レジ袋不使用が地球温暖化対策?
February 6, 2008 – 2:36 pm私の住む町でも昨年の11月からゴミ回収が有料になった。ゴミの有料化に先立って行われた町の説明会では、ゴミ回収を有料化することに加えて、ゴミ袋のなかにレジ袋を入れることが禁止された。この措置、主に地球温暖化を中心とする環境問題に対する対策の一環として行われるらしい。
地球温暖化に伴いグリーンランドの氷床が融解し世界的な海水面の上昇が予想との新聞報道について、前に、書いた。地球温暖化を阻止するために、なんらかの方策を考えねばならないということは当然だ。しかし、ゴミ有料化、特にレジ袋の不使用と地球温暖化対策とが、私の頭のなかで結びつかないのだ。
ゴミ有料化の説明会、冒頭、地球温暖化問題について説明があった。あなた方の住む地球環境は、今、大変な事態を向かえています。ゴミを少なくすることが急務です。そのためには、安易にゴミを捨てないようにする仕組み、有料化が必要です。私の理解では、このような要旨だった。
ゴミ有料化に加えて、ゴミを捨てるときにはレジ袋は使用してはいけませんというのが付け加わった。たとえ有料のゴミ袋を使用するとしても、レジ袋に入れたゴミをそのなかに入れてはいけませんというのである。これも地球温暖化対策の一環らしい。このレジ袋に対する議論、どうもしっくりしない。
我が家では、これまで、まずレジ袋にゴミを入れ、廃棄するときには大きなゴミ袋のなかにレジ袋ごと入れ捨てていた。これが禁止されるというのである。レジ袋を利用してきたのにはそれなりの理由がある。ゴミ箱を清潔に保つこと、生ゴミなどの処理を簡単にすることができる、などである。ゴミ有料化に伴い、一度、レジ袋に入れたゴミは、捨てるさいには指定されたゴミに移しなさいという。さらに、汚れたレジ袋はきれいに水洗いをしなさいとの指導まで付け加わった。(わが町、水道代が値上げになったばかりということもあり)水洗いをする水道代はどうするのかと質問をする参加者もいた。私だけではなく、参加者はかなり困惑しているように見受けた。
さらに念入りに町から各家庭にエコバックなるものが配布された。スーパーに買い物に行く際にはこのエコバックを持参し、レジ袋を利用しないようにというのだ。このレジ袋不使用のキャンペーン、日本中で行われているらしい。確かに、レジ袋の不使用、それなりに石油の消費量を減らすことなどに寄与していることは理解できる。しかし、地球環境問題への取り組みとして、こうした方策がどれだけ効果があるのだろうか?私には良くわからない。
レジ袋不使用運動を考えてみると、これ、「ひとりひとりが今すぐできるエコ運動」という範疇のキャンペーンではないだろうか?この範疇のキャンペーンには、クールビズ、打ち水などなどいろいろなものが行われている。この運動の立役者のひとり、小池百合子元環境相は、日経エコロミーのインタビューで次のように述べている;
安部首相が提唱した「クールアース50」も、「クールビズ」も意識革命なのです。 ・・・ 地球温暖化問題を引き起こした当事者は人間なんですよ。太陽の黒点が問題、という人もいますが、明らかに石炭、石油を燃やし続けた結果、温暖化が進んだ現実があるのです。一大意識革命をしないと間に合わないんです。
この小池(元)環境省、私の理解では、地球環境問題の解決の鍵を、どうやら「一大意識革命」に求めているらしい。この「一大意識革命」の一環としてレジ袋不使用運動を捉えると、なるほどと合点がゆく。この運動、ある種の精神論的運動なのだ。
精神論で解決するほど、この地球温暖化問題は甘いものではないのではないか?この問題、我々人類が、今後、どのような社会システムを設計・構築すべきかを、まさに問うているのである。「石炭、石油を燃やし続け」て成立してきた我々の社会システムを、新たな異なるシステムに再設計・再構築をしないとまさに「間に合わない」のではということではないのか。レジ袋不使用に代表される「ひとりひとりの意識革命」が最初にあるのではなく、新たな社会システムの設計、そしてそれに即した生活スタイルの変革が求められているのではないのだろうか。
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