太陽光発電の電気いくらで売れる?

March 4, 2008 – 12:31 pm

一般家庭で太陽光発電をすると、余った電気は電力会社が買い取ってくれるという。では、どれくらいの値段で買い取ってくれるのだろう。買い取り価格は、結構、重要な話だと思う。太陽光発電が可能なのは、当然、太陽が昇っている昼間だけだ。夜間は電力会社からの電力を買うことになる。買値より売値がずっと低かったら、単に、電力会社のために発電システムを作ったということになってしまう。買値を調べようと東京電力のHPを覗いてみた。

電気の買い取り価格について書いた文書「太陽光・風力発電からの余剰電力購入について」が見つかった。ここでは、「太陽光・風力発電設備を設置されるお客様で、余剰電力が生じる場合は、ご希望により購入いたします。」とし、余剰電力の購入単価については、「当社(東京電力)がお客様に販売している電気量料金単価相当で購入いたします。」とある。簡単に言うと、買値と売値を同じにしています、というのだ。実に、明快だ。では、我々が今購入している電気料金とは?ということになる。

我々が東京電力から買っている電力料金の仕組み、結構、複雑になっている。家庭用電気の契約は、通常、従量電灯B・Cという契約種別になるらしい。この契約形態では、購入単価が電気使用量によって3段階(1段、2段、3段)に分かれている。まず、0~120kWh を1段、120~300kWhを2段、300kWhを超えるものについては、3段とし、それぞれ1kWhあたり、16円50銭、21円4銭、22円31銭となっている。電気使用量が多くなるほど単価が高くなる仕組みになっている。具体的に、我が家の電気使用量を350kWhとし、電気代を計算してみると、

  (350 – 300)× 22.31  +  (300 – 120) × 21.04  +  120 × 16.5  = 6883 (円)

即ち、350kWhのうち、120kWhを1段、180kWhを2段、そうして残りの50kWhを3段の料金に振り分けることになる。

さて、太陽光発電した電気は買取り単価いくらになるのだろう。電力会社から買った(昼夜通算の)電力量に対して、昼間発電し、その時点で使いきれなかった(余剰の)電力で、これを相殺するかたちで電気を買い取ってもらえることになるらしい。例えば、余剰電力が、200kWhだったとすると、このうち、50kWh分は3段の単価(22.31円)で、残りの150kWhは2段の単価(21.04円)、余剰電力200kWhは4,271円で電力会社に売ることになる。

ここで疑問が湧いてくる、電力使用量(電力会社から買った電力)を超える余剰電力が発生した場合はどうなるのだろうか?例えば、上記の例と同じく、電力会社から買った電力が350kWhで、余剰電力が400kWhの場合である。400kWhのうち、350kWhは買値の6,883円で売ることができる。では、残りの50kWhについては、1段の料金16.5円で売ることになるのだろうか?長期に家を留守にする場合、こうしたことが起きる。東電の文書からは読み取れないが、私の理解では、1段の単価16.5円で売ることになる。相当、安く売ることになってしまう。

家庭用電気の料金体系、実は、上で検討した従量電灯B・Cだけではない。これとは別に、時間帯別電灯〔夜間8時間型〕(通称:おトクなナイト8)、時間帯別電灯〔夜間10時間型〕(通称:おトクなナイト10)季節別時間帯別電灯(電化上手)の3つの種類があるらしい。これらの料金体系では、時間帯により電気料金が異なり、夜間(深夜、早朝)の電力はかなり割安になる代わりに、昼間の料金は割り増しになっている(詳しくは、ここ)。例えば、夜間10時間型では、夜10時から朝8時までは1kWhあたり7.66円、朝8時から夜10時までは1段(最初の80kWhまで)22.05円、2段(80から200kWh)28.92円、3段(200kWh超分)30.66円となる。この料金体系を選択した場合、太陽光で発電した電力の買い取り単価は、従量電灯B・Cの場合と同様な形で、電力会社から買った電力を相殺するかたちになる。買い取り単価自体は、従量電灯B・Cに比べてかなり高くなる。

太陽光発電の電気はいくらで売れるか?という話、随分、複雑である。各家庭の電力使用量、時間帯による電力使用パターンでかなり異なる。前回のエントリーでへーベルハウスHPのことを書いたが、ここでは、1kWhあたりの単価として、約25円としていた。この25円の単価、夜間8時間型の時間帯別電灯の2段の料金26.25円であることをみると、どうやら時間帯別電灯のこの料金体系を念頭に算出しているようだ。

電力料金を検討して、少し面白いことに気がついた。少し前の日経(2月26日、朝刊)の1面トップに「住宅用蓄電池を開発」なるタイトルで、シャープが大和ハウス工業、大日本印刷工業と提携し、住宅用蓄電池を共同開発するとの記事がでていた。住宅用蓄電池が安価(価格は50万円程度を想定しているらしい)になると、夜間に蓄電し、その電力を売ればいいのではないかということだ。1kWhあたり単純計算で、15円の差額を得ることができる。太陽光発電システムと組み合わせると、自宅のエネルギー自給という点からみて、相当、有望だ。少し、調子が良すぎるかもしれないが、検討には値する。もっと、考えてみよう。


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