素人的経済観測:我が国の貿易収支・所得収支・経常収支

July 8, 2012 – 11:43 pm

日経(7月8日朝刊)に、2005年度から昨年まで7年間の国際収支(貿易収支、所得収支、経常収支)の推移を表す図が掲載されていた(右に転載)。

この図から、我が国の国際収支が依然として黒字を維持していることが理解できる。我が国の経済的状態を表現する基本的なデータのひとつとして、メモしておくことにした。

国際収支とは: 国際収支における「貿易収支」、「所得収支」、「経常収支」という用語をよく耳にする。これらは一体どういうものであるか? きちんと用語の定義について理解しておくことが必要だ。Wikipediaをみると、以下のように解説されている。(Wikipeda: 国際収支統計より

  • 経常収支: 貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支からなる。
  • 貿易収支: 財貨の輸出入をFOB価格で計上したもの。
  • サービス収支: 国境を越えた(居住者と非居住者の間の)サービスの取引を計上。サービスとは、輸送、旅行、通信、建設、保険、金融、情報(コンピュータ・データサービス、ニュースサービス等)、特許権使用料、その他営利業務、文化・興行、公的その他サービス。
  • 所得収支: 国境を越えた雇用者報酬(外国への出稼ぎによる報酬の受取等)および投資収益(海外投資による利子・配当金収入等)の支払い。
  • 経常移転収支: 政府間の無償資金援助、国際機関への拠出金など、資産の一方的支払いを計上する。出稼ぎ外国人の母国への送金。海外留学生への仕送り等

我が国の収支をどう見たらいいのか?: 冒頭の国際収支の推移を表す図をみると興味深いことに気づく。例えば、リーマンショックのあった08年の貿易収支が07年に比べて、かなりの減少を示しているものの所得収支で経常収支がなんとか持ちこたえているとか、昨年11年度の貿易収支が東日本大震災とか円高の影響で赤字になったものの所得収支は、逆に、前年より若干高くなっていること等々に気づく。

この推移について素人的な感想を述べるなら、リーマンショック以降、苦戦を続ける日本経済ではあるが、なんとか凌いでいるように受け取ってもいいようだ。そうは言うものの、我が国の経済が、曲がり角にあるのもたしかだ。

昨年、このブログでも「日米欧の財政・経常収支の状況」について、財政収支と経常収支をプロットした図を眺めたことがある。ここで、我が国、かなりの財政赤字を抱えているものの経常収支は黒字になっており、英国、米国、ギリシャ、スペインなど双子の赤字に苦しむ国とは異なっていることを理解した。

今回、これに加えて、最近の国際収支の推移について見た。震災被害、そして原発事故にあいながらも、いまのところ、なんとか凌いでいるというのが我が国の姿だ。なんとか、双子の赤字に転落することがないよう望むばかりだ。


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