「ミニテル」とインターネット

March 24, 2010 – 1:26 pm

いつも愛読している「内田樹の研究室」で、いまでは誰も話題にしないフランスの情報技術「ミニテル」のことが触れられていた。フランスで「ミニテル」のサービスが始まったとき、丁度、パリに在住しており、このミニテルを使用していた。フランス国産の情報技術「ミニテル」に大変感激した。私にとって、実に、懐かしい話である。

「内田樹の研究室」の記事: 「ミニテル」の話がでてくるのは、「グーグルのない世界」という記事。この記事の、「ミニテル」にかかわる部分を以下、引用:

グーグルの(中国からの)撤退が意味するのは一情報産業の国内市場からの撤退ではない。
そうではなくて、ある種の統治モデルと情報テクノロジーの進化が共存不可能になったという歴史的・経済的・文化的ダメージを中国にもたらすことになるのかは計測不能である。
それは国産の情報テクノロジー「ミニテル」に固執したせいで、インターネットの導入が遅れ、そのせいで、巨大な社会的損失をこうむったフランスの直近の例とは比較にならない規模のものになるだろう。

ここでは、今回のグーグル撤退による中国のダメージが、フランス国産の情報技術「ミニテル」に固執したフランスの受けた社会的損失との対比して、いかに大きなものであるかということが述べられている。確かに、「ミニテル」へのフランスの入れ込み方はすごかった、と思う。

「ミニテル」の記憶: 「ミニテル」というのは、フランスPTTが希望する電話契約者に「無料」で配布したパソコン通信用の端末といったものだ。私が「ミニテル」を使ったのは、たしか、1984年頃だったと記憶している。2年間くらい使った、と思う。飛行機の予約とか、さまざまな生活情報を得るなど、ユーザー側からみて、インターネットの先駆けという感じだった。

このミニテルを使って、当時、勤務していた研究所の大型計算機にアクセスし,バッチジョブを流したこともある。自宅から、電話回線を介して、大型計算機にアクセスできるとはすごい、と大変感激した。

フランスPTTから無料配布されていた端末以外に、多機能の端末が一般に販売されていたとの記憶もある。フランスでは、かなり普及していた。

このミニテルの普及は、逆に、フランスへのインターネットの導入、普及に大きな障害になってしまった。内田先生のおっしゃるように、インターネットの導入に遅れをとったフランスの蒙った社会的損失はかなりのものだった。

技術の発達を見通すことは、実に、難しい。


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