処方薬の値段は薬局で異なる -調剤技術料って必要?-
December 14, 2013 – 11:10 am病院で処方された薬の値段は薬局の違いで異なることに気付いた。
いつもは、薬は処方箋を発行してくれる病院の近くの薬局で購入する。今日は、ちょっとしたことがあって、全国展開しているドラッグストアで購入した。すると、薬は同じなのに、いつも支払っている料金より高いのに気がついた。理由を薬剤師に聞いてみると、薬局ごとに請求される薬代の一部「調剤技術料」が異なるからだという。
調剤費の明細を詳しくみると、薬剤自体の料金ではなく、技術料とか管理料とかが薬代のかなりの部分を占めているのを今更ながら発見した。かなり複雑な仕組みになっている。
健康保険に薬剤の占める比率はかなり大きい。薬事行政って改善の余地あるんじゃないのだろうか?
私の支払った薬代: 病院で発行してもらった処方箋をかかえて薬局に行ってきた。今回利用した薬局は、いつもの病院近くのものではなく全国展開しているドラッグストアのなかでやっている薬局だ。
今回持って行った処方箋、いつものと全く同じものだ。薬が同じなのだから、薬局が異なっても同じ料金が請求されるものと信じていた。冒頭に書いたように、これが異なっていたのだ。
二つの薬局から受け取った請求明細に記載されていた調剤費(保険点数)は以下の通り:
大手ドラッグストア | 病院近くの薬局 | |
調剤技術料 調剤基本料 | 40 | 40 |
基準調剤加算1 | 10 | |
後発医薬品調剤体制加算1 | 5 | |
調剤料 外用薬 | 10 | 10 |
外用薬 | 10 | 10 |
薬学管理料 薬剤服用歴管理指導料 | 41 | 41 |
薬剤料 薬剤(1) | 68 | 68 |
薬剤(2) | 102 | 102 |
計 | 286 | 271 |
薬代の違いはどうして?: 上に掲げた明細表から、ふたつの薬局の料金の違いは、調剤技術料のなかの「基準調剤加算1」(10点)、そして「後発医薬品調剤体制加算1」(5点)の有り無しによることが理解される。
今日、薬を購入した大手ドラッグストアのチェイン店の明細には、この二つが加算されており、ふたつの薬局で15点の差がついている。これらの項目について、薬剤師に「調剤明細書」を示しながら、違いの理由を聞いてみた。その答え:
この薬局は体制が整っているので、その体制を整備しているということで薬剤費に加算されます。そして・・・
なんともよく理解できない返答ではあった。ここで分かったことは消費者側の希望とは関係なく、これらの項目にかかわる保険点数は「強制的」に徴収されるということ、そして規制当局がお墨付きをすると薬局はこうした加算をすることができるということである。
なんとも変な仕組みではないか?薬局の体制を改善させるための費用をすべて消費者に転嫁するというのだ。
薬の値段のかなりの部分は薬局に?: 納得する気はないが、薬局の違いで薬の値段が異なることは「理解」した。ここには、薬事行政を反映した「なにか」があるらしい。
それはそれとして、「調剤明細書」をよく眺めてみると、我々が支払っている薬代のかなりの部分、今回支払った薬代の4割は、薬剤ではなく、「調剤技術料」、「調剤料」、「薬学管理料」といったものに占められている。
こうした薬剤以外の項目にかかる費用は、すべて薬局の取り分になるのではないか。こうした費用の3分の2は健康保険から支出される。年々財政上の問題が大きくなる健康保険から「不必要」とも思える技術料なんてものがくすめ取られているというのは驚きだ。
そもそも、今回購入した薬、病院でお医者さんに処方してもらったもの、「処方・投薬料」として処方箋の発行のために医療費の一部として納めさせていただいた。この「処方・投薬料」を薬代の一部と含めると、私の支払った薬代、薬剤自体のほぼ倍になる。
お医者さんと薬剤師の判断をクロスチェックする仕組みなんていえば恰好はいいが、毎回同じ薬にいつも同じ技術料を徴収するしくみというのは変だ。
健康保険料に占める薬価を減らすため、「ジェネリック薬品」を使用すべしとのキャンペーンも行われている。いくら「ジェネリック薬品」を使っても薬代に占める技術料は変わらない。まず薬局の既得権益から手をつけるのが筋ではないか、と思ってしまう。
こうした薬代の「からくり」を知ると、薬剤の価格そのものに加えて、薬事行政の不合理な側面を正す必要を強く感じた次第。
1 Trackback(s)