
著者、山本義隆は、私の世代から見れば、元東大全共闘委員長ということで知られている。現在は、科学史の研究をしているということのようだ。その著作を、近所の公営図書館で、めくってみたことがある。
本書の感想をひとことでいうなら、山本義隆の科学技術のもたらす未来への悲観主義的な立場にある種の驚きをおぼえる。
本書の論調、私にとっては全面的に受け入れられるという性格のものではないが、「反原子力」「脱原子力」を標榜する立場のひとつの典型として、この書を読むことに意味があると思う。主要な論点と思った部分をメモしておいた。 (続きを読む)