確定申告と徴税システム
February 14, 2007 – 11:37 am確定申告の作業もいよいよおおずめにさしかかった。もっと早く進むかとおもっていたが、いろいろな問題が発生した。先週の末には、例のe-Taxで納税完了かと思っていたのだが、予想していなかったことが起きて、連休あけの明日に最終的に手続き終了(予定)ということになった。この記事では、e-Taxシステムということでなく、確定申告そのもの、特に税控除の証明に関係して、我が経験を書くことにした。毎回、金勘定の話ばかりでと思うが、もう少しだ 。
医療費領収書: 確定申告するうえで一番の作業は、1年間の医療費の領収書を揃えることだろう。この作業、結構大変である。健康保険組合が毎月くれる「医療費のご案内」の支払った医療費が纏めてあるので、これで証明できると考えていたが、これでは証明できないとのことである。この「医療費のご案内」と手元にある領収書を対応付けると紛失している領収書がかなりあった。不満に思い、紛失分の領収書、「医療費のご案内」で証明したことにできないかと税務署に電話をすると、税務署員曰く、「それはできません。法律できまっています。」とつれない返事であった。
困っていると、知人が、病院によっては領収書を再発行してくれるよとのアドバイス。早速、ある病院に領収書の再発行を依頼する。回答は、「領収書の再発行は出来ませんが、1年間通しての支払いの証明はできます」という。これだということで、早速、数軒の病院に「支払い証明書」を依頼し、見事に医療費支払いの証明が完了した。面白いことに、健康保険の「医療費のご案内」の支払い金額より、こうして自分で集めた領収書と年間支払い証明書で算出したものが多くなった。原因は、病院が健康保険組合に支払い請求をしていないものがあったのだ。病院事務の手違いらしい。大丈夫か?この病院の経営。
源泉徴収票(社会保険料の金額): 退職して数ヶ月後(11月)に勤めていた会社から源泉徴収票が送られてきた。在職時にもらっていた源泉徴収票と違い、「支払金額」、「徴収税額」、「社会保険料等の金額」の3つの欄を除いて、後は空白。退職時の源泉徴収票が「あとは自分でやるべし」と言っているようである。
退職時に、1ヶ月分の社会保険料が清算分として退職金から差し引かれている。これは、社会保険料が前月分を給与から天引きされていることによるらしい。1月から退職した6月までの給与明細書から社会保険料を積算し、源泉徴収票の「社会保険料等の金額」をみると、この清算分が含まれていない。早速、会社の給与課に問い合わせると、源泉徴収票には清算分も含まれているはずとの回答。確認し、折り返し電話するということであったが、1日経っても返答なし。翌日、あらためて電話してみると、「清算分が落ちていましたので、改めて源泉徴収票を自宅宛に送付いたしました」とのことであった。こんなことがあっていいのか?源泉徴収票は、確定申告しない場合は、地方自治体に送られて地方税の算出基礎になるはず。結構、大きな問題ではないのか?
弘済会退会金の必要経費: 退職時に、弘済会(互助会ともいうのか)から退会金が支給される。この退会金、一時金として申告する必要があるらしい。そこで問題になるのが、この一時金を得るための必要経費。必要経費に相当するのは、これまでに支払った弘済会費(正式には弘済会掛金)だろうと考えた。在職時、毎月、給料から天引きされていた。弘済会に電話をして、掛金の積算を問い合わせると、弘済会から必要経費の証明書として退職者に送付しますとのことであった。しかし、私より9ヶ月早く退職していた会社の友人のアドバイスでは、弘済会が証明する積算金額は平成5年4月以降の積算しか証明しないとのこと。それ以前は、自分で積算根拠を示さねばならないという。
幸運にも、平成3年から退職時までの給与明細書が全て保存されていた。これで掛金の積算金額を算出。添付書類として、給与明細書全部を税務署に送るのは大変と、所轄の税務署に電話をし相談した。税務署員の回答。「弘済会が証明する期間しか必要経費として認められません。(したがって、給与明細書は、必要経費を証明するものに該当しない)。何をもって必要経費とするかは、あなたと弘済会とが交渉すること。本件は過去に問題があり、我が税務署ではこれを統一見解としている。」とのことであった。
さて、弘済会から積算金額を証明する書類を受け取ったのち、該当期間について、給与明細書から計算した掛金積算と比べると、どう計算しても6,000円少ない。この差額、掛金の積算額のほぼ1.5%に相当する。理由はどうか分からないが、どうやら、天引きされた掛金のうち1.5%は事務経費として取り扱われているらしい。いろいろ知らないことが見えてくる。
今回の確定申告から得た教訓: 在職時、納税手続きは一部を除いて、全て源泉徴収というかたちで行われていた。この仕組み、第二次大戦時に税徴収コストを下げるために国が企業に押し付けたところから始まったらしい。私のように、給与所得者は自分の支払っている税金を殆ど意識することなく支払っているというのが実情である。納税者として、徴税システムに全幅の信頼を置き、国民の義務を果たしているということであろう。しかし、今回のように退職という節目で、この徴税システムの実態を垣間見ると、どうもいろいろな問題があるような気がする。やはり、自分のふところを、他人任せにするのはいかがなものか?数年前から始まった証券会社の特定口座なる仕組み、同じような問題があるのではと思った。
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