素人的経済観測:円売り介入って効果あるの?

June 5, 2012 – 5:01 pm

このところ、歴史的な円高になっている。この円高、日本の製造業を直撃しているといわれている。そういうこともあり、日経平均は昨日引けで8、335円になってしまった。TOPIXにいたっては、一昨日、約29年ぶりの安値だという。素人の私でさえ、日本経済の行き先が心配になってくる。

 今日の日経(6/5朝刊)1面に、小さな記事であるが、円高に対する野田首相の見解「円高の動き実態表さず」と、円売り介入の可能性を排除しない旨を示唆する発言がでていた。

 そろそろ円売り介入か?というとところで、介入の効果について興味深い図をみかけたのでメモしておいた。

日経でみた首相の見解: 日経朝刊(6/5)に報じられている首相見解はつぎのようなものだ:

円高の動き実態表さず 首相が見解
野田佳彦首相は4日の記者会見で、円高が続いていることに関して「日本経済の実態を表したものではない一方的な動きだと認識している」との見解を示した。円売り介入の可能性については「財務相が緊張感を持って注視し、過度な変動に対する対応は当然基本に置いて見ていると思う」と語った。

この首相発言、最近の円高の流れを日本経済の実態を反映したものではなく、投機的なものだ、と認識し、円売り介入も辞さないとの決意をあらわしたもの、と読むべきと理解した。

円売り介入に効果はあるの?: 日本円が高くなることが日本経済にとってそんなによくないって、本当なのか?という私の日ごろ感じている疑問はひとまず置いて、円高に対応して行われる円売り介入に効果はあるのだろうか?について考えてみた。

冒頭に掲げた図は、6月3日付けの日経朝刊に掲載されていたものだ。この図、最近の円売り介入の円相場(対ドル)の変化を示したものだ。昨年の東日本大地震直後以来、この1年ちょっとの間に4回にわたって円売り介入が行われている。

この図からわかること、最も効果のあった介入は、震災直後の協調介入だ。このときの円相場の変化は、素人の私が見ても「投機的」な円高、実態に則したものではないと思われた。介入により瞬く間に円は低くなっている。

この震災直後の介入が成功したのは、「急激な円高」がだれがみても投機的であったこと、そして介入が主要国と「協調」されて行われたことのふたつの理由によるものと考えるのが自然だ。

その他の3回の介入についてみると、「中長期」的にみるとほとんど効果が無かったとみるのが素直なみかたではないのか?言い方をかえるとムダ金を投じたのではなかったのか、と思ってしまう。ま、素人的な感想ではあるのであるが、・・・

今回の円高、「世界」経済の実態を反映: ヨーロッパ、とりわけギリシャ危機の動きが比較的落ち着いたと理解された今年始めからの円相場の下降は、ヨーロッパと米国の状況を反映して推移したものとみることができる。

逆に、今回の円高のながれ、ヨーロッパにおける金融危機の再燃、そして米国の経済状態の悪化を反映していることは一目で理解できるのではないだろうか。まさに、今回の円高の流れ、「世界」経済の(危機的な)実態を反映している。

この円高を「日本経済の実態を表したものではない一方的な動き」として、それに対抗した円売り介入の愚にでることは避けてほしい。この1年で3回にわたってやったようなムダ金を投じることになる。投機家を喜ばすだけの愚行だ。

円高の活用法に思いを巡らそう!


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