e-Taxで確定申告(2008年版)をやってみて

February 22, 2008 – 5:47 pm

「住基カードの取得から1年経って」で書いたように、今年も、e-Taxを活用して確定申告を行った。実際に申告作業を終えてみると、このe-TAXによる申告作業、「ネット納税で手間を省こう」という日経の社説のタイトルがしらじらしく思えるほど、大変な作業である。ITの専門知識と、税務署職員並みの知識を合わせ持ったユーザーが、やっと使えるとんでもないシステムというのが実感だ。このブログでは、今回行った具体的な作業に沿って、e-TAXの問題について検討する。

e-Taxの開始届出 e-Taxを利用して確定申告をしようとする場合、最初にしなければならないのがこの「開始届出」だ。この開始届出では、まず、e-Taxを利用するために必要な認証手続きを可能にするため、2種類の証明書をダウンロードし、パソコン上で動作しているブラウザにインストール、そして利用者識別番号を取得する。

ブラウザにインストールする証明書は、財務省認証局と財務省運用支援認証局のルート証明書の2種類だ。この証明書のインストールにより、e-Taxシステムで配布されるプログラム、受付システムから送信されるデータ、電子納税証明書、接続先のサーバが国税庁のものであるかを確認することが可能になる。

次に、開始届出書の作成を行う。この届出書には、二つの書類(PDF入力画面)がある。1番目の書類は、利用者の住所、納税地、生年月日などの利用者情報、2番目は、届出内容を入力することになる。届出内容では、提出年月日、提出先税務署、などを記入するとともに、ここで暗証番号、メールアドレスなどを記入する。これらを記入した後、この開始届出書を送信すると、「即時通知(開始届出書)」が画面上に表示され、これらの確認作業の終了後、「利用者識別番号照会」画面上で、16桁からなる「利用者識別番号」を取得することができる。

以上で、利用者のパソコン上に、e-Taxシステムが動作可能な状態に持ち込むことができるわけだ。昨年までは、e-Taxの開始届出手続きは、その場で完結せず、所轄の税務署より、かなりの時間が経った後、「利用者識別番号」が送付されていた。私が、昨年、e-Taxを開始したときには、実に、1ヶ月もの時間を要した(いきさつはここ)。今年から、この手続きをオンラインで終了することができるようになったのはかなりの進歩である。

申告書の作成 上述の開始届出の手続きが終了すると、いよいよ、申告書の作成だ。ここでの作業、収入金額など、インターネットを介さない通常の申告書作成と同様の作業をパソコン上で行うことになる。画面上で要求されるデータを、次々、入力して行くと、「簡単に」申告書が出来上がる。しかし、実は、これが容易な作業ではない。基本的な税務手続きを理解していない我々にとっては、かなり大変な作業なのだ。PCの画面上に現れる説明を読んでも、すぐには理解できない。そして、さらに悪いことに、ユーザーインターフェースが実に貧困なのだ。熟練した税務署職員が、使うのには問題ないのかもしれない。しかし、我々、納税者の一般庶民は、年に一度の作業、貧困なユーザーインターフェースでは、大変な作業になってしまう。

このシステムのユーザーインターフェースの貧困さは目に余る。このシステム、単に、これまで用いていた帳票をPDFに変えてだけというのが第一印象。PCという新たなツールを用いているという意識は殆どないのではと思わせる。何が問題なのか?一言で言うと、作業を通じて、思考がズタズタにされてしまう。画面の遷移というか、ナビゲーションが滅茶苦茶だ。確かに、何回か使っていると、人間、とんでもないシステムでも見事に適応する。しかし、年に一度しか使わないシステム。そんなことが許されるわけはない。以下、申告書類作成作業に沿って、具体的に、問題点を見てみることにしよう。

