処方薬の節約方法について調べてみた
January 11, 2020 – 5:39 pm今朝の日経(1月11日付朝刊)に「調剤薬局、診療所敷地内は報酬下げ」という記事がでていた。
この記事自体は、処方薬について薬価の算定方法の一部を改訂するという話だ。これを読んで、薬価算定方法に熟知し、薬局を選択できれば、薬代の節約になるのではと考えた。
薬代を節約する方策について、ちょっとだけ、検討してみた。
調剤報酬点数表:
日本薬剤師会のHPのなかに「調剤報酬点数表(令和元年10月1日)」というPDFファイルがある。薬価は、この点数表に基づいて算出されるのであるが、これには「調剤基本料」、「薬学管理料」、「薬剤料」の3つが含まれ、これを加算することにより得られる。
調剤基本料は、「調剤基本料」と「調剤料」から構成される。
このうち、「調剤基本料」の算定は、薬局の運営形態を反映し、4つに区分されている。夫々①調剤基本料1、②調剤基本料2、③調剤基本料3、④特別調剤基本料と呼ばれている。また、後発医薬品いわゆるジェネリック薬品の調剤割合の多少により基本料が加算される。さらに、平成30年度からは地域医療への貢献が高いものについては、「地域支援体制加算」が加えられる。
「調剤基本料」は、基本的には、国の施策に沿った薬局の運営が行われているかどうかによって優遇する制度といったもののように考えられる。「医療資源の少ない地域に所在する保険薬局」は調剤基本料1で処方箋受付1件あたり42点(420円に相当)が与えられる。
「調剤基本料」を安くするには、現状では、調剤基本料と後発医薬品調剤体制加算の和を抑えることになるが、前者については、大手グループチェーン傘下の薬局が、後者については後発薬品を扱う割合の少ない薬局がよさそうだ。
ただ、大手グループ傘下の薬局は、後発医薬品調剤体制加算が大きくなる傾向があるので、診療所近くの所謂弱小薬局のほうがトータルすると安く薬を購入することができるような気がする。
次に、調剤料の算定についてみると、薬局による違いは、特には、見当たらない。ただ、薬代を節約するには、1回に処方される薬が何日分かによって点数が異なることに注意したほうが良さそうだ。
薬学管理料は、薬局が「服薬指導」をするような場面のあるなしで、この管理料が違ってくるようだ。
通常の服薬形態をとる範囲では、「薬が処方される頻度」と「(お薬)手帳の有無」というで、点数が異なる。「6ヶ月以内に再来局かつ手帳による情報提供あり」が41点であるのに対し、それ以外の場合は53点の管理料が加算される。12点(120円)の違いになる。服薬頻度の多い場合には、いきつけの薬局をひとつに決め、「お薬手帳」を持参するのが節約になるように思われる。
調剤明細書を吟味:
最近、私が処方された薬にうちて調剤明細書を吟味してみる。
まず、皮膚科のクリニックで処方された薬を「門前薬局」で購入したときの調剤明細書が以下:
この調剤明細書では合計点数は1,383点。このうち、薬の料金である薬剤料以外の調剤技術料と薬学管理料は167点で薬の購入費の12%を占める。
この調剤明細書では内服薬(錠剤)と外用薬(軟膏)の2種類の薬を一度に購入しているが、これを別々に購入するときには、調剤技術料は調剤基本料と薬学管理料を加算したもの79点が夫々に加算される。
次に示すのが、比較的大きな眼科の病院近くの大手グループ薬局(かわち薬局)で発行された調剤明細書:
この例では、処方された薬剤は比較的安価な「目薬」。薬剤料は71点で、薬に対応する調剤料は10点を加えると81点になる。合計点数が173点であるから、薬剤基本料と薬学管理料が薬自体の料金(点数)より高くなっている。驚いてしまう。
処方箋の発行は医師によるもので、患者がコントロールできるものではないが、薬の価格によっては基本料、管理料が占める割合が大きくなるのには注意が必要なのかもしれない。
さて、門前薬局と大手グループ薬局の違いをみると、「門前薬局」の調剤技術料が26点であるのに対し、大手グループ薬局(かわち薬局)のそれは39点で、13点以上高くなっている。この差は、主に後者がジェネリック薬の取扱いが多いことを反映し「後発医薬品調剤体制加算」を受けていることによる。
弱小の「門前薬局」のほうがわずかではあるが、薬代が安くなる傾向があるようだ。
薬学管理料についてみると、この明細には「手帳なしで6月以内」ということで53点となっているが、「手帳」を持参すると41点になり、12点割安になりそう。注意したほうがいいのかもしれない。