地球温暖化問題と英国原子力政策

January 13, 2008 – 2:55 pm

IHT(International Herald Tribune)のHPに興味深いふたつの記事をみつけた。ひとつは地球温暖化によりGreenlandの氷床が予想以上に溶け出すかもしれないという記事、もうひとつは英国労働党政権が新規の原子力発電所建設に前向きになるとの報道である。

地球温暖化問題は、昨年のIPCC(Inatergovermental Panel on Climate Change)の報告以来、世界的に主要なニュースのひとつとして大きく報道されている。IHTの記事は、IPCCがこの氷床融解問題の大きさを指摘しているものの、昨年発表した評価には取り込んでいないことを述べるとともに、Greenlandと南極の氷床の融解による海水面の上昇が、相当、深刻であることを報道している。

この報道によると、今世紀の海水面の上昇がIPCC報告における評価で上限としている約2フィートよりずっと大きくなる恐れがあるというのだ。IPCCは、この問題、確信度高く評価をするに十分な理解に至っていないとして評価因子にはとりこんでいないものの、会議はより大きな海水面の上昇の可能性を除外することはできないとしているという。この氷床融解問題に対して精力的な研究が進行中という。

専門家間に意見の相違があるものの、ある専門家の評価によれば、温暖化対策が取られない場合の海水面の上昇は、Greenlandの氷床融解分だけで3フィート、南極分で3フィート、そしてアルプスの氷河からの流出によるもの18インチと見積もられるという。IPCCの評価をはるかに超える予測だ。氷河研究者の一致した見方では、今世紀の海水面上昇の上限は3フィートであるという。この3倍にも及ぶ予測をする研究者がいるというのだ。事態は、一般に信じられているものより、相当深刻かもしれない。

もうひとつの記事は、英国の労働党政権が、新規の原子力発電所建設に前向きな政策になるとの報道だ。ヨーロッパは、フランスなど原子力をエネルギー生産の主力とする国々がある一方、ドイツなど原子力反対の立場を鮮明にしている国がある。報道では、原子力に反対の立場をとるドイツなどに対しても、今回の英国の原子力に前向きな政策が大きな影響を与えるだろうとしている。

当然のことながら、今回の英国の原子力政策、地球温暖化問題と密接な関係があるだろう。原子力自体、大きな課題を抱えている。その安全性とさらには放射線廃棄物処分問題だ。難しい問題だ。とりわけ、放射性廃棄物の問題、将来の世代に予測の難しい負担を残すというリスクを負わせることになる。

私自身は、原子力は、地球温暖化問題解決の切り札と考えている。今回の英国の原子力政策にかかわる報道、歓迎するものである。原子力の安全性、そして高レベルの放射性廃棄物問題は、潜在的な危険性、リスクを持つものである。しかし、地球温暖化問題と原子力問題、我々、人類が、今後、どのような選択をすべきか意思決定をしなれけばならない時期にきているのではないだろうか。今後も、このふたつの問題、考えて行きたい。

IHTの記事:
A scramble to understand Greenlnad’s melting ice sheet
British government backs nuclear reactors


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  2. May 25, 2008: イタリア 原子力政策を転換? | Yama's Memorandum

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