まず、国税庁のHPから「確定申告書等作成コーナー」を開く。ここで、「申告書を作成・データを送信する」をクリックすると、「e-Taxコーナー」と名づけられた画面が開く。この画面、実に、PCのスクリーンいっぱいに現れる。まるで、これから、あなたのパソコンは確定申告書の作成作業専用になりましたよといっているようだ。スクリーンいっぱいになっても、たいした情報は含まれていない。ここで、利用する作成コーナーのうちから、「所得税の確定申告書」を選択。すると、再び、別の画面「申告書選択」画面がスクリーンいっぱいに現れる。とにかく、この申告書作成を開始すると、新しい画面を開くごとに、常に、スクリーンいっぱいの画面が現れるのである。ウィンドウシステムの利点を無視した方式だ。さらに、極めつけは、赤字で、「この画面(申告書選択)以降において、全画面などに戻る場合いは、右クリックメニューの「前に戻る」を使用せず、画面上部のリンクや画面下部のボタンを使用してください。」との注意書きがついている。このシステムの設計思想。とにかく、「こちらの言うとおりに作業を続けなさい」という、かなり高飛車な態度になっていると思う。このような感想を持つのは、私だけなのか?画面のデザインについて注文をつけるとなると大変な量に上ってしまう。利用者に、それなりの努力と忍耐さえあれば、申告書は完成する。先に進もう。

申告書の送信に移ろう。ここでは、まず、送信方法の選択を、「確定申告書等作成コーナー」からの送信か、e-Taxソフトの利用なのかを選択する。今回、行った作業では、作成コーナーから送信することにした。送信にあたっては、作成した電子申告用データを選択し、「住基カード」をセットし、送信手続きに移ることになる。送信手続きに移ると、e-Taxの開始手続きで取得した「利用者識別番号」(+パスワード)でログイン。比較的容易にデータの送信が終了することができる。これで申告手続きは終了することになる。しかし、私の場合、この申告書の送信に際して、ちょっとしたトラブルに見舞われた。

送信時に直面したトラブルとe-TAX利用のためのサポート体制 e-Taxを利用するために住基カードを取得した際、町役場から受け取った個人認証クライアントソフトが最新版でなく、送信時にAF0020-322なるエラーコードで、処理が中断されてしまったのだ。エラーとともに、表示されたメッセージでは、ヘルプデスクへ問い合わせるようにとの指示がだされていた。処理中断時点では、その原因も明らかでなく、電話を通じてヘルプデスクに問い合わせを試みることにした。最初の電話では、e-Taxそのものの問題ではないということで、別の電話番号に問い合わせるよう指示された。これには何回かけても混んでいて問い合わせることはできなかった。このようなそれなりに複雑なシステム、多数の利用者がサポートを求めるのは当然予測できたはずである、十分な対応が望まれるところだろう。幸い、いろいろ調べてみると、エラーコードと障害内容の対応表が見つかり、個人認証クライアントソフトを最新版に入れ替えることで、障害を克服することができた。

その他感じたこと 申告書作成にあたっては、既に書いたように、そのユーザーインターフェースのデザインを抜本的に改善する必要を感じた。これに加えて、e-Taxで申告書を送信する選択をすると、e-Taxコーナーのなかでは、申告書の印刷をすることができない。これには困った。データを送信する前に、紙面上で、入力データの確認をしたいと思ったのだ。送信したデータ自体も、紙というかたちで残しておきたい。サポートセンターに問い合わせると、e-Taxコーナーでは印刷することはできないが、e-Taxソフトではできることが分かりそれに従うことで、この問題も解決することができた。電子データだけでなく、紙というかたちで保存しておくのが重要だと思うのだが、いかがだろう。

提案したいこと 以上、実際にe-Taxを利用して確定申告を作成・送信した経験を、だらだらと書いてしまった。その経験から、ひとつだけ提案。といっても、国税庁にこの声、届くことはないと思うのだが、申告書作成のためのユーザーインターフェース、一般の利用者に広く公募してはどうだろう。集まったインターフェースで、国税庁主催のコンペティションを開くのだ。仕様自体は、定型化されたものだ。可能だと思う。コンペティションで採用されたインターフェースを採用するといい。このコンペティションの開催自体がe-Taxの普及に役立つに違いない。そして、なにより、本当に使いやすいインターフェースが、かなり安価に、実現すると思うがいかがだろう。

